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そこそこの質素な生活はもう結構です

昨年から、大きなものをたくさん買っている。
前半は引っ越しがあって、後半はファッションアイテム関連だ。

お金を使うことは、そんなに気持ちの良いものではない。
特にパンデミックで停滞している中では、震えが止まらない。
だけど、生き残るにはここで金をある程度使わないとダメだという気持ちがあった。

もっとうまく金を使わなくては、と思うようになってから、高いものを買うことになっていった。
うまく金を使うということは、節約することとは真逆の要素があった。
節約は、金をなるべく使わない方法の事。
うまく金を使うというのは、節約ではない。よりよいものを買う、という事に近い。

家のもので買ってよかったものは、お掃除ロボットです。贅沢すぎるかなと思ったけど、贅沢ではなかった。

家の中の清浄度が段違いです。浄化魔法かな。

数万円をかける価値がある事って、すごくたくさんある。

靴(5万)、コート(7万)、財布(7万円)。
ここら辺は数年欲しくて手が出せなかったものや、理想に合うものがないなと思っていたらあった、みたいなものたちばかりだ。
追加で、ブリーチヘア+高価なドライヤー+カラー回数券(5万円)というのも入るかも。

なくてもいいのかもしれないし、もっと安いものはたくさんある。でもこのくらいかけると、ぱかーんと世界観が変わるんだなって実感した。
こんなに高いものを買ったことはなかったけど、靴はとても繊細で全身が痩せたような雰囲気があるし、トレンチコートは骨格がめっちゃ美人に感じられる。財布は半額で同じ形があったけど、クロコ革にした。
これといって声高にアピールしないがガチっと決まったものを持っていたいと思ったのだ。

これらは、ぱっと見数万円するなんて思えない。

まだ買ってから1年も経っていないので、どれもまだ共に過ごした時間は短い。いい買い物だったのかどうか、わからない。
ただ、これらがそろったあたりで、確実に何か階段を上がったなっていう手ごたえがあった。

コートは「10年前に買っていれば」という気持ちさえある。
そうしたら今、10年使ったこなれたトレンチコートを持っていたのだ。
深い後悔ということではないが、あーあ、という気持ち。

平行して、もっと高価な、わかりやすくブランドなものを買った。
こっちはもう、ものすごく人間を試される感じがした。
自分の興味のないものがいいと思ったので、なるべくわかりやすいアイコニックなブランドバッグを熱心に選んだ。
そして、非常に使いにくいバッグを選んだ。
値段は、27万円……のところ、私が欲しいと思った色だけ素材違いのため、20万円くらいで買えた。

こんな使いにくいバッグ(バッグのために7万円の財布を買ったといっても過言ではない)で貯金を溶かして、一体どういう……という気持ちも出てきたけれど、実際に持ち歩いてみると、行動そのものがスーッと変わっていった。バッグを汚さないように持ち方や歩く場所にも気を付けるし、いれるものも厳選する。なにより、もっていると特に高価なお店も入っているショッピングスペースのお店の人たちがとてもやさしい。
「ファッションに興味があるひと」「少なくともブランドバッグを持つ人」という認識を持たれることが、お店の人たちからこんなに親切と丁寧な接客を引き出すとは知らなかった。
このバッグを持っていたからこそ、似合うトレンチコートが出てきたし、高い財布も数年存在を知っていたけれど買う決心がついた。
結果として出費が増えているけど、答えはまだ決まっていないし、むしろここでよいものを引き出すスキルが身についてきたという手応えが、自分の成長を感じさせた。

高い靴を買った時は、高い店に入る勇気(実際にはただの言い訳なんだけど)を得た。高いバッグは、お店で店員さんと堂々とコミュニケーションを取れるようになった。

そうやってきて、自分なりに高いものにアタックし続けて、第一段階をなんとかクリアしたような気がしている。
街で、派手なDiorのブックトートを持っている人たちの服装などをよく見るようになった。車移動ではなく歩きでブックトートを持っている人は、どこか筋の通った感じの人が多い。白髪交じりの60代くらいの女性が地味な服装でブックトートを持っているのを見た時は、「あっこの人勇気があって頭がいい」という直感的な印象があった。本当かどうかは分からないけど、そういう印象が生まれるんだなっていうのも、新鮮だった。

そして、安い服や安いものも、より丁寧に選ばないといけないなと思い始めた。

オリジン弁当の300円のタルタルのり弁は、一番お安いメニューだけど出来立てのちくわの磯辺揚げはもっちりと甘みが出て、フライはサクサク。

すごくおいしいです。出来上がるまで少し待つけど、やっぱりとってもおいしい。
なんか、そういう、安いものって大企業の資本という後ろ盾の粋だったりする。安いものほど、高いのだ。
そういうものを、丁寧に間違いなく選び抜いていきたい。
それはちょっとしたゲーム感覚でもあると思う。

で、やっぱり安いものはぺらっぺらなこともまたわかったりする。

「お金のかからない質素な生活」が素敵なことはわかるが、「お金をたくさんかけた質素な生活」はもっと最高なのだ。

私はこれからも質素な生活をすると思う。でも、10万円くらいの服や靴も日常的に使いたい。
羨ましがられるような事ではないなと思う。
また、ビビる事でもなかった。
質素でダイナミックというのが私の希望です。

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つよく生きていきたい。