「頭のいい女が好き」アピール男

以前、頭のいい女が好きと言っている男にあまりにカチンと来て、詰めた事があった。

「バカだけど、○○さんすごいねー、いろんなこと知ってて頭いいねーっていつもいう子と、頭がよくてすべてにびしっと圧倒的な解答を一瞬にして出して自分の意見の穴を見抜いて指摘できるような子と、どっちと結婚したい?」

彼は少し黙ってから「……褒めてくれる子がいい」と小さくいった。

これは私も相当意地悪い言い方をしたので、この二択はぜんぜんフェアじゃないと思う。

彼が言っているのは、「俺は頭のいい女が好きなくらいランクが上の男だ」というアピールと、そのことを褒められたり感心されたいオーラが全力で出ていたので、何を求めているかは一目瞭然だった。

それくらいでは私も怒ったりしない。褒められたいオーラは、まあいいのだ。
そうじゃなくて何で怒ったのかというと、その発言の裏には「女は基本バカ。頭がいいのは珍しい。基本的にバカな女のほうが好まれる」という考えが透けていたからだ。

大手新聞社の記者をしていたAV女優。
SNSで自分を売り出すグラビアアイドルの圧倒的なマーケティング戦略。
そういうのを見ると、男性たちは異様に驚く。
そういう性を売る女はバカに違いない、という強くゆるぎない感覚があるからだ。だから驚くのだ。(欲情の構造にはそういう支配被支配の関係性がすごく重要であったりするので)

最初の私の二択は、本当は間違っている。

頭のいい女だけど、毎日夫を褒めて尊敬して頼ってくる人は山ほどいると思う。特に勉強ができるタイプの頭の良さは信頼関係の構築に直接的に関わらない事のほうが多い。
だから、最初の男の最上級の理想は「すごく頭のいい女性が自分を頼って褒めてくれる」という事なんだろうなと思う。言葉通りに受け取れば、だけど。

まあ、バカでも褒めてくれる子がいい、と認めた彼は、その正直さこそが最大の優れた点であり、MBAを取ることよりもずっとたくさんの利益を彼にもたらすだろう、と思った。

頭の良さは、たまに脅威になる。
弱い男ほど、絶対に自分の上にいかない(であろう)頭の弱いオンナを好むというのはある程度よく見ることなんだけど、残念ながら頭の良し悪し以上にその人のエネルギーというところで人間関係の力学は決まっちゃったりするから、そこばっかり見ていると頭が悪いけどすごいメンヘラでどうやっても勝てないとんでもないオンナを引くことになる可能性が高い!
要注意だ!
そういう女ほど相手を見抜く能力は高くて絶対的に支配してくる!
もう逃げられない、腕の一本は渡さなければ済みそうにない!
という悪夢を見るといいよ。

それがあなたの弱さに素直になれなかったことの代償だ。


という事で、こちらは確実に見る目が厳しくなり、すっかり結婚とかあほらしくて仕方ないモードに入ってしまっているので、むしろそれをもっと磨いていこうと前向きに手元の刀を研ぎあげているところでございます。

未婚が人間の尊厳を失わせる事だという考えが社会からもう少し薄くなりますよう、これからも精進してまいる所存でございます。

私も弱さに素直になれなかったことの代償を払い続けていこうと思っている。
それをやり遂げて死んだとき、私は本当に強い人間になれるのだろうか?
あるいは、弱さから逃げ回っていただけのひ弱な人間としての烙印が押されるのだろうか。

ま、死んだとき考えよう。

つよく生きていきたい。