平成30年度秋季近畿大会準々決勝①「龍谷大平安-市立和歌山」の見どころ

どうもこんにちは、遊撃です。

1回戦の戦いぶりを踏まえて、準々決勝の見どころを書いていきたいと思います。まず第1回目は「龍谷大平安-市立和歌山」です。

それぞれ1回戦の勝ち上がりを見ておきましょう。

龍谷大平安(京都③)4-3天理(奈良①)
龍谷大平安は初回、天理のエース桂田の立ち上がりを攻め、北村多田水谷の3連打で2点を先制。4回には豊田の内野安打、6回は中島の二塁打で効果的に追加点を挙げ、終始試合を有利に進めた。先発の豊田は9回に天理の4番川端に2点本塁打を浴びたが、9回途中を散発の5安打3失点と好投。低めにボールが集まっていたのが印象的だった。

市立和歌山(和歌山②)8-4近江兄弟社(滋賀②)
打線がつながりを見せた市立和歌山が、近江兄弟社を下して準々決勝進出を決めた。試合は序盤から点の取り合いとなるが、4回に2番下井田、3番緒方、4番柏山の3連打と、相手の失策で挙げた4点が勝負を決めた。先発の岩本は13安打を浴びながらも、出した四死球は0。無駄な走者を出さず、中盤以降は要所を締める投球が光った。

各校選手の初戦成績をまとめます。(〇数字は背番号、△は左打ち)

〇龍谷大平安
1中 中島⑧△ 4ー2(二塁打1)打点1
2二 北村④  3ー2(二塁打1)犠打1
3捕 多田②  3ー1 四球1
4右 水谷⑨  4-2(三塁打1)打点2
5三 奥村⑤  4-0 失策1
6一 三尾③△ 4-2
7遊 羽切⑥  4-0
8左 半保⑦  4-2(二塁打1)
9投 豊田①△ 4-1 打点1
→投 野澤⑪△(9表) 打撃成績なし

投手成績(△は左投げ)
・①豊田△ 投球回8と2/3 球数122 被安打5
与四球4 与死球1 奪三振3 失点3 自責点3
・⑪野澤△ 投球回1/3 球数4 被安打0
与四球0 与死球0 奪三振0 失点0 自責点0

〇市立和歌山
1三 山野⑤  4-4 打点1 四球1 死球1
2二 下井田④ 5-3 打点1 犠打1
3遊 緒方⑥  5-3(二塁打1)打点2 犠打1
4右 柏山⑨  6-2 盗塁1
5中 上原⑧△ 4-0 四球1
6捕 米田②  4-2(二塁打1)打点1 死球1
7一 片上③  3-1 失策1
H一 南出⑫(6表)2-0
8左 瀧谷⑦△ 4-2 犠打1 盗塁1
9投 岩本①△ 3-0 犠打2

投手成績
・①岩本△ 投球回9 球数157 被安打13
与四球0 与死球0 奪三振8 失点4 自責点2

【試合の展望】
1回戦の戦いぶりを見た感じ、7~8点勝負になりそう。両校とも打線が活発である点、初戦と続いて左腕との対戦となる点からの予想だ。

龍谷大平安は府大会を見た印象では、初戦はかなり厳しい試合になるだろうと予想していた。しかし、試合前ノックを見てその不安が吹き飛んだ。たった2週間ほどでここまで仕上げてくるのは流石だった。

打線は初戦で12安打を記録。その先陣を切ったのが左腕を苦にしない2番の北村だ。天理の桂田の外から入ってくるカーブを狙い打った右前安打は見事だった。次戦も左腕岩本の先発が予想される。北村の打撃に注目したい。4番の水谷も徐々に調子を取り戻しつつある。トップを作るタイミングは相変わらずやや遅れ気味。しかし、市立和歌山の岩本はそこまで球速がないため、タイミングが合ってかなり打つのでは…と予想している。下位を打つ三尾半保も府大会からの好調をキープしており、初戦はともに2安打。左腕を苦にするようなそぶりもなかった。

初戦、平安は1回に2点、4,6回にそれぞれ1点を挙げるのだが、いずれも3本の安打を集めて得点している。ここぞの場面での集中力は見事だった。しかし、先頭打者を出しても点につながらないイニングも3度あった。無死2塁から3番多田が右打ちを試みて投ゴロ、走者を進めることができず、なんていう場面も。連打が出ないときにどうやって走者を進めて、少ない安打で得点していくのか、というところにも注目したい。

龍谷大平安のエース豊田は、天理の強力打線に対してボールを低めに集め、丁寧にコーナーを突く投球で失点を最小限に防いだ。スローカーブを使って緩急をつけながら、天理打線を文字通り打たせて取った。市立和歌山戦も、ボールを低めに集める、丁寧な投球に期待したい。

ただ、市立和歌山の打線からは、それをものともしないだけのスイングスピードが感じられた。初戦は1番山野、2番下井田、3番緒方の3人で10安打を記録。特に山野のスイングには度肝を抜かれた。165cm,67kgと体は小さく、パワーは比較するに及ばないが、その打撃は先日のドラフト会議で福岡ソフトバンクホークスに指名された早稲田実業の野村大樹を彷彿させるものがあった。スイングスピードが速いため、ボールをぎりぎりまで見て、センターから逆方向中心に強い打球を打つことができる。ファーストストライクから積極的に振っていく姿勢も素晴らしい。平安戦も彼の打撃からは目が離せない。

山野だけでなく、チーム全体として「ファーストストライクを振っていく」意識が強く見られた。その率は実に.682(犠打と1球もストライクのなかった四死球は除いて計算)と高い。制球力のある豊田が相手となるだけに、狙い球を絞って振っていけると好結果に結び付きそうだ。

打つだけでなく、バントもしっかり決めることができており、初戦ではチーム全体で5個の犠打を記録している。いずれもファーストストライクでしっかり転がした。初戦は4度の連打があり、そのうち3度を得点へと繋げたため、試合を優位に進めることができたが、連打が出なくても点を取る術を心得ていそうだ。

先発が予想される岩本は、ある程度は打たれるだろう。ただ、初戦のように四死球を極力減らし、無駄な走者を出さない投球を心がけることができれば、要所を締める投球ができそうだ。クロスステップのため、左打者は外側のボールがかなり遠くに見えるはず。左打者には外のカーブとストレートで、右打者には外のチェンジアップで「打たせる」投球をしていきたい。

これらを踏まえた上で試合展開を予想してみます。
序盤から点の取り合いになり、4回ぐらいまでに両チーム5点程入りそう。中盤は膠着状態が続き、7回か8回の終盤に両校にチャンスが訪れ、それを市立和歌山がものにして突き放し、最後は粘る平安を振り切る、という形になりそう。現状の予想は8-6市立和歌山勝利と予想します。

ただ、試合前ノックや当日の雰囲気を見たらまた大きく変わる可能性もあるので、当日の私のツイートも楽しみにしておいてください。

勝てば来春の選抜への出場が「当確」となる一戦。そんな準々決勝の戦いぶりで、そのチームの本当の力が見えてくる。記録に現れない部分をしっかりと見てこようと思います。

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