H30/10/13 秋季東北大会2回戦「日大東北-酒田南」試合レポート

どうもこんばんは、遊撃です。

現在、東北大会観戦のため秋田に来ています。今日はこまちスタジアムで開会式を見たあと、さきがけ八橋球場の2試合、1回戦「専大北上(岩手③)-秋田商業(秋田③)」と、2回戦「日大東北(福島②)-酒田南(山形①)」を観戦しました。

その中でも、2試合目の「日大東北-酒田南」の試合レポートを書いていこうと思います。

平成30年度秋季東北大会2回戦(さきがけ八橋球場)
日大東北1-4酒田南(延長12回)

酒田南高 001 000 000 003  計4 H18 E2
日大東北 000 000 001 000  計1 H5 E2

酒田南スタメン
1一 植松⑬△
2三 吉嶋⑤△
3二 熊澤④
4右 伊藤(海)⑨△
5左 伊藤(琉)⑧△
6捕 眞砂②
7投 渡邉①
8遊 竹本⑥
9中 毛利⑮△

日大東北スタメン
1遊 黒川⑥
2捕 弓田②
3一 長峯③
4投 磯上①
5右 橋本⑨
6二 富樫④
7左 生田目⑦△
8三 印南⑭
9中 島田⑧

(〇数字は背番号、△は左打者)


【試合の振り返り】

酒田南の先発は①渡邉。191cm・113kgの堂々とした体格から140キロを超えるボールを投げ込む。今日はスローカーブを混ぜながら、ストレートの球威を生かす投球を見せていた。6回2死までノーヒットピッチング。9回に連打を浴びて失点したが、結局被安打5で1失点完投勝利。一塁に走者がいる際に、長く持ってみたり、クイックで投げてみたりという工夫が見られたのも良かった。ただ、それをしていたのが「2死1塁で走者は投手」という、そこまで走者を警戒しなくても…という場面だったので、その辺を考えながらのマウンドさばきに期待したい。フィールディングは×。冬場にしっかりと走り込みを行って体を絞ったほうが、動きにも球にもキレが出ると思う。
日大東北の先発は①磯上。身長は174cmとさほど大きくはないが、センスの良さを随所に感じる投手だった。右のオーバーハンドで球速は130キロ後半くらいか。ストレートの球筋が非常にきれいな印象。コントロールも悪くない。変化球はカーブ(スローカーブ)とスライダー、あとチェンジアップのようなボールもあったように見えた。左バッターにはインコースひざ元に落ちるスライダーと、外に逃げていくチェンジアップをうまくコーナーに投げ分けており、酒田南打線に要所での一本を許さなかった。一番センスの良さを感じたのは二塁への牽制球。体を反時計回りに回転させてから二塁へ送球したのだが、回転の軸がしっかりしており、回転そのものも早く、送球がドンピシャでショートのグラブに。フィールディングも悪くなく、投球以外のマウンドさばきの面でも光るところがあると感じた。

3回表、酒田南は1死から8番竹本の四球と、9番毛利の中前安打で1死1,2塁のチャンスを作る。続く1番の植松は三ゴロ。これを二塁へ送球して2死とするのだが、三塁へ進んだ走者のオーバーランが大きいと見て、セカンドの富樫が三塁へ送球する。これが悪送球となり走者が生還。酒田南が1点を先制する。

日大東北は酒田南の①渡邉の前に6回2死までノーヒット。ストレートの球威に押され、力のないフライが目立った。

酒田南は4回以降は毎回走者を出し、5,9回以外は得点圏に進めていたが、あと一本が出ない展開が続いた。9回表終了時点で11安打、12残塁。日大東北の①磯上が要所要所で踏ん張った。

1-0と酒田南が1点リードで迎えた9回裏、日大東北が粘りを見せる。1死後4番の磯上が中前へ運ぶと、次打者のワイルドピッチで2進。5番の橋本は三振に倒れ2死2塁となるが、先制点につながる失策を犯した6番富樫の起死回生の左中間適時二塁打で同点に追いつく。続く7番生田目も中前安打で続き、直後に盗塁も決め2死2,3塁。打席には途中出場の8番宗像。酒田南の①渡邉はここも直球で押し切りショートフライ。試合は延長へ突入する。

酒田南は10回,11回とチャンスを作るも、またしても①磯上の前にあと一本が出ない。そして迎えた12回。1死から7番渡邉が右前安打で出塁するも、次打者の打席の際、セカンドリードが大きくなりすぎ、キャッチャーから転送されて刺される。チャンスが潰えたかに思ったが、ここから8番竹本は四球、9番毛利が右中間への二塁打を放ち、下位打線で2死2,3塁のチャンスを作った。

ここで打席には1番の植松。この場面で日大東北が採った作戦は「敬遠策」だった。続く2番の吉嶋は、この試合ここまで酒田南の出場選手の中で唯一ノーヒット。作戦は妥当であるように思えた。

2死満塁となって吉嶋へ打席が回る。追い込まれてからの4球目、高めに浮いたボールを逃さなかった。

打球はレフトの前に転がり、三塁走者が生還。レフトが打球の処理を誤る間に一・二塁走者も生還し、一気に3点を挙げた。その裏、日大東北に反撃するだけの力は残っておらず、無得点で攻撃終了。

試合終了
日大東北1-4酒田南(延長12回)

終始試合を支配していた酒田南が粘る日大東北を何とか振り切り、盛岡大附との準々決勝へとコマを進めた。


【投手成績】
〇酒田南
・渡邉 投球回12 球数162 被安打5
与四球3 与死球0 奪三振6 失点1 自責点1

〇日大東北
・磯上 投球回12 球数196 被安打18
与四球5(うち敬遠2) 与死球1 奪三振7 失点4 自責点1


【雑感】
とにかく酒田南の拙攻が目立った。先発全員の18安打を放ちながらも、連打は0。残塁の数は実に17にまでなった。これはもちろん日大東北のエース①磯上の投球が見事だったこともあるのだが、酒田南打線がもう一つ狙い球を絞り切れていない感はあった。あと、中軸はパワーは素晴らしいと思うのだが、少し振り回す打撃が印象に残っている。「俺が決める」という心意気は非常に素晴らしいが、それがミートポイントのずれなどにもつながっているのかもしれない。もうボール半個上を叩いていればホームランだったのに…という打球もちらほら。大きな打球を打つことよりも、自分のミートポイントでとらえることを意識してほしい。

日大東北の打線は、酒田南の①渡邉に完全に押し込まれていた。今後高いレベルで試合をするとなると、当然この①渡邉より良い投手が出てくる。春以降にそういうチームと対戦した時にも得点を取れるよう、冬場にしっかりとスイングを重ねて、スイングスピードを上げてほしい。

日大東北の守備で1点だけ気になる場面が。1死1,2塁で、叩きつけたような三塁ゴロが飛んだ場面があった。おそらく併殺は無理なタイミングだったと思うが、サードの印南は二塁へ送球。二塁は封殺したが、結局アウトを一つしか取れなかった。

この場面、併殺が無理であれば、印南は三塁ベースを踏んで2死1,2塁とした方が良かった。基本的には、先の塁でアウトを取るのが鉄則。印南がどこまでのプレーを想定をすることができていたかは分からないが、最善の判断ではなかったということは事実だ。アウトカウント、打者の力、走者の足、次打者の打力などなど、様々なことを頭に入れながらプレーをしてほしい。

両投手の投球は見事。援護がない苦しい展開だったと思うが、お互い根負けしなかった。ひと冬明けてからの成長にも期待したい。


【まとめ】
これほどまでに「決め手を欠く」展開は久しぶりに見た。ただ、両チームには明確な力の差があったと思う。その差を日大東北の①磯上が一人で埋めようとしていた印象を受けた。打線でも4番を打ち、9回の同点劇を演出。まさに「孤軍奮闘」という言葉がぴったりだったと思う。

日大東北が上に行くには、磯上ひとりに頼っていてはいけない。投手としての力はさておき、打線では6番あたりを打たせることができるように、一人一人の打力を上げていく必要があると思う。実際に磯上がそのあたりを打てるようになれば、得点力は格段に上がるはずだ。

酒田南は苦しい試合だったが、勝ち切ったことに意味がある。9回もそのままひっくり返されていてもおかしくなかったが、何とか踏ん張り、勝ち越した12回も2死からしぶとく繋いだ。こういうところは次につながる。準々決勝は岩手の1位校である盛岡大附との対戦になるが、この一戦で得た経験を存分に生かして、立ち向かっていってほしい。


好投手を擁する両校。ひと冬明けた後に大いに期待したい。

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