新橋のサラリーマンは蒸留家になれるでしょうか -旅先で見つけた世界の蒸留酒 チュニジア編-
水曜です。書きます。
日本ではカルヴァドスと言えないので「果実のブランデー」でいいやってことになりました。
林檎や梨に限定することもなく、樽熟成にこだわりすぎる必要もなく、どこかに芯を持ちながらも自由に発想していきたいと思います。
意外と知らない世界の蒸留酒
そんなことを考えながら、自分はまだまだ蒸留酒の世界を深くは知りません。知ろうとするあまり教科書的な知識で頭が支配されて、左脳だけでお酒を楽しむのは損だなとは理解しつつも、余計なものは知ってから手放せばいいのもまた真理です。
というわけで、まずは我が家にある世界の蒸留酒を題材に、自分なりの理解と何らかの示唆を得ていきたいと思います。
2016年から主に海外が仕事の現場だったので、出張先や旅先で見たことないお酒を見つけてはスーツケースに限度いっぱいに詰め込んで持って帰ったものです。今になって気づきましたが蒸留酒もそれなりにありました。
チュニジアの蒸留酒「Boukha」
これは出張ではなく夫婦でチュニジア旅行に行った時のお酒。
Boukhaと書いて「ブハ」とか「ボハ」みたいな呼び方をしていました。
Eau de Vie de Figueと書いてあるように、イチジクを原料にした蒸留酒です。イチジクといえば私の最も好きな果実。食べにくさを補ってあまりあるほどの上品な甘み。日本酒との相性も抜群です。最近でこそ季節にはレストランのメニューの一皿に欠かせない食材になってきた気がしますが、まだ日常的に家で調理するにはレパートリーが少ないのが残念なところです。
そんなイチジクを原料にした蒸留酒、気になります。(数年家で寝ていましたが)
我が家にあるのは透明ですが樽熟成したものも存在するようです。アラビア圏でイチジクからどのような経緯で蒸留酒が生まれたかは詳しい情報が少ないのですが、イチジクがアラビア方面の原産であることと、チュニジアがフランスの影響(かつてフランスの保護領)を受けていることに関係がありそうです。
料理はというとオリーブオイルをベースにした、海を挟んで向かいにある南イタリアの影響を強く感じました。港町はのどかというかおおらかな雰囲気。クスクスはもちろんですが海産物の新鮮さと調理のバリエーションにはびっくりしたのを覚えています。正直、外食に期待していなかったので。
というのも、私たち夫婦が行った時が後に「ジャスミン革命」と言われる大きな政変の後で、革命後初めての大統領選挙が終わった週でした。イスラム圏ということもあり酒飲んでいい感じのレストランでワイワイというのは半ば諦めていたわけです。
じゃあ何でわざわざそんな時期にチュニジアに行ったんだという話ですが、現地に父がいたからです。実父。2年ほどの赴任予定で、農業土木の技術支援などをしていました。父は私が産まれる頃からずっと海外赴任で、幼い頃の父の記憶は「たまに帰ってくるモジャモジャ頭の黒い人」でした。
私の覚えている限り、タイ・ビルマ(現ミャンマー)・ネパール・バングラデッシュ・セネガル・コートジボワール・ザンビア・マレーシア・アフガニスタン・イラン・チュニジア・スーダン、、、、 アフリカ多めです。よくもまあ数年単位でこれだけの国で仕事作ったなあと尊敬しますが、母の大変さは想像を絶しますね。
あと数年で定年という中で、父の働く姿というか環境を知っておきたいなという想いもあって妻に相談し、1週間ほど旅行することになりました。
コロッセオではありません。こんな円形闘技場が実は残っています。
カルタゴ。行くまでその重要性を学ばずに行ったことを後悔。
松の実が入った甘い紅茶。カフェといったらこれみたいです。
地中海沿いのエリアは、いかにもな色合いの建物が立ち並ぶリゾート地も増えつつありました。
ビール。飲めるところでは飲めます。行ってから理解しましたが、イスラム圏と一口に言ってもチュニジアは比較的ソフトだそうで。街中ではノースリーブの女性なんかも目立ちました。
果たして現地人化した父と歩く日本人夫婦はどのように彼らに映っていたのでしょうか。
ということで、1本の蒸留酒が思い起こさせてくれる遠き日の思い出。いかがだったでしょうか。Boukhaについての理解を深めるつもりが、中途半端な旅行記になってしまった素人ぶりはご愛嬌ということでお願いします。
Boukhaの味は?という声が聞こえてきますが、このボトルは一度開けると閉められないタイプなので寒さの和らいだ季節の夜に楽しみたいと思います。
1本のボトルがこんな記憶まで反芻してくれる。お酒は面白いですね。今日は雑にまとめて終わろうと思います。
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