譲歩される

「この値段ならどうです」
出されたのは、最初の話とかなり違っていた。

最初はこの内容だと、いろいろやらなきゃいけない事が多いから、値引きは無理みたいな話だった。なのに、この展開だ。
この交渉上手、と帰り道につぶやく。

ここ数か月、「あいつなんか面白い事やってる」という感じで、いろいろご縁を頂いている。
特に個人事業主とか、会社をやってますみたいな人は、どうにもこうにもわたしのやっていることが気になるらしい。
たぶん、エアIRの成果だと思う。

で、冒頭の話だ。

いろんな状況が重なって、というか、もしかしたら単なるわたしの思い込みな感じなのかもしれないけれど、そろそろ先々の事を見据えて、事業内容を広げる準備がずるずると進んでいた。
おかげで今までの自分の生活では考えられないほど新幹線に乗ることが増えた。高いよ新幹線(´゚д゚`)
派遣社員も辞めて、会社に通うという事はやめになった。
こんなことしたいなーと思っていると、非常に強力的なプロの技術者がそこにいたりするとか、ある。話をするにはこちらも当然ある程度の覚悟とお金も必要なんだけど、そこもなんだかものすごく助けてもらっている。

「出世払いで」
といわれるので、急いで出世しなくてはいけない。

値引きや立て替え、交通費の補助、打ち合わせが無料、ほんとなんでみなさんこんな良くしてくださるの、って感じだけれど、回答は全員同じ。

「お前、なんかやりそうだから。あと面白い
「気に入った人としか仕事しないって決めてるんですよ、だからちょっと逃がしたくないwww面白いからww」

……アザッス!

先輩方にお引き立てを頂けるなんて、非常に光栄でございます。
他にも本を書けとか、いろいろ。うん、がんばります。

実際のところ、まだ20万円の支払いがあるとヒヨヒヨしちゃう程度のレベルです。でも、ちょっとここで取り返したから、もう少し行くかも。30万円でヒヨヒヨにレベルアップしたかも。

それでも、やっぱりお金は基本的なところにかけられる額が弱い。
なので、あちこち譲歩してもらっている。

というか、譲歩される。

「100万円を切ると、すごいひゅーってなります」
「わかります!95万円が85万円になってもそれほどじゃないのに、100万円が95万円になるともうだめ」
なんて話をしていました。
本当に、血の通ったお金を、ずっと触っている。ちょっとしかないから、ちょっと減るだけで貧血おこして倒れている。

なのに寄付するとか言いはじめるので、お客さんまで心配する始末です。
大丈夫、そこはちゃんと考えているから。

でも、1年後、3年後、どんな感じになっていたらいいのか、どれほど売りさばけばいいのか、というところを、もう一度しっかり詰め直さないといけないなあと。

「今年、1000万円いくでしょ」
うん、たぶん…行くかもしれませんね。売上。

最初は年商1000万円くらいであんまり働かずに利益率のいい商売をこっそりやっていればいいかなって思っていたんだけど、実際1000万円じゃいろいろ足りないなーとわかった。
3年で1000万円、悪くはない。大体商品単価1000円弱のもの、しかもオリジナル商品、しかもネット販売に向かないモノという三重苦の中で売上が1000万円に届くというのは、けっこうすごい。
しかし、すごかろうが何だろうが、1000万円は足りないのだ。

そもそものわたしのモットーが「どなた様にもご迷惑をおかけしない小さな会社で億と稼ぐ」だった。
どなた様にもご迷惑をおかけしない、というのは、関わる取引先をなるべく少なくする、外注工程をなるべく少なくする、なるべくわたしが働かない!という低コストの表現であり、小さな会社というのもそれである。
で、億は動かすというのが目標。

なんかそれを、忘れていたなって。
いや、忘れてはいなかったんですけど、具体的にリアルに考えていなかった。目の前の在庫をさばいて、とにかく現金化する手法はすぐに思いつくけれど、年商1000万円以上をどうするか、ちゃんと考えていなかったなって。

で、再度、冒頭の譲歩に戻る。

「現状お金がどんな感じか、大体知っているので、初回についてはこれだけで考えてます」
いろいろ進めていく中で、固定費がかかってくる。そこをどうするか、という話で、突然の譲歩です。
うん、どうしたものか。実際にかかるお金を、わたしはあんまりリアルに考えていなかった。

周りには、年商3000万円という人もいれば、8000万円という人もいる。
実際は3000万円の人のほうが原価がかからない仕事をしているので、儲けの率は高い。年商というのは、いろいろ不思議なものだ。

うちの商品、種類によって違うんだけど、メインのものは原価率でいったら15%くらい。なんだけど、一定の数を売らないとダメで、分岐点超えたら売れたら売れるほど原価率下がって儲かるっていうやつ。
だから、小さいときほどキツイ。でも成長したら雪崩のようにお金が回る仕組みです。雪崩は言い過ぎかな。

年商1000万円では、まだ分岐点を越えてはいないのです。
しかし超えるとなると、会計税務的な部分で手に負えなくなる。そこをどうにかしないといけない。体制的な部分でより社会的な仕組みを取り入れていかないといけない。
そこをしないで、分岐点ちょっと下あたりで、よしとするのか。
それとも、分岐点をぶっちぎっていくのか。

ぶっちぎっていくなら、手伝う。

多分、今いろいろと手を貸してくれる人は、そう思っているんだろう。
で、「こいつならいくだろう」とも思われている感じが、ありますな……。

1年後、3年後、どうなるのか。どうするのか。
いまそれを考えている。

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