2回の無痛分娩を経験して
おはようございます。はじめまして。お疲れさまです。
わたしは麻酔科医として、さまざまな手術の麻酔を担当する一方で、無痛分娩の麻酔を担当することも多々あります。
最近は無痛分娩という概念も普及してきて、無痛分娩を選択する妊婦さんも見受けられるようになってきました。ですが、やはり「普通分娩こそ正義!」という考えがまだ強いことも事実です。
実際わたしの友人は、無痛分娩を選択しようとしたところ、「産む痛みを味わわないと子どもを愛せない」と、お母様に反対されたようです。
伝統的な文化や思想を大事にしながらイノーベーティブな分野も上手に取り入れていくのがいまの時代をうまく生きていくコツだと思うのですが、どうしても、それらは対立しがちです。
まず、産みの痛みを味わわないことで子どもへの愛着障害が起こるというエビデンスはありませんし、実際わたしは子ども2人を無痛分娩で産んでいますが、当たり前に娘2人とも可愛くて可愛くてたまりません。
ですが、例えばこの友人のお母様が、突然「エビデンス」を突きつけられて、「ならばまぁいいか」という考えになるでしょうか。
結局、私たちに植え付けられてきた考え方や習慣をかえるには、新しい概念を実際に経験や実践した人々を増やし、「大丈夫だよ」「これいいよ」という意見を普及させることで、
少数派から多数派にしていくことで安心感を与えるほかない
んですよね。
臨月になり産婦人科を受診すると、NSTという胎児心拍と子宮の張りを測定する検査を毎回受けます。お腹に2つモニターをはって、ぼーっと座ってるだけの時間なのですが、ボコボコ心拍を聞きながら、隣で同じ検査をしている妊婦さんが助産師さんに分娩方法を聞かれ、「普通分娩です!」と高らかに宣言しているのをわたしは忘れられません。
この方にはなぜ「無痛分娩」という選択肢がないのだろう?
わたしが「無痛分娩」という選択肢しかないように、この方は「普通分娩」を選択している。
わたしと彼女の差は?
それはやはり
「知識と経験」
が1番なんだと思います。
わたしが経験したのは両方とも「和痛分娩」といって、ある程度子宮口が開いたところで痛み止めの使用を開始する手法です。
なので、このある程度までは陣痛を耐えなければならないのですが、それでもしんどい!!
「無痛はいつ入れられるのか!」
「いつになったらこの痛みから解放されるのか!」
陣痛中は数分おきに迫り来る痛みへの恐怖とはやく解放されたいという切実な願いから、ずっとこんなことを考えてました。
そして麻酔科の先生がきてくれて、無痛の管を腰に入れ、鎮痛薬を流した瞬間、ふぁっと痛みが取れ、もう痛み0です。
さっきまであんなに不安だったのに。
あんなに痛くて泣きそうだったのに。
脳内お花畑です。
麻酔科の先生が神に見えます。
ホントです。
麻酔科でよかったと心の底から思う瞬間です。
2人ともお産がとても楽だったので、これなら何人でも産めちゃう!と本気で思っています(笑)
無痛分娩のメリットデメリットをしっかりと説明し、不安に感じる部分や自分にあわない部分を一つ一つ解説できれば、無痛分娩に対する「負のイメージ」は払拭できると思うんですね。
安全性も確立されておりますし、少しだけ普通分娩よりかはお高めにはなりますが、あの痛みを+10-20万で耐えなくていいのならば、わたしはお金を払って無痛をとります。
そういうお考えの方きっとたくさんいるはずです。
産みの痛みが少ない分、産後の回復もとても早いです。
わたしは産後分娩台からスタスタ歩いて自分の部屋まで帰りました。それが普通分娩では疲れ切っているしあちこち痛いしで、出来ないことみたいです。
パパさんもぜひ奥様に無痛分娩をオススメしてくれる人が増えてほしいなぁ。
わたしの旦那さんは「絶対無痛!」という人だったので、本当に助かりました。無痛分娩だったからこそ、旦那さんが立ち会いでいてくれた時も、助産師さんと世間話なんてしながら、「そろそろいきんでみます?」なんて言われて、2、3回いきんだところで生まれてくれて、本当に和やかで落ち着いた雰囲気の中お産ができました。
わたしの場合自分の職場でお産をしたので、大信頼している自分の先輩方に麻酔をお願いできたのが1番ありがたかったです。
みなさんも口コミやママ友の評価から「ここ無痛いいよ!」っていう産院あれば、そこでぜひ無痛分娩を選択してほしいと思います。
無痛は怖くないよ!
いいことたくさんあるよ!
自信を持ってオススメします。
わからないことや不安なことがあれば、ぜひ聞いてほしいです。
絶対無痛にしなよと言ってくれて、立ち会い中も和やかで安心できる雰囲気にしてくれた旦那さん、優しすぎやで。
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