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夢のシフォンスカート

コートを脱ぎ捨てて、店先も明るく軽やかに彩られる季節に、いつも目に止まる服があった。

ふわふわのシルエットの、シフォンスカートだ。


最初にシフォンスカートを知ったのは、3年前くらいだと思う。ひと目で好きになった。

私の普段の服装は、白・黒・グレー。ユニクロの黒スキニーにグレーのニットだったりTシャツだったりを着ることがほとんど。その一方で原宿にありそうな派手な柄も好きで、困ったクマが描かれたパーカーがお気に入り。

どちらかといえばシンプル、ボーイッシュな方が好みだけど、かわいいものが嫌いなわけじゃない。人生でいつかは、上から下までロリータを纏ってみたいと思っている。ピンクも嫌いじゃない。

そんな私にとって、シフォンスカートはなかなかハードルが高かった。だって、かわいすぎる。出会った一年目の春は、遠目に見るだけだった。

翌年、暖かくなってまたシフォンスカートと再会した。今度は試着をしてみたけど、悲しいかな、典型的日本人体型の私には丈が長かった。


そして、今年。

よく行く商業ビルで、手持ちの白いパーカーに似合いそうな、薄いピンクのシフォンスカートを見かけた。その時は買い出しの帰りで時間がなかったけれど、今度こそ買おう、と思った。

今日は、ずいぶん久しぶりに一人で友達に会う。

昨日の嵐から一転して快晴の、暖かい日になるらしい。


待ち合わせよりもだいぶ早起きして、商業ビルに向かった。目をつけていたものと、似たスカートをいくつか。

まだ持っていないプリーツスカートも試してみた。うんうん、無難な感じ。会社用にすることも考えたら、まぁこれだろう。

気になっていたシフォンスカートは、ピンクと水色を試した。水色は、予想通り落ち着いた感じ。そしてピンクは、ああもうかわいい。バレエやピアノを習っていたわけではないけど、発表会のときに着るようで、ちょっと特別感がある。

いつもなら、服を買うときはタグをチェックして、洗濯機だけで洗えるかとか、ポケットがあるかとか手持ちの服と合うかとか、そんな実用的なポイントで判断する。

でももう、そんなのいいや。だってまだ20代だし。普段アラサーアラサー言ってるけど。

ピンクのシフォンスカートを手に、レジに向かった。出かけてから帰宅するまで、30分もかからなかった。


おでかけ用に着替えたシフォンスカートは、ちょっと丈が長いし、やっぱり手持ちの服とは合わせにくいし、トイレに行くのが大変だった。

でも思ったよりもふわふわと軽くて、そしてかわいかった。決心するのに、3年もかかったけど。


会社に着て行っていた服は、どんどん処分している。プライベート用の服も、着心地が気に入らなくなってきたら、潔く入れ替えるようになった。

久しぶりに洋服を買った。たぶんもう、春だ。


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