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青山学院大の出雲駅伝を振り返る

お疲れ様です、遊撃です。
10日に行われた大学駅伝の開幕戦・出雲駅伝は東京国際大の初出場初優勝で幕を下ろしました。6区にイェゴン・ヴィンセントが控えながら、彼に襷が渡った時点で既に首位。正に文句なしの完勝劇でした。来月の全日本大学駅伝も間違いなく優勝候補筆頭に上がるでしょうし、他大ファンとしては脅威にほかなりません。

さて、今回の出雲で2位に入ったのが青山学院大学。復調途上の岸本大紀や中村唯翔、スーパールーキー鶴川正也らを欠くなど決して「ベストメンバー」とは言えませんでしたが、夏場の練習をしっかりとこなし、学内選考を勝ち抜いた「現状のベストメンバー」で臨みました。出走した6人の走りをざっくりと振り返ってみたいと思います。

トップ画像は(https://www.izumo-ekiden.jp/32/)から拝借しました🙇🏻‍♀️


「エース」の強さ見せた近藤、片鱗は見せた一世

1区 近藤幸太郎 区間賞(23分41秒)
今季トラックで見せている「強さ」をロードでも発揮しました。彼の元々持っている力、そして30度に迫る暑さの中でも余裕を持ってレースを制したのを見ると、距離が伸びても、ある程度のハイペースになっても自分の展開に持ち込めそう。先にスパートをかけた選手に慌てずにつき、表情を確認し、確信を持って突き放したあたりも落ち着いていました。自信を持って走っているのが伝わってきます。昨年の全日本では悔しい思いをしましたが、今季は5000mと10000mで青学記録を樹立し、インカレを制覇。そして3大駅伝で区間賞を獲得…いよいよ押しも押されぬ「エース」に成長したと言ってよいのではないでしょうか。
全日本では7区か8区の出走が濃厚です。箱根は3区が最も適していると思いますが、クロカンでの走りや今年の7区での走りを見ると、2区や4区も「無難に」走ってくれそうです。確実に走ってくれることから1区の出走の可能性もありそうですが、できればアドバンテージを作れる区間で走ってもらいたいと思っています。

2区 飯田貴之 区間7位(16分29秒)
5000m13分台のベストタイムを持っていますが、長い距離を得意とする選手で、「主戦場」ではないスピード区間での起用となりました。他大はスピードのある選手を起用していましたが、その中である程度突っ込んで入り、粘り切ったのはさすがでした。欲を言えばもう一つ粘ってほしかった(後ろから上がってきた國學院大・木付と順天堂大・平に付いてほしかった)ですが、秒差(区間賞の木付とも13秒差)で繋いだことを考えると及第点ではないでしょうか。暑さや風の影響もあんまり感じられませんでしたし、やはりタフなランナーだなと再実感。全日本はもし走るなら後半区間で、箱根はやっぱり山ですかね。今年の箱根は疲労骨折した状態で走っていたようですし、怪我だけには気を付けてほしい。

3区 佐藤一世 区間3位(24分44秒)
首位と秒差スタート。突っ込んで入り、先頭集団に追いついてレースを進める。この序盤の展開の作り方はさすが駅伝男…まさに「エースの走り」でした。ただ暑さの影響だと思いますが、キツくなるのが早かった。普段の佐藤であれば、突っ込んで入ったとしても東京国際の丹所にもう少し食らいつけたはず(純粋に丹所が強かったですが…)。それでもトラックのタイムでは分が悪い早稲田の太田をちぎったりと、強さの片鱗は見せました。単独走も行けますが、やっぱり「競り合い」「流れている中」でこそ生きる選手だということを見せつけられた気がします。全日本はゲームチェンジャーになり得る主要区間(3か7あたりかな?)で。順調に練習も積めているようですし、箱根はぜひとも2区で見てみたいです。


「不安」残した若林、快心の横田

4区 若林宏樹 区間6位(19分20秒)
入学後ずっと安定はしているが、最近はタイムが出なくなっているのも事実(それでも大崩れはせずにまとめています)。そんな「最近のレース」が駅伝でも出た感じでした。決して走りは悪くはなかったと思いますし、ちぎられた早稲田の石塚とも本来、力の差はないはず。風の影響もあったのかもしれませんが、風だけであれだけ離れるのはちょっと考えにくい(映像を見ても、そこまで風が強いとは感じなかった)。ラストも思うように上がりませんでしたが、これは暑さのせいなのか、はたまた疲労の蓄積のせいなのか。ちょっと不安が残りました。とはいえ、力があるのは間違いないですし、本来の走りができれば区間賞だって取れる選手です。全日本については無理はせず、リカバリーの時間を十分にとってほしいなと思います。調子次第ですが、箱根は平地、走るとしたら8区か4区あたりになるのかな。とにかく、無理はしないでほしい…。

5区 目片将大 区間6位(19分40秒)
三大駅伝デビューは前を行く早稲田と30秒差、後ろからは秒差で複数校が追ってくる…という難しい展開でのスタートでした。向かい風が強い箇所で一気に離された感じでしたが、全体的にはよく粘ったのではないかと思います。ただ、東洋の石田に…とは言いませんが、國學院の伊地知にはついていってほしかった…。伊地知もいいランナーですが、目片もあそこで簡単に離される選手ではないはずです。今回の経験を糧に「押し切れる」選手になってほしいです。とはいえ夏合宿の坂TTを新記録で制し、部内選考を勝ち抜き、出雲を走ったという経験はめちゃめちゃ大きい。全日本は他の選手に出走を譲ることになるかもしれないですが、アップダウンに強いですし、箱根では478や9区あたりを走れるように準備してほしい!一度離された後は差があまり開かなかったのを見るに、おそらく単独走も淡々とこなせるのだと思う。復路向きかも。

6区 横田俊吾 区間3位(30分13秒)
決して走りやすい展開ではなかったと思いますが、「頑張れば前が見える」位置だったのは良かったのかも。あの暑さの中で前半から前を追い、後半も垂れることなく、競り合いを制して順位を上げる。本当にいい練習が積めているんだろうなぁ…と実感しました。そして初駅伝とは思えないくらい冷静なレース運びで正直驚きました。単独でも走れるし、東洋の柏を使ったり、抜くときは一気に行ったりと展開(並走する相手の様子)に応じて走りを変えられる。「ラストが切れない」(原監督)ながらも、それを見越して早めにスパートをかけてしっかりと勝ち切る。予想よりもはるかに「駅伝向き」「ロード向き」の選手なのかも。今後、間違いなく起用のプライオリティは高まるはず。全日本も期待したいし(走るなら4〜6あたりかな?)、スタミナ型の選手だろうから箱根は復路の主要区間で見たい!


「選考の難しさ」も改善傾向か。1区育成は急務

ちょっと別格だった東京国際はさておき、皆さんや原監督も言ってる通り収穫もあれば課題もありました。しかしながら2位という結果も出ましたし、全体的には良いレースだったと思います。原監督は相変わらず「全体のレベルが上がっていることで、学内選考が難しくなっている(学内選考レースにピークを持ってくる選手がおり、見極めが難しい)」ことを懸念していますが、昨年度と比較して区間順位の振れ幅が小さくなっているのを見ると、「選手選考」の課題は徐々に改善されつつあるのかなと思いました。ちなみに今回の出雲で言えば、区間順位が一番悪かったのが2区飯田の7位(区間賞との秒差は13秒)。留学生を除き、区間賞との秒差が一番大きかったのは5区目片(区間賞の東洋石田と45秒差)でした。元々、誰が走っても区間上位でまとめられるのが青山学院。今後、距離が伸びればタイム差も大きくなっていくので、その「振れ幅」と悪い方に振れた選手の成績・選考の過程に関しては引き続き注目していきたいです。

この悪条件下で結果を出した近藤と横田は本当に見事でした。大崩れしなかった目片も含め、ここに来て3年生世代に結果が付いてきているのはファンとしては嬉しい限りです。全日本では西久保遼や宮坂大器、チャンスがあれば復調傾向にある岸本や中村にも走ってもらいたいです。そして力のある1年生。太田蒼生や田中悠登あたりのデビューにも期待したい…!各選手の力の差がないこともあり、いずれにしても全日本は出走メンバーが大きく変わってきそうな気配です。

目に見えている課題としては、やはり「1区の不在」だと思います。今回は近藤がしっかりと仕事をしてくれましたが、彼の実力を考えれば本来はゲームチェンジャー、もしくはアドバンテージを広げる役割を担ってほしいところ。箱根はまだしも、全日本では1区を走るわけにはいかないと思うので、誰が抜擢されるのか注目したいと思います。個人的には3000m障害で青学記録を持つ小原響に期待しています!

今年のチームが一番の目標に掲げる箱根駅伝に向け、新戦力の台頭、そして復調途上にある主力の本格復帰に期待して、このあたりで締めさせていただきます。

頑張れ、青学!!!

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