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すっかりばぁばになっていた

秋晴れの公園に犬とピクニックにでかけた。
レンタサイクルがあって、サイクリングロードなるものが園内にある。
遊歩道とサイクリングロードの交差するところで
自転車の練習をしている親子の、2台の自転車とすれ違った。
男の子がまだうまく乗りこなせず
あわやパパに衝突しそうなのを必死でこらえて転んでしまった。
がんばって再スタートしたいのだが、気持ちが焦ってバランスがとれない。
パパはそれを知りつつ、振り向きもせずに走っていってしまう。
遠ざかるパパの背中を目で追いながらぐらぐらする自転車を必死でこぎ出そうとするけれど、サイクリングロードゆえ、あとからあとから自転車が来る。自分よりも年下の女の子がスイスイと脇を通り抜けてゆく。
みたところ、将来は、サッカー部というより将棋サークルといった感じの、このサイクリングロードにデビューするのはちょっと無謀な感じの少年だった。

先日も、ゴルフ練習場でそんな親子をみた。
将来息子にゴルフをやらせようとしているわけでもなさそうで
パパは自分の練習に夢中(そんなにうまくない)
でも、息子が上手に打てないことを叱り
真剣にやれと睨む。
そのうち男の子はボールを買いに行ったが、でてくるところにカゴをおかなかったもんだからゴロゴロとたくさんのボールが床に転がってしまった。
『パパに見つかったら大変だ』と、必死でひろっているそのひきつった顔。(結果見つかってもっと叱られていた)

自転車の子もゴルフの子も、こんな日曜日ってどうなの?って
かわいそうになってしまった。
ちっとも楽しくないよね。

駆け寄って
だいじょうぶだよ!
自転車は必ず乗れるから。
っていってやりたくなる。

パパにとっては「ちょっと教えたらすいすい乗りこなす息子」が理想だよね。それなのに息子があまりにどんくさいので、励ますこともやめてしまったのかな。
幼い子供にとって、イライラしているパパはどんなにこわいだろうね。
それで余計にミスが重なるよね。

私は子供の頃、母がスーパーから買ってきた卵を冷蔵庫の卵の棚に並べるというミッションがあって、落としたり、強く握りすぎて割ったり、そのたびに母の「もう!どんくさい子!」という視線がたまらなく嫌だった。
とて、このお手伝いを拒むのも余計に叱られる。
母が「しつけの本」だか、何かの雑誌できっと、「子供の集中力を高める日常のお手伝い」みたいなのを知り、失敗するのがわかっててやらせているのがみえみえだったからだ。
ほんとに嫌な思い出だ。
今でも卵をしまうときに毎回思い出す。
そして、できても褒められず、できないときだけ責めたあの時の母を憎らしいと思っている。

幼少期のトラウマは深いのかもしれない。

公園にいたパパと、練習場のパパには
あんたも自転車で何回も転んで泣いてたじゃないの!
ゴルフの練習したいのか息子と遊んであげるのかどっちかにしなさいよ!
と言ってやりたい。
会社で上司がイラついてるのに焦って、さらにミスを重ねてしまった経験はないのか?

母のことを憎らしく思った私も、子育て時代には同じような、いや、それよりもっと理不尽なことも息子にぶつけてきたと思うが
子供時代・親の時代を通り過ぎて
今はすっかりばぁばの心境だなぁ。




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