H30/9/17「松山城南-松山北」試合レポート

どうもこんにちは遊撃です。

今回は帰省中に観戦した「松山城南-松山北」の試合レポートになります。勝った方が県大会に進出する一戦。勝敗を分けたのは…。

平成30年度秋季四国地区高等学校野球大会
愛媛県大会中予地区予選 代表決定戦
松山城南6-4松山北(坊っちゃんスタジアム)

城南 000 004 020 計6 H13 E0
松北 000 013 000 計4 H8 E2

松山城南スタメン
1遊 堀内⑥
2中 松尾(大)⑧
3三 △兵頭⑤
4左 △佐久間⑦
5右 △松尾(颯)⑨
6一 △河原③
7投 石川①
8捕 宅見②
9二 浜本④

松山北スタメン
1右 菅(創)⑨
2二 山本④
3投 川崎①
4遊 新宮⑥
5一 菅(山)③
6捕 △福谷②
7三 大田⑤
8左 楠⑲
9中 二宮⑧

(○数字は背番号、△は左打者)
≪松山城南の先発①石川は、最速は135キロ出るか出ないかの体感。しかし、球速以上に速く感じさせるキレとノビがありそう。松山北打線はかなり差し込まれていた。冬場に走り込みやウエイト、投げ込みを十分に行えると、夏には140くらい出るようになっているかも。ストライクが取れないわけではないが、少し球が荒れていたのが気になった≫
≪松山北の先発は①川崎。夏も登板しており、経験は豊富。球速は135キロほどだが、球に力があり、直球で空振りを奪えていた。この日はコントロールに苦しむ場面が多く、与えた四球は6。この試合は登板したイニングは毎回得点圏に走者を背負った。5回まではなんとか凌いだものの、6回と疲れの見えた8回に捕まった≫

【試合の振り返り】
4回まではお互い無得点。しかし、その内容は対照的だった。
松山城南は1回は2つの四球、2回は敵失とバント安打。3回は2本の安打、4回は安打と犠打で、毎回得点圏に走者を進めた。
対する松山北は、4回までヒットはわずか2本。得点圏に走者を進めることができたのは3回だけだった。

試合が動いたのは5回。

松山城南は、この回先頭の2番松尾(大)が右前安打で出塁。続く3番兵頭のとき、國尾監督はランエンドヒットを仕掛ける。兵頭の当たりは左前安打となり、無死1,3塁。4番佐久間は三振に倒れるが、その間に兵頭が二盗を成功させ、1死2,3塁。5番松尾(颯)は四球を選び1死満塁となる。

打席には6番河原。先制点の懸かるこの場面で松山城南が採った作戦は「スクイズ」だった。

しかし河原はバントを空振り。3塁走者はスタートを切っていなかったが、2塁走者はサードベース近くまで来ていた。松山北の捕手福谷はすぐさま三塁手の大田に転送し、2塁走者をタッチアウト。その間に1塁走者が2塁を狙っていた。1塁走者が挟まれている間に、今度は3塁走者が本塁を狙う。

松山北のショート新宮がそれに気付き、本塁へ送球。これがアウトとなり、松山城南は先制点を取ることが出来なかった。

その裏、この回先頭の5番菅(山)が中越三塁打でチャンスを作ると、7番大田がセンターへの犠牲フライを放ち、松山北があっさりと1点を先制する。

5回終了
松山城南0-1松山北

6回表、松山城南は1死後、7番石川が四球で出塁。8番宅見が左前安打でチャンスを広げるも、続く9番浜本のバントは3塁で封殺。2死1,2塁となる。

一打同点のチャンスで打席には1番主将の堀内。2球目、ファーストストライクを積極的に振っていき、右前適時打となった。続く松尾(大)も中前適時打を放ち逆転に成功。その後2死満塁から、4番佐久間の打球を松山北のショート新宮が失策。その間に2点が入った。結局この回松山城南は一挙4得点。

その裏、松山北は反撃に出る。9番二宮、2番山本、3番川崎の安打で1死満塁とすると、打席には先ほど得点に絡む失策をした4番の新宮。カウント1ボールからの2球目、高めに浮いたボールを逆らわずに右中間へ持っていった。ボールが転々とする間に、走者がすべて生還。新宮がミスを取り返し、松山北が同点に追い付いた。

ただこの場面、浅く守っていた中堅手と右翼手の間を打球が抜けていったのだが、打った新宮は1塁でストップ。前の走者のスタートが悪かったわけではない(むしろ好スタートだったからこそ一気に生還できた)。それを考えると、最低2塁までは行って欲しかった。1死1塁と1死2塁では守備側のプレッシャーも変わってくる。結局この回、松山北は更なる追加点を挙げることは出来なかった。

松山城南のエース①石川は、5,6回と高めに浮くボールが目立っていたが、松北打線はそれを逃さなかった。

7回は両者ともに無得点。
松山城南4-4松山北

8回表、松山城南の攻撃は2番の松尾(大)から。
松尾(大)は四球。1死後、4番佐久間の時に松尾(大)が盗塁。佐久間は右前安打で1死1,3塁とチャンスを作る。この時点で松山北の①川崎の球数は140に迫り、限界を迎えていた。

続く5番松尾(颯)は左中間を真っ二つに破る適時二塁打を放ち、松山城南が1点を勝ち越し。松山北の①川崎はここでマウンドを降りる。

松山北選手交替
投:川崎①→三
三:大田⑤→遊
遊:新宮⑥→投

なおも1死2,3塁から6番河原はきっちりとレフトへ運び、犠牲フライでもう1点追加。終盤に大きな2点が入った。

松山北は8,9回と①石川を捉えることが出来ず、無得点。

試合終了
松山城南6-4松山北

終盤に松山北を突き放した松山城南が県大会進出を決めた。

【投手成績】
○松山城南
・石川 投球回9 球数99
被安打8 与四球2 与死球0 奪三振2 失点・自責点4

○松山北
・川崎 投球回7と1/3 球数143
被安打13 与四球6 与死球0 奪三振6 失点6 自責点4
・新宮 投球回1と2/3 球数17
被安打0 与四死球0 奪三振1 失点・自責点0

【雑感】
松山城南は9回以外毎回得点圏に走者を進めるも、得点を挙げたのは6,8回の2イニングのみ。この試合の残塁数は13。効果的な1本が出ていれば、もっと楽な展開になっていたはずだ。

5回にスクイズを失敗した場面では、3塁走者がスタートを切っていなかったことも気になった。サインミスなのか、セーフティスクイズだったのか分からないが、いずれにしても意思疎通が出来ていないプレーに思われた。

ただ、松山城南は守備が堅い。試合前ノックを見て驚かされた。ボール回しはスピード感は無いのだが、その分丁寧さが窺えた。しっかりとしたステップを踏み、胸元へ正確な送球。これを内野手全員が意識できていた。その意識が出来ているからこそ、ゴロの処理でも送球が乱れる場面はほとんどなかった。秋の段階でここまで守れるチームは中々無いと思う。これだけ守ってくれると①石川は安心して投げれるはずだ。

松山北は得点した5,6回と7回以外は、松山城南の①石川の前に先頭打者を出せていない。打線として、早いカウントから打っていく打撃が目立った。その結果、①石川にわずか99球での完投を許している。

勘違いされそうだが、決して早打ちが悪いわけではない。甘く、打てるボールはどんどん打っていくべきだ。なぜか。投手有利のカウントになれば、バッテリーは「打ち取るために」厳しいコース突いてくる。そうなれば良い打者でも打ち返すのは難しい。

投手有利のカウントとは所謂「ストライク先行」である。となると、当然投手としては早いカウントからストライクが欲しい訳だ。ストライクを「取りに来た」ボールは甘くなりやすい。それを打っていくのは悪い選択ではない。

ただ、「打っていく」のと「打たされる」のは違う。ストライクを「取りに来た」ボールを何でも打てば良い、という訳ではない。それではバッテリーの思うつぼだ。バッテリーは初球が狙い球であることは頭に入れた上で、初球の入りを考える。それを考えず、とにかくファーストストライクを振る打撃、これが「打たされる」打撃である。

記憶に新しいかもしれないが、今年の夏の甲子園「常葉大菊川-日南学園」の日南学園打線は正にこれだった。その結果、常葉大菊川の漢人に88球で完封されている。

では「打っていく」とはどういうことか。ストライクを「取りに来た」球の中でも、コース、球種を絞って振っていく。これが「打っていく」打撃である。この日の松山北打線からは、ここまでの意図は感じられなかった。だからこそ、①石川に楽な投球をさせてしまった。

ただ、6回に関しては浮いたボールを振っていくことが出来ており、得点に繋げることができた。その攻撃が早い段階から出来ていれば、また違った展開になっていたかもしれない。

【気になった選手】
・⑥堀内(松山城南、右投右打)
・⑥新宮(松山北、右投右打)
・⑧二宮(松山北、右投右打)

堀内はとにかく堅守。難しい打球もグラブで捌けていた。それを可能にしているのがグラブの使い方。下から上の動きが徹底されていた。送球も安定感があり、強い送球が出来ている。ただ、待って捕球することが多かったので、もう少し足を使って守備をして欲しい。その時、打球にしっかりダッシュが出来るとなお良し。打撃はもう少し振る力をつけたい。

新宮からは身体能力の高さがうかがえた。ショートの守備はまだまだ粗削りだが、冬場に沢山ノックを受ければかなりの選手になる可能性を秘めていると思う。マウンドでも力のあるボールを投げ込み、完全に城南打線を押し込んでいた。その肩はショートで生かして欲しい。

二宮はシャープなスイングが目立った。センター返しの意識がしっかりしており、高めの球に狙いを絞って「打っていく」打撃も出来ていた。振る力が更に付けば、春以降は上位を打っていてもおかしくない気がした。基本に忠実な良いバッターだった。

【まとめ】
試合としての流れを持ってくるには何が必要か、それが如実に現れた試合だったと思う。いかに守備の時間を短くするか、いかに効果的な一本を放つか。その意味で言えば、この試合はお互いが自らの流れを手放していく展開が多かった。

今後、試合を重ねる中でそういう試合展開は必ず訪れる。その中で、どうやれば勝利に近づけるのか。両校にはこの経験を生かして欲しい。

松山城南には県大会、大いに期待したい。秋に見たチームの中では一番完成度が高いディフェンスをしていたと感じた。仮に結果が出なくても、秋の段階でここまでの完成度なら、春以降が本当に楽しみだ。

P.S.
試合のスコアを添付しておきます

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