見出し画像

さよならブルーボトルコーヒー

こだわりのブルーボトルコーヒー。
なんでも大注目のコーヒーショップが日本上陸なんだという。
東京の清澄白河に一号店ができるのだという。
そしてオープン当日は大行列だったのだという。

いろんな記事が一度に出ている。

コーヒー界の“Apple”「ブルーボトルコーヒー」が日本に上陸!!

ブルーボトルコーヒー東京進出は成功するか?アップルと真逆のビジネスモデル

でもね、コーヒーなんかどこでも同じ。

私が幼いころ、うちには焙煎機があった。
よく焼いた豆をハンドピッキングするのを手伝った。それは痛んだ豆を手で取り除くこだわりの作業なのだという。
形がおかしな豆のほうが私は好きでとても大事にしていた。すぐにゴミになったけど。
焼け焦げた豆は、ぴかぴか光って、とても熱くて、自分の小さな指でそれを拾うのはとても嫌だった。あっという間に骨まで熱くなってしまう。少し冷めたものなら、ヘンな豆を拾うのは楽しかった。

豆は何種類も、モカ、コロンビア、グアテマラ、ほかにもいろいろ。いわゆるシングルオリジンのスペシャリテ。今から25年、いや30年も前の話だ。

水出し用の子供の背丈より高い水出し器もあった。

生豆を買って自宅で焙煎する。
一杯ずつ豆をひいて、細い口のケトルでお湯を注ぐ。
ドリッパーの中でひいた豆が泡のように膨らみ、山のように盛り上がる。
それが私の家の日常。
そういう喫茶店。それが私の家だった。

ここから先は

473字

¥ 300

つよく生きていきたい。