起業のコツはどこまでクオリティを下げられるかにあると思うんですよ

とってもわかりやすいゆるふわ起業のコラムを読んだ。

「いつかは俺たちで最高の会社を作ろう」と語り合った仲間
https://new.akind.center/201712/scam/

デフォルメされた内容なのでするっと読めますね。
単純にいうと「4000万円資金集めて起業しようとしたけど開業する前に失敗した話」です。
非常にゆるふわな起業物語で、リアリティにあふれていて、素晴らしいなと思います。

これはもう金も人材もあったというとこに甘えたゆるふわっぷりだったので、金も能力もないところでアメブロ書いて起業しましたというゆるふわよりガチに見えるから、たちが悪いと思います。

お金が集まった起業は往々にしてゆるふわになりやすいのではないか、と最近はよく思っています。
金に甘えるんですよね。

起業で大事なことは、クオリティーを高める事だと思っている人がほとんどじゃないかと思うんですけど、経営で大事なところは「一定の品質を保ちながら落とせるところはどこまでも落としておく」という視点です。

クオリティーをあげていくのが大事だと思っていると、高い事務所を契約したりいいパソコンを買ったりいい椅子を買ったりします。
そんなもん、お客さんから見えないから!(業種によっては見えるしそれが如実にパフォーマンスに影響する事もあるので、それはもう仕事道具だけど)

商品の品質に対してもそうです、最初からコストをかけないで、もう改善織り込み済みでなんならプロトタイプ(試作品)をリリースしちゃってもいいんです。半年後によりよくなったものを出す、などの計画を最初に作って実行していくだけです。
もちろんここにも絶対にキープしなきゃいけない品質の底は踏み抜いてはいけないし、最初に悪い印象や悪いレビューがつくと延々と引っ張るなどのリスクを鑑みた上でやるべきことです。
つまり非常に神経を使う判断になるという事です。

この判断をするのが経営ってもんで。

起業は、とにかく意気込んでやっているから最初にすごく立派な、高いクオリティーを追求するのが大事なのだと思ってしまいます。
それにそうするのがいいというような前時代の先輩方のアドバイスもありますね。そういう先輩方に可愛がられて起業しちゃった若い子はそういう前時代の意見を大切にしてしまいます。

私の場合は、「開業資金を集める苦労をするくらいなら、貸してくれそうもないところに頭を下げに行くんじゃなくて、とっとと始めてビジネスの中でお金を作る」という方針でした。
というか、開業資金を貸してくれるような人脈や知識などがなかったし、有名大学卒とかのキャリアもなかった。
おかげでゆるふわ起業を回避できました。
金が少ない方がガチ起業になります。

お金がないと、お金をかけてはいけないところや、かけなくてもいいところを厳密に精査していく必要があります。
かけなくてはいけないところを削ると商売は大ダメージなので、かけるべきところにかけるために、かけなくていいところを徹底的かつ正確に把握する必要があります。

でもこれはもうやってみないとわからないというギャンブル側面がかなりあって、「事務所なんていらない、でも倉庫は必要」「PCいるけど画像処理はしないから安いのでいい」など、固いところから押さえ、「パッケージをもっと廉価な既製品に変えてもお客さんは気づかないだろうか?」「でもサイズに0.5mmの余りがあると輸送の時痛みにつながるだろうか?」など微妙なラインも攻めていきます。
ここの「たられば」で行動できない人は起業なんかしちゃいけないよ。会社員として丁寧なお仕事があっています。
たらればで動いていくと「やってみたけどいけた」「やっぱり補強すべきだった」というのもやったあとでわかりますので、そこをどんどん改善していくのが織り込み済みの計画です。
かけなくてもいいけど、見栄え的には後々かけたいかというところも、後々お金を入れていきます。

いいですか、起業は仕事を始めるのが起業です。
名刺刷ってハンコ作って事務所を借りる事じゃないです。
ましてや法人登記をすることでもないです。
(ただ法的に許認可が必要なものもあるのでそれはやらねばね)
そして創業融資を受ける事でもないんです。

「サービス(商品)を提供してお金を得る!」
提供するだけじゃなくて、お金を得るところまででやっとスタートって事なんですよ。
ビジネスプランが起業じゃないんだよ。
(そういう意味ではビジネスプランコンテストって本当に本当に罪深いと思う)

って事をデスネ、すごく思うんです。

お金をもっと大切に考えて!

かけなくてもいいところにはかけない。
でもかけない事で失敗するなんてアホなことはしないように。
このさじ加減は相当難しいので、擦り切れる事もあります。
わかってケチった経費のところを「もっとここを直せばいいのに」なんてご指摘を受けて「わかってるわこの野郎!何も知らないでよく言うわこの野郎!そこをケチったからこのパフォーマンスをその値段で出せてるんだ感謝しろ!!」と思ってもグッと耐えてお礼を言わねばならないという変な圧力もあります。理解者など一人もいない孤独が付きまとう事も多いでしょう。

・商品(サービス)
・それを提供していく仕組み

この両方を考えるのが経営です。

無闇にクオリティーをあげればいいってもんじゃないです。
「ハンバーガーは世界一売れているから、世界一美味しい?」
このビジネス書によく出てくるような疑問を、きちんと自分のレベルで考えておかねばならないという事です。
それも商品面だけではなく、それを提供していく仕組み=経営の中で。

でもそれに気づけないのが起業時の魔だろうなーという想像も難くないです。
だから最初はいつでも引き返せるようにしておくのが大切じゃないかと思います。

いい商品を持っているのにうまくいかないなという人は、クオリティーを上げる事じゃなくて、下げる事に注意を払ってみるのを見落としているんじゃないかなと思う時があります。
安いものを作れって言ってるんじゃなくて、いいものを安く作れって事です。妥協が必要なところは妥協しろ、と。
本当に望む品質を作り続けるために。

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