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AI×NFTコレクション【夕陽ケ丘】

AIアートの興隆が凄まじい昨今、僕も例に漏れずAIで遊ぶことに夢中になった。

僕は時々、商業イラストレーターとして絵を発表している。
が、描いているのはいわゆる「萌え絵」ではない。
今の絵柄はもちろん描きたくて努力してきたのだが、同じだけの労力を新しい(しかも誰にも期待されていない)絵柄の開拓に費やせるかというと自信がない。

そこに降って湧いたのが【NovelAI】という、萌え絵に強い画像生成AIである。
本来は名前の通り、小説を生成するAIだ。

一週間ほど先人たちのプロンプト(AIに作品を生成させるためのキーワード集のようなもの。通称【呪文】)を勉強させてもらい、ようやく描きたいものに近いイラストを作るオリジナル呪文に辿り着いた。

夕陽と着物の女の子

僕は朝焼けや夕焼け、いわゆる黄昏時とか逢魔が時を描いた絵が好きだ。
改まって眺める機会など滅多にないが、何故か故郷を思い出させるような、懐かしくて切ない雰囲気に強く惹かれる。

それからレンブラントの絵が大好きで、子供の頃は親が持っていたミュージアムガイドや画集をよく眺めていた。
明暗差が作るドラマチックな雰囲気が、たぶん生まれつき好きなのだ。


ここにもう一つ、【NFT】という技術、と言うか絵を嗜む者にとってのマーケットの存在が加わる。

仕事としてAIイラストを売ることは当然許されないが、NFTであればAIのイラストでも問題ない。
そしてNFTアートの販売は仕事ほどの責任を伴わない(だからこそ本気でやる場合は、仕事以上に頑張る必要があることも承知しているが、ここでは触れないでおく)。

AIは一定以上のクオリティの画像を、事実上無限に生成することが出来る。
NFTアートの価値は今のところ「その画像の唯一無二の所有者となれること」に見出されているように思えるので、AI画との相性は悪い。

だが、AIに僕の嗜好を酌ませられるとしたら。
偏執的なほど夕焼けにこだわるAI画像作家が、他に何人いるだろうか。
流通数は僕の裁量で絞ってしまえばいい。

もちろん呪文を共有すれば、誰でも似たような画像は作れるから、上記の解決法は根本的なものではないのだが。


僕はその分、生成されたイラストに対して、イラストレーターとしての自分の技術と感性を上乗せすることにした。
AIが作った画像を、少し添削するのだ。

次に貼るのは、僕が生成した画像の中でとても気に入っているものだ。
コレクション【夕陽ケ丘】の#001は彼女である。

ただしこのままでは、左袖がない、頬に掛かる髪の束が不自然などの破綻が見られる。それにAIの描くイラストは、指の数がおかしくて奇形になっていたり、表情がおとなしくて退屈な場合が多い。

そこで以下の画像のように、自分の手で手直ししてからNFT化することにした。
左がAI画伯の原画、右が僕が手を加えた例である。

表情を変えたり、明暗差をつけたり、カラーカーブを弄ったり。
一枚一枚の原画に対して、より見栄えがするように調整している。
ここには絶対に僕の個性が出るし、呪文さえあれば同じ画像が作れるというわけでもない。


【夕陽ケ丘】は単にAI画像を売るのではなく、AIを画材の一つとして、僕が好きなものを描くコレクションだと思って欲しい。

「好き」を具現化して、誰かの目に触れさせて、手渡して、価値を見出して欲しいと願って送り出している。

絵としてのクオリティこそAIに下駄を履かせてもらっているが、自分の手で描いたものと同じく誰かに届くよう、願いを込めて。

コレクション【夕陽ケ丘】を、よろしくお願いします。

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