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EEIC2Aの授業を振り返る(2021)

これから進振りでぼんやりとEEICを狙っている方や、EEICに内定が決まった人が各授業の概要や、学科の雰囲気を知るために書いた記事です。
まず、全体的な学科生活(といってもオンライン比率高め)について触れ、その後に各授業の内容や、教科書の必要性、授業のレベル感などについて触れていきます。

進振りはEEICへ

EEICって何?

東大工学部の電気電子工学科と電子情報工学科をあわせてEEICと言います。いわゆる電気系。何の略称かは調べてください。

向いてる人

  • 情報系でソフトにもハードにも興味関心がある人

  • 電子工作が好きな人

  • エネルギー系に関心がある人

  • 大学の授業でガッツリと勉強をしたい人

  • ある程度ハードなスケジュールにも耐えられる人

向いてない(かもしれない)人

  • 学科生活はあくまでも自分の生活の一部に過ぎず、自分の中で決まっている物事を集中してやる時間がほしい人

要考慮な人

  • プログラミング大好きすぎて情報科学しか興味がない人(情報系だと思って入ると電気系の科目(必修)に殺されることがあるので、気をつけてください。電情なら3年以降は割とほぼほぼ情報系のみでいけるので半年の辛抱かもしれない)

  • 電情が底点高くて電電に行ければヨシ!と思ってる人(後述)

電情電電の違い

応物(計数工学科+物理工学科)みたいに、2つの学科で揃って行動することが多いです。実際、学科間の間での壁みたいなのはなく、みんないっしょだ~って雰囲気です。授業も同じものが取れます。卒業までに限定選択なるものを各学科36単位(32単位+4単位(4年で取る分))取らないといけないのですが、この限定選択に入る講義が学科によって多少異なってくるのが違いです。あとは学科進学後、のコース選択などで差異がありますが、ここでは触れません。ちゃんとガイダンス聞いてね!ちなみに、研究室配属に学科や学科後のコースは関連がない(らしいです)。
電情が底点高いから電電に行くかぁという人は限定選択について要注意で、電電の限定選択は当然電気色の強いものが多く、情報系の授業をもぐもぐとしていたら、限定選択が全然足りないなんてことになる可能性があります。(例えば、オペレーティングシステムや人工知能という授業は電電の人にとっては、限定選択ではないが、受講することの出来る科目です。)
情報系好きだけど、電電でもいいですか?という人についてはデバイス(半導体や光)や電子工作など物理・制御に興味があるかどうか、は割と重要な指標だと思います。CPUの内部について(回路などではなく、物理現象として)興味があったり、電子工作でプログラミングしたものを実際に動かしたり、IoTが好きだという人は電電がむしろ向いている可能性もあります。

学科生活(2Aだけ)

当然のように週3~5日1限があります。(とりあえずオンラインのみでしたが。)回避しようと思えば、0コマも出来ますが、ほぼ無理と思っておいてください。コマ数的に言うと、取れる授業を全部取ると21コマ?くらいあったはずです。大体の人が18コマくらいに収まりますが、それでも前期教養がGAP制で30単位/セメスターに制限されていたことを考えると、馬鹿みたいに忙しいです。当然課題も出ますし、中間試験もあるので、バイトやサークルと言った、勉強の方の大学生活も充実させたい人はそれ相応の覚悟が必要です。
参考までに、僕は中間が7個、期末が11個ありました。時期は割と分散するので、常に試験があるような感覚です。試験があっても課題は出続けるしね。まじで忙しいよ、この学科。ただ、授業内容はそれなりにみんな面白くて身につくと美味しいです。あと周りも優秀で自分も頑張ろうという気が湧く環境は大事ですね。

基本的に先生たちは、学生に対して優しいです。これは多分想像ですが、先生間の意思疎通がしやすいために学生への負荷状況が把握しやすいということがあると思います。あとは先生も電気系出身が多くて共感してくれることが多いのかな。(例えば、課題の期限が試験に被るということで延期になったり、オンライン試験と対面が被った日は対面出席しなくても大丈夫になったりしました。)学科事務と学生の距離がぐっと近づくので前期教養の教務課みたいなは?何それ?みたいなことが起こりづらいです。(どこの学科でもそうかもしれんが)

対面出席に関しては要注意で、月火の必修(3,4限)が出席を対面で取るという形でした。(来たら救済があるみたいな形)とはいえ、1,2限があるので割としんどいことは変わりません。僕の場合は駒場より更に西に住んでたので、本郷への登校が普通にしんどかったです。

学生同士は、オンラインだとやっぱ交流は少なめですが、主にTwitterを介して結構仲良くなります。あとは学習グループという名の最初の方に学科民どうしで交流するグループが作られるのでそこでもある程度繋がりが出来ます。学科民は強い人も多いですが、Twitterのヤクザみたいな人は少ないように思えます。みんな優しくていい人ばかりです。


EEICの授業

ここから授業について振り返ります。

月1 信号解析基礎

教科書:あってもいいが、丸善で見ることが出来る
出席:あり(オンライン)
課題:中間レポート
おすすめサイト:やる夫で学ぶディジタル信号処理
簡単に言うとフーリエ変換について学ぶ授業です。フーリエ変換は、色んな所で出てきて、クソ大事な概念なので、月1という時間にありながらも、割とみんな出席します。先生は優しく、授業もちゃんと聞いていればそこまで理解に苦しむことはないと思います。ただ、自己相関やらをやる後半はちょっと抽象度が増して大変でした。前半パートだと折りたたみ積分が最初理解しづらいかも。
中間レポはこれまでの授業内容を自分なりにA4一枚にまとめろというものです。レポートにまで優しさが滲み出ている。


月2 ディジタル回路

教科書:特に必要ではない。e-bookで英語版が見れる(講義資料・録画がすぐに公開されます)
出席:なし
課題:なし
EEIC名物(なのか?)VRChatでの講義です。VR参戦可能です。対面が始まった都合で、途中からVR参戦できなくなってしまったのが辛い。講義内容は、論理回路について学んだ後、組み合わせ回路、順序回路についてやるみたいな感じです。CPU設計とかに興味ある人はめっちゃ面白いと思います。
1ヶ月くらいですぐに中間試験があり、前半の大事なパートが試験に出ます。期末もあります。

一応こっちが教科書ですが、授業自体は下の参考書の方に従って進みました。


月3,4 電気磁気学ⅠⅡ

教科書:いらない。スライドが丁寧
出席:あり(対面)
課題:毎回
前後半で先生が交代します。前半は電気について、後半は磁気も混ぜて、講義が行われます。どちらも講義資料が丁寧でわかりやすいです。毎回演習問題と課題が出るので、割と負荷は重めですが、まぁ力は普通につきます。
前後半あるということは中間があるということです。後半は結構ハードかもしれない。前期教養から大きく発展した内容を扱うみたいなことはなく、前期で勉強が不十分だった人はいい復習になると思います。

火1 情報通信理論

教科書:なくていいが、課題が教科書から出る(学科民が写真くれるとは思います)
出席:あり(オンライン)
課題:たまにでる(2回くらい出た)
情報理論について学びます。情報量の定義・エントロピー・相互情報量・ハフマン符号化・ランレングス符号化・巡回符号・情報源符号化定理あたりが重要概念です。
一応教科書はあるんですが、講義との対応が取りづらいです。あと教科書も演習問題に解説がなかったりして割と不親切。有名な本ですが。先生の板書が高度に圧縮されており、不可逆になることが多々あります。


火2 電気電子計測

教科書:必須(ないと試験勉強はまず出来ない)
出席:あり(オンライン)
課題:毎回
実験機器や、電気系のデバイスの基礎となる概念などを学びます。先生執筆の教科書に沿って講義は進みます。というか、教科書のゆたかな内容がすべてです。先生の講義も教科書を音読しつつ、図の解説などをゆたかに付け足すみたいな形なので、教科書さえあればなんとかなります。期末試験が1/4にありました。(先生はこんなに早い時期にやったことはないですねって笑ってたけど、大学2年にもなって年末年始勉強させられるこっちの身にもなってほしい。)
教科書まるごと試験なので、割と勉強は大変ですが、内容は結構おもろいので、やればやるほど楽しいです。あと実験で役に立つらしいです。


火3,4 電気回路理論第一

教科書:いらない
出席:あり(対面)
課題:毎回(講義時間内提出は加点)
前後半で分かれるタイプの講義です。といっても分かれ目は素人目にはよくわかりません。前半は微分方程式が出てこなくて、後半は微分方程式(ラプラス変換)がいっぱい出てくるみたいな認識でいいのかもしれない。
割とがっつり回路のことをやるので、情報系しか興味ない人は息切れしてくるかもしれないです。ここで扱う回路ってTHE電気みたいな感じでデバイスともちょっと違う感じで、エネルギー系に近いです。
鳳テブナンとノートン・三相交流が前半のキーです。
後半のキーはラプラス変換です。
後半の先生がうおおおおって感じで授業進みます(伝わらん)

水2 プログラミング基礎演習

教科書:ない
出席:ない
課題:毎回+期末レポート
前後半でC言語とPythonが変わりますが、先生は変わりません。先生のあまりにも簡潔で無駄のないスライドによる非常に洗練された講義の後、各自で課題をこなします。洗練されすぎていて、完全にプログラミング未経験みたいな人が悲鳴をあげていることが多々ありました。期末レポートは独立成分分析を実装しろみたいなやつでした。(2日もあれば出来たのでそこまで重くはないと思うが、解説pdfがわかりづらいので気をつけてください。)ただ、やってる内容は普通におもしろいです。

水3 数理手法Ⅰ

教科書:いらない。ガッツリやりたい人は統計学入門(赤本)あたりあるといいかも
出席:ない
課題:毎回
今年で先生が退官するとのことで、来年以降はどうなるのか知りません。基礎統計の強化版みたいな授業が目指すところなのかもしれませんが、講義についていく人が全くいないです。先生は統計の本を複数執筆してるのですごいのかもしれませんが、講義はゲフンゲフンです。過去の先輩によるレビューも見てみましょう。

💩
◯◯
冷静なdis

ここまでみんな揃って言うのもなかなかないと思いますが…。僕から特に先生について言及することはありませんが、まぁ講義内容はお察しください。
ちなみに講義資料は一切くれません。(著作権云々でごねられます)
課題はまぁなんとかなりますが、EXCEL回が地獄の様子を呈するので、覚悟しておいてください。まじでだるいです。普通に赤本買って11月だかの統計検定の勉強したほうが良かったかもしれん。まぁ単位稼ぎですね。


水4 数学1D

教科書:いらない(資料が丁寧)
出席:ない
課題:初回のみ
常微分方程式、変分法、ベクトル解析をやります。常微分方程式の範囲で中間が出て、残りが期末みたいな感じです。EEICでは変分法を扱う授業が他にないため、この講義で3コマ程度で解析力学を終わらせることになります。普通に理解できないので諦めておきましょう。EMANとか、物理のかぎしっぽ見ておけばちょっとわかります。ベクトル解析は数学演習で多少やるのでまぁ多分大丈夫。常微分方程式については、この授業が最初に扱うことになると思いますが、結構暗記量が豊富なのでそこそこ頑張る必要ありかもです。ちなみに絶対単位くれるマンで有名らしいです。(初回の課題出してあと試験欠席しても可が来て困った先輩がいるとかいないとか)

水5 数理手法Ⅷ

教科書:いらない(講義ノートと資料で済む)
出席:ない
課題:ほぼ毎回(ラスト2回くらいでない)
PageRankとかいうGoogleにおける線形代数の実用例を勉強したり、特異値分解による画像圧縮を見てみたり、確率分布について実際にMATLABを使って勉強したり、ネットワークについて見てみたりする授業です。なんか、全体的に何がやりたいのかわからずふわふわしてますが、はえーって聞いて課題(紙に計算する回とMATLABで色々実装する回がある)をやっておけばなんとなく身につきます。ある意味工学部っぽい授業ですね。期末はレポートという名の試験です。資料閲覧可のためか、やたらと記述問題が出されてちょっとびっくりしました。

木1,2 電子基礎物理

教科書:ほぼ必須(スライドだけで出来なくもない)
出席:ない
課題:毎回
オススメ参考書:清水量子論・田崎統計
前半と後半で先生と内容が分かれるタイプの授業です。つまり、中間試験があります。前半は量子論、後半は統計力学について学びますが、あまりにもサクサクと理論部分が進みます。どれくらいサクサクかというと田崎統計で2巻に渡って議論されている部分を、1冊の半分より少ないページ数で終えて、半導体のモデルで計算しはじめたりします。ちなみに、教科書は担当の先生のものなので、講義そのままです。工学部なので、基礎とかいいつつ、半導体に役立てるための物理という感じで、理論より、実際のモデルにおける計算のほうが比重が大きい気がします。当然授業は爆速で、自習しない限りついていけるとかいうことはまずありません。4単位あるのですが、実は電情の人は限定選択ではないです。が、電子デバイス基礎のことを考慮すると取ったほうがいい気がします。前半の先生はめっちゃ眠そう。後半の先生はガチで見た目がいかつい。


木3,4 ソフトウエアⅠ(A1)

教科書:K&Wはお守りなので買いましょう(なくていい)
出席:ない
課題:毎回
おすすめサイト:苦しんで覚えるC言語
C言語を0からやります。本当に0からやります。HelloWorldから。先生の作ってくれているGithub pagesによる講義サイトが神のように充実しており、課題はGitHubに提出するというなんか、今どき~って感じの授業です。先生が比較的歳が近いため、授業も聞きやすいのかもしれません。ここでポインタの概念をしっかり学んで置くと後々楽だと思います。先生がいい意味でオタクで、楽しいです。講義の合間の雑談がメインまである。期末課題はチーム戦ですが、そんなに心配しなくてもなんとかなります。


木3,4 ソフトウエアⅡ(A2)

教科書:ない
出席:ない
課題:毎回
引き続きC言語について、更に深く学びます。構造体や、分割コンパイル、動的メモリ確保などをやります。結構内容エグいです。先生のコードが見づらいという意見が結構あったり。僕はなんやかんやで読めましたが…。あとは毎回の課題が自由度がちょっと高めで負荷が大きいです。頑張りましょう。電電の人は無理して取らなくても…いいかも?電情は必修です。諦めてください。
自由課題でアドベントカレンダーを書いたりしました。


金2 電子デバイス基礎

教科書:なくてもいい
出席:ない
課題:ない
なにもワカラナイということがわかった授業です。非常に多くの重要な帰結が得られ、先生も興奮しながら僕たちに伝えてくれますが、何もわからないということだけがわかります。原因は授業速度で、基礎物理でさえそれぞれ1セメスター分かけて終わらせる量子論と統計力学をこちらは半セメスターでぶっ飛ばして、半導体の話をします。後半になると、具体的な半導体の動作に視点が移るため、多少楽かもしれませんが、前半パートはかなりの鬼畜です。ほんまにエグい。


金3,4 電気電子数学演習

教科書:無いと死ぬのですぐ買って
出席:あり(オンライン)
課題:ない(予習アリ)
ベクトル解析・微分方程式・複素関数論の順にやります。それぞれに試験があるので、中間2回+期末という構成です。特に微分方程式は教科書が割と分厚いのに2回くらいで終わって試験です。
教科書の説明は割と不親切なので、ネットの力を駆使しつつ、予習しましょう。
担当者が解答しますが、後半になるにつれて、他の科目の試験や、課題が積み重なって、発表希望者が減っていく授業でもあります。先生がちょいちょい可哀想になります。

結局授業どうなんよ

基本的にEEICの2Aの授業は工学部版教養学部みたいな感じで物理・数学・情報をバランス良くやることになります。何かに集中したい人にとってはノイズが多いかもしれませんが、いろんなことを身に着けたいという人は結構楽しいと思います。ただ、最初は楽しくても最後の方は忙殺されるのもまた事実です。個人的には水曜3,4,5限の数学系の科目はもう少しサボっても良かったかなとも思います。

授業の内容は面白いし、役に立つので、結果的には満足するし、面白い人達と出会えるので、 #進振りはEEICへ

読んでいただきありがとうございました!お役に立てたなら光栄です!