奄美大島ひとり旅レンタカーなし(黄金のサナギ編)
ちょっと郊外のスーパー「ビッグⅡ」に行った。なんでもあるという噂のビッグⅡ。実際には、大型ホームセンターとスーパーのドッキングした感じのものでした。
バス停がきっちりあって、ちゃんと屋根がある!
旅先ではスーパーにいきたい派なので、ここに行くのは目的の一つでもあったんだけど、大変楽しかったです。(店員のお兄さんに謎のナンパまでされた。島のお兄さんたちはあまりにふんわりしすぎじゃないだろうか)
(ちなみに島のお母さんたちは、信号待ちしているバスのドアを叩いてのせろと要求したり、島のお父さんたちは亭主関白というか融通のきかない感じで、島の人たちは優しいとかオープンマインドとかいうのはやっぱり訪れる旅行者の思い込みみたいなところって結構あるんじゃないかなと感じた)
スーパーはとにかく駐車場が広くて広くて、車もぶんぶんと通る。
ホームセンターだから庭仕事や畑仕事の道具や苗なんかも売っている。
その端に、植物園のような看板が出ていた。
折角なのでいってみる事にした。
どうやら蝶々が見られるらしい。奄美大島は珍しい蝶々がいるということで、蝶々愛好家たちには昔から知られた土地。
私は確か荒俣宏先生が野外雑誌ビーパルにそんな連載記事か何かを書かれていて知ったと思う。
アマミノクロウサギもクジラも見れたし、蝶々までというのは欲張りすぎかもしれないと思っていたのだけど、なにか見られるのかなと好奇心で植物園のような庭を歩いた。
こじんまりとしたいいサイズの植物園で、こんな植物園が欲しいなとつくづく思った。見慣れない南国の植物がたくさん植わっている。
奥の方に温室風の金網で囲った小屋があった。
でも入り口らしきところは封鎖されている。
仕方ないので、荷物を引きずって戻ろうと思ったのだけど、途中で店の警備員さんか店員さんのようなおじさんがいたので「あのぅ、ここって見られるんですか?」と聞いてみた。
すると「ああー、見られると思うけどね」と曖昧な返事。
そこへ、遠くからおばあちゃんがひとり歩いてきて、おじさんが大声で呼び止める。「おくさん!この人が蝶々見たいって!」
「はい、いいですよ」
おばあちゃんがそういってくれたので、荷物を引きずりながらついていく。
オオゴマダラ、と看板には書かれている。
なにやら、さなぎがとてもきれいらしい。
「逃げないようにね、扉をしめて。荷物はそこでいいですよ、誰もこないから」
そういって、扉にかかっていたシートを持ち上げて中に入れてくれた。
「これがね、オオゴマダラのさなぎなんですよ」
黄金色の、3、4センチほどのさなぎがキラキラとぶら下がっていた。
本当に黄金。メタリックゴールド。ぴかぴかと周りを反射して映りこむ。
「葉っぱが落ちちゃったのを拾って洗濯ばさみでとめてるんですよ」
みっちりとさなぎが下がっているのをよく見ると、葉っぱが止められている。
もうずいぶんびっくりして、うわあーといったきり、なにも言えなかった。
「それでチョウチョがね、ここにいっぱい」
この画像じゃわからないと思うんですが、ものすごく大きいんです。
片羽根だけで、わたしの手のひらくらい。両羽根を広げたら顔が隠れるくらいの大きさ。
「子供なんかは最初はチョウチョだって言って喜んでいても近くにくるとちょっと怖がりますね」
そうでしょう。すごく大きい。
ただ、飛ぶのはあまり上手じゃないみたいで、ひらひらよろよろと羽ばたいては花に止まっている。
「今はちょっと少ないんですよ。去年台風でずいぶん逃げてしまってね。たくさんいる時は300匹とかね」
「鳥が入ってくると食べられちゃうからね。あっ、また入ってきてる!」
「ここでメスの蝶を閉じ込めておくと卵を産むので、そこから育てるんですよ」
幼虫は結構激しい色合いの芋虫で、ちょっと触れない感じです。
赤と黒と緑……
「子供はこんな色の虫がどうして金色になるのって聞くんですよ。だから『チョウチョの王様王女様だから金色なんじゃないのかな』って言ってます」
蝶の大きさにも、金色のさなぎにもびっくりして、あんまり言葉が出てこなかったけど、おばあちゃんはこの蝶々飼育がとても楽しいらしい。
「もうねえ、面倒なんだけど楽しいんですよ。また機会があったらお会いしましょうね」
植物を育てるのがうまい人の事を緑の指を持つ人というけれど、この人の指からは蝶々が飛び立つ。
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