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わからせ&わかり、理解と表現

棚を2台粗大ゴミに出して部屋を大改革して、やっとインテリアについての理解度が上がってきた。という事を前回書いた。

そこで、さらに映像作家をやっている人の話を聞いてきて、「最近の映画は『あの作品のあれをネタにひいてきている』というのがわからないと面白くないという構造になりがち」という課題を抱えているというのを知った。

みんな本歌取りで回していく感じになっているらしい。

去年アートバーゼルに行った時もそうだったし、売れる美術作品という話になると必ず「一定の美術史を踏まえていないとダメ」という話は常について回る。

それって、なんでだろうなって疑問に思っていた。

美術史を変えるような新しい表現とかのほうがずっとすごいような気がしていたんだけど、ベラスケスのあれを踏まえて新しい素材と技術でどうのこうの、みたいなのが結局のところ本寸法。王道ってやつです。

これは、ある意味仕方ないかなっていうのもあって、「理解には背景の共有」というのが人間の脳にとっての絶対だからだ。そこはもう仕方ないんだと思う。
背景の共有っていうのがまた曖昧なんだけど、ルールやマナー、常識と言われるものなども含むし、その時の流行もある。大規模な自然現象も巻き込むし(災害とか、彗星とか、超新星爆発とか)、何かを共有しないと、人間はわからないらしい。

この「わからない」がわかったのが、インテリアのテイスト問題なわけです。
なんとなーく、こういうモチーフでこういうアイテムで、こういう色にこういう柄……というのを覚えているんだけど、はっきりと理解していない状態の素人さんに、プロが背景の歴史から道具の出現の意味まで合わせて説明し、最後に素人さんにもパッと伝わる「わからせアイテム」を出すところまで持っていく。

このわからせ
つよい。

わからせというのが、つまり表現の成功か失敗かという事なんだろう。
この時「わかり」の人数が多いほど、わからせは強く、高く評価される可能性がある。

ただし、わかりの数が少ないけど、わかっているのが地位あるパワーキーパーソンというのも、格上感がでる。
一般人にはわからないが、通は好むよねというやつ。

ただ資本主義市場のルールからすると、通が好むわからせより、金が多く動くわからせのほうが強い。

この塩梅だよね!

私は価値観は割とすぐに変わるけど、美意識ってなかなか変わりにくいものなんじゃないかなって疑っているので、そこをつなぐのが現代だと資本主義に基づく経済なのかなと思っている。
で、経済に影響されて快・不快の形がちょっとずつ変わることで美意識が変容していくんだと思う。
誰だって貧乏でいればつらくなる。
金があれば尊厳ある生活ができるし、美意識はその方が守られる。

同時に、食い合いも起きる。
わからせパターンが一定化するほど、食い合う。
リプロダクト家具とか。


いやー、でも私もよくここまでわからせがわかるようになってきた!
スイスまでアートフェア見に行った甲斐があった。
美術館に壁打ち美術鑑賞にいき、ハイブランドの服やバッグを触り、胡蝶蘭を育て、お掃除ロボットを走らせて。
なんか見えるものが変わった。

理解。
アンダスタン。

信じられない高価なものという価値観の違いから、アート、それを身近に落とし込んでインテリアと服(ヘアメイク含む)。
どれも表層を触った程度でしかないけれど、大急ぎで履修した。

これはプチプラでいじいじとやっていてはわからなかったと思う。
コスパよくやるのは貧乏なまま。
若いうちは見る目を養うことに全力を傾け、後半は培った見る目でばしばし主体的に選んでいく必要がある。

ただ、やっぱり培ってはいたけど理解が足りてなかったり、歴史をつかむことができていなかった。
そこもちょっと糸口をもらえれば、過去の自分の記憶と実績からシューッと「わかり」が起きる。

壁打ちも無駄ではなかった。
ちょっとした美大出身の人とも割と対等に話せて、何なら履修が直近の私の方が大体わかっていることも多かったりして、勝ち負けではないんだけどまあまあいい勝負ができるのは、嬉しい事です。


まだ、扉を開けたところ。
この先、どうなるのでしょう。どうするのでしょう。

金は欲しい。2億円くらいでいいので。
前述の映像作家も「間に入ってきた人が予算どのくらいですかっていうから、まあ少なすぎてもあれだけど高すぎてもあれだし、2億くらいって言ったら、金額にビビったのかいなくなっちゃったんだよね」とか言っていました。
2億はそれほど大きな数字ではない。
狙える。

私は「ミニマリストでデザインが効いたおしゃれな生活」とかはどうでもいいのだ。次のステージが来た。
「ジョルジュ・デ・キリコ、買う?」みたいなステージにきてしまった。まだ買う金がないが。
愚かにも高校生の頃に見たシャガールがいつか買えるのではと思っていた20代の頃をさらに飛び越えて、私はどこに着地するのだろう。

このところずっと迷走していたので、次の狙いが見えてほしいと思っている。

まあ、まずは金。
金は、私の場合創作意欲にかかっている。
一番コントロールできない衝動だと思うんだよね。
きっつ。
でもそれがわが人生なので。
お給料のない生活を生きる者なので。

そこもまた脱皮の時かもしれません。

自分では想像がつかなかった高額なものから、価値観の大変動を経て、ファッション、アートとやってきて、インテリアと自分の服とヘアメイクに落とし込みが始まり、その先が、もしかしたらあるのかもしれないと思い始めている。

わからせがわかるようになったので。わかりみ。

つよく生きていきたい。