H30/9/15「済美-松山工業」試合レポート

どうもこんにちは遊撃です。
僭越ながら「note」とやらを始めてみました。今後はこちらに投稿していこうと思います!(使いにくければlivedoor Blogに戻します笑)

以前観戦した試合のレポートも上げていきます。今回は帰省中に観戦した、愛媛県の中予大会の試合です。

平成30年度秋季四国地区高等学校野球大会
愛媛県大会中予地区予選1回戦
済美10-8松山工業(坊っちゃんスタジアム)

松工 100 510 100  計8   H12 E2
済美 002 102 05×  計10 H12 E2

松山工業スタメン
1遊 △朝比奈⑥
2右 △桝田⑨
3ニ △向井④
4投 中村①
5中 佐々木⑧
6左 入船⑦
7一 △田中③
8捕 高橋②
9三 濱邉⑤


済美スタメン
1左 山田⑦
2ニ △西坂④
3捕 芦谷②
4右 △松岡⑨
5一 △松永③
6中 徳永⑪
7三 平野⑮
8遊 △羽山⑯
9投 △泉内①

(○数字は背番号、△は左打者)

≪松山工業の先発①中村は、中盤まではヒットを打たれながらも、なんとか要所を締めていた。ただ、序盤制球に苦しんだ分球数が増え、終盤8回、球数が140球を超えた辺りで力尽きた。直球には勢いがあったが、それが中々コントロール出来ていなかったので、苦しい投球になった≫

≪済美の先発①泉内も制球に苦しんだ。ボール先行や、スリーボールになる打席も多く、松工の各打者を楽にさせてしまった。4回には四者連続四球を与え、ここで交替。一度崩れると立て直せないあたりはまだ1年生。松工の①中村のように、自分の投球が出来なくても、何とか試合を作れるようにしていきたい≫

【試合の振り返り】
1回表、松山工業は1番朝比奈が左前安打で出塁。2番桝田が送り1死2塁。2死後、4番中村のショートへの内野安打を、済美のショート羽山がはじく間に2走の朝比奈が生還し、松山工業があっさりと先制。

2,3回と済美の①泉内は得点圏に走者を背負う。しかし、センター徳永の好送球で本塁を封殺するなど、味方の好守もありなんとか無失点で凌ぐ。

すると3回裏、済美はこの回先頭の1番山田が三塁内野安打で出塁すると、犠打と四球、ワイルドピッチでチャンスを広げ、4番松岡の右前適時打と、5番松永の犧飛で逆転に成功。済美2-1松山工業。

直後の4回表、済美の①泉内は制球が全く定まらず、松山工業の6~9番打者に4者連続四球を与える。ここで済美は①泉内から⑰佐藤に投手交替。

≪済美の⑰佐藤は4,5回こそ、勢いに乗る松山工業打線に捉えられたが、6回以降は的を絞らせない投球で流れを呼び込んだ。球速があるわけではないが、差し込まれたようなフライアウトが多かったので、手元で伸びているのかも≫

無死満塁でマウンドに上がった佐藤は流れを止められず、1番朝比奈、3番向井、5番佐々木にタイムリーを浴び、結局この回済美は5失点。松山工業6-2済美。

その裏済美は1点を返し3点差とするが、直後の5回表、済美の⑰佐藤は先頭打者に四球を与える。犠打、ヒットで1死1,3塁となった後、ショート羽山の失策で再び4点差に。

5回が終わって
松山工業7-3済美

5回までは完全に松山工業のペースだった。①泉内、⑰佐藤は制球が安定せず、ストライクを取りに行った甘いボールは痛打されるという悪循環。ただ、5回終了時点で松山工業のエース①中村は99球を投げていたため、終盤に勝負所が来ることは予想出来た。

整備明けの6回表、⑰佐藤がこの試合初めて先頭打者を出塁させず、三者凡退に抑える。
するとその裏、2死から1番山田が左前安打で出塁する。盗塁で2死2塁とし、2番西坂の四球となった球がワイルドピッチとなり、2死1,3塁。西坂は盗塁で2死2,3塁とし、主将の芦谷が左前2点適時打を放つ。追い込まれてからのバッティング、勝負強さが光った。この回2点を返し、松山工業7-5済美。

これで流れが済美に行った…と思った矢先の7回表、2死から9番濱邉に四球を与える。その後、1番朝比奈、2番桝田の連続安打で、松山工業が1点を追加。松山工業8-5済美。

7回裏、8回表と両校無得点で8回裏を迎える。

この回、済美の先頭打者は代打⑬森脇。起用に応え、左前安打で出塁する。続く1番山田は四球で無死1,2塁となる。ここの2番西坂の打席がターニングポイントとなった。

西坂はバントの構え。初球はボール。2球目はバントの構えを引いてストライク。3球目はバントがファールとなり追い込まれる。夏の甲子園での戦い方を見ている限り、スリーバントで来るのかな…と筆者は予測していたが、中矢監督がとった作戦はバスターだった。1球見送った後の5球目、西坂が振り抜いた打球は右中間を抜けていった。この2点適時二塁打で1点差とすると、続く3番芦谷の左前適時打で同点とする。こうなればもう試合は決まりだ。
5番松永のレフトへの二塁打で逆転。7番平野の打球は松山工業のサード濱邉の失策を誘い、さらに1点を追加。結局済美はこの回一挙5点を奪い、試合をひっくり返した。松山工業8-10済美。

9回表、済美のマウンドには⑱若松が上がる。しかし、先頭打者に四球を与える。済美はすかさず⑩山本にスイッチ。この⑩山本が続く打者を三ゴロ併殺、ニゴロに抑える。

試合終了
松山工業8-10済美

中盤まで大きくリードを許す苦しい展開だったが、8回に疲れの見えた①中村を捉え、逆転勝利を収めた。

【投手成績(△は左腕)】
○松山工業
・中村① 投球回8 球数173
被安打12 与四球5 与死球1 奪三振6 失点10 自責点9

○済美
・泉内① 投球回3と0/3 球数77
被安打5 与四球5 与死球0 奪三振2 失点4 自責点4
・△佐藤⑰ 投球回5 球数73
被安打7 与四球2 与死球0 奪三振1 失点4 自責点3
・△若松⑱ 投球回0/3 球数5
被安打0 与四球1 与死球0 奪三振0 失点・自責点0
・山本⑩ 投球回1 球数10
被安打0 与四死球0 奪三振0 失点・自責点0

【雑感】
中盤まで済美が苦しんだ理由のひとつは、先頭打者にある。5回まで、松山工業は毎回先頭打者が出塁。1,4,5回は得点に繋がった。済美としては守備の時間が長くなり、流れを掴むことが出来なかった。しかし、6回以降は⑰佐藤が先頭打者を出さなかった。7回こそ失点したが、この⑰佐藤の投球が済美に流れを呼び、8回の逆転に繋がったのだろう。

そして、もう一つ試合を分けたのは「バント」だ。松山工業はこの試合5犠打。まずは走者を得点圏に進めようという意識が見られた。
対する済美は1つ。数に差が出た要因としては、先頭打者が出塁したイニングに数に差があることもある(松山工業は1,2,3,4,5,9回、済美は2,3,8回のみ)。
ただ、上で書いた通り、8回の攻撃は結果的にバントを使っていない。そして実は松山工業が一挙5点を奪った4回もバントは使っていないのである。
勝負所でバントに頼らず、打っていけたことが、大量得点、逆転に繋がったのかもしれない。

松山工業も終盤までよく粘ったのだが、170球を超えたエースを支える2番手の存在が無かったり、勝負所で失策が出てしまったりするあたりで、済美との地力の差が出た印象。しかし、こういう完全な「負け試合」を勝ちに持っていった済美が見事だった。先ほどバントの話をしたが、松山工業のバントは本当によく鍛えられていた。

【気になった選手】
・⑥朝比奈(松山工業、右投左打)
・⑥羽山(済美、右投左打)

朝比奈はこの試合6打数5安打。右に左に真ん中に、広角に打ち分けていた。この打者は打席での雰囲気が非常に良い。後付けになってしまうのだが、筆者は1打席目、打席に立ったときから「コレは打つな…」と思った。
ゆったりとした構えからトップは早めに作る。それでいて下半身はどっしりとして見える。構えには大阪桐蔭の藤原恭大を彷彿させるものがあった。ボールを前で捌くタイプの打者だが、タイミングの取り方も巧く、変化球を前に突っ込まずに溜めて逆方向へ打つこともできていた。センター方向への意識があるからこそ、そういう打撃もできるのだろう。
またスイングの軌道もキレイ。正直ここまで見た新チームの打者の中で一番良い打者だと思う。試合を見ていて「一人だけ社会人の選手が居る」と思ってしまった。
ただ、少しスイングが弱いか。この打者にもう少しパワーが付けば本当にとんでもない打者になりそう。ミートを気にせず振ればそこそこの飛距離は出るのだろうが、今のスイングに力を付けていく必要はあると思う。今のままでは、球威のある投手相手だと、押し込まれた内野フライが増えそう。この冬にスイングやウエイトで力を付けて欲しい。

羽山もミート力は見事。難しいボールも難なくヒットゾーンに持っていくことができる。バットにボールを「乗せれる」打者だと感じた。この打者が下位に居ると、相手としては嫌だと思う。この打者に関しても、もう少しパワーが欲しい。この試合、5回で替えられたのは何だったのだろう。

【まとめ】
済美は選手権でベスト4まで進んだことで、新人戦も出来ず、この試合が新チームの公式戦初試合だった。準備期間も約3週間。だからこそ、チーム作りはまだまだこれから。この秋の大会も、戦いながら戦力を整備していくことになりそう。事実、次戦の代表決定戦では打順などがかなり変わっていたようだ。昨年は山口直哉という絶対的エースが居たが、今年のチームはそうはいかないだろう。だからこそ、一人一人の投手の奮起がより一層求められる。

済美は元々ひと冬越えて強くなるチーム。昨年のチームも、秋の段階ではまさか甲子園でベスト4に進むまでになるとは思っていなかった人が多かったはずだ。筆者もその一人。仮に秋に結果が出なくても、能力のある選手が居るというのは分かったし、今後も長い目で見ていきたい。

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