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私の好きなもの

朝、5時には目が覚める。
1時間くらいうだうだして、6時くらいに顔を洗って、着替える。Xでスペースをしながら、メイクをして髪を整える。(私の的を得ない話を聞いてくれて、ありがとうございます)掃除のひとが入っても大丈夫な程度に部屋を片付け、家を出る7時半。
今日は週に1回、土曜日の朝にだけ開かれている蚤の市に行く。

私は蚤の市と市場が大好きだ。
なんで好きなんだろう?と考えてみると、人の生活が見えるからだと思う。私は日常が苦手なのに、人の生活を見るのは好きなんだな。このあたりもまだまだ深掘りできそうだ。

よいコップがあれば買いたいな、と思っていた。
蚤の市は大好きだけど、安易に買って失敗もしている。
古着とか天然石とかこの世に一つしかないものを買うとき、判断が甘くなり、安易に買いがち。

だけど、この旅行が始まったときに、気がついた。
私、モノに対しての向き合い方が変わってきている。

お土産をむやみやたらと欲しくなる癖が無くなっていた。ここまで3日、食事と交通費と美術館のチケット以外、何も購入していない。
蚤の市に行っても、この世には可愛いものがたくさんあるんだねえ、という気持ちで歩いていた。

事前情報として得ていなかったけど、ウィーンって天然石の宝庫なの?
蚤の市で、天然石を扱っているお店がめちゃくちゃあった。ただ、だいたい金属部分がシルバーなので、私にとっては余裕だった。(ビジュマムさん好きな人にはやばい場所だと思う)
そして天然石を見ながら、自分の目の成長に驚いていた。石を見て、何の石だか想像がつく。

そんな中、目についたネックレスがあった。
私の持っているユニコーンリングと同じ、赤と青と緑の天然石のネックレスだ。なんなら繋げる金具が落ち着いたゴールドなので、リングよりも私に馴染みそう。
店主のおじさんに声をかけて、試着をさせてもらう。
かなり長めのネックレスなので二連にしてつけてみる。
蚤の市だからか鏡がない。自分の携帯をインカメにして確認と写真を撮る。
めちゃくちゃ可愛い。

同じ石のショートネックレス、ほかの石のネックレスも試させてもらう。シルバーの金具に淡めの色石がたくさんついたネックレスは可愛いけども、身につけると浮く。ゴールドの金具に色石と透明な石がついたネックレスも可愛い。透明な石は黒い何かが見えたから、デンドリッククォーツ的な感じかな?と思ったら、ダイヤモンドだと言われた。スライスダイヤモンドだと思う。

とても楽しくなった。
一番最初に目をつけたネックレスの価格を教えてもらう。今回の旅行で使ったことがない額だったので、パッと円に計算できず、アプリを使う。旅行中に使う額ではなかったけど、ネックレスとして考えたときには、安いくらいだった。
まだ、すべての店を見ていない。お礼を言って、一度立ち去った。

一周まわって、あのネックレス以外に欲しいものはなかった。
蚤の市は現金オンリーだけど、ATMも見つけた。
もう一度戻って、試して、大きい鏡で見たいと言ってみよう。

お店に戻る。
さすがに1時間前くらいに来たアジア人の女を店主のおじさんも忘れていない。
「大きい鏡で見たいんだけど」と伝えると、何軒か先の店から大きな鏡を借りてきてくれた。
長いものを一連で試す。これも悪くはない。「俺のオススメは二連だぜ」とおじさんがいう。やっぱり二連のほうが可愛い。
短いものも試す。一連しかできない上に、中途半端な長さで、こっちはないなと思う。
石の確認をする。赤い石を指しながら「ルビー?」と聞くと「ルビー!」と言われる。同じように青い石はサファイヤだった。緑の石はエメラルドだろうと思って聞くと「Smaragd」と言われた。聞いたことがない。おじさんにスマホで打ってもらおうと思ったけどドイツ語キーボードが入っていない。どうしよう〜!!!!!となる。おじさんも困った顔をしている。「エメラルド?」と聞くと、おじさんの顔は明るくなり「エメラルドだよ!ドイツ語でSmaragdって言うんだ」と教えてくれた。

今回の旅では、自分へのお土産はウィーンでひとつ、プラハでひとつしか買わない、と決めていた。(だけど、ブレスレットはお土産ではない扱いにするだろうし、トランジットでも私は買い物をするだろう)今のところ最有力候補は、美術館で売っていた子供用のユニコーン柄の小さい水筒だった。それも可愛いんだけど、実際に使うかというと微妙なところがあった。

ウィーンにはまだ滞在する。
ここで決めてしまって後悔はないだろうか?たぶんない。

「私はこれを買うけど、お金がないからATMに行くから待ってて」とおじさんに伝えて、ATMに行く。ちょうどの金額をおろす。
戻りながら、おじさんに指輪の写真を見せたい!と思い、スマホで探す。買い物をするときに店の人に自分のことを開示したくなるなんて初めてのことだなと思った。(けど、今考えるとまりかさんやスギサキさんには開示してるわ。お店の人のという認識が薄かった🤣)

戻って、お金を払う。
ネックレスを二連にしてつける。
おじさんにスマホを見せる。
「私、こんな指輪を持ってるんだよ。ルビーとサファイヤとエメラルド。」と言うと、おじさんは「ネックレスとピッタリじゃないか!ベストコンビネーションだ」と笑顔で言ってくれた。
「おじさんと写真を撮りたい」と伝えて2ショット写真を撮ってもらう。私はいい買い物をした後に、写真を撮りがちなようだ。(アユタヤのトゥクトゥクおじさん以来2回目)

私は、素敵なネックレスを手に入れた。

時刻はまだ10時過ぎだった。
私は一度ホテルに戻ろうと思った。
なぜなら最初にネックレスを試着しようとしたときに気づいたんだけど、私は今日ネックレスをつけるのを忘れた。
ただ、忘れたわけじゃない。部屋のどこにあるのか正直思い出せない。
掃除の人を疑いなくないけど、盗られてしまう可能性もある!と思って、ホテルに一度戻ることにした。

電車に乗りながら、いろいろ考えた。

最近、安易にときめきがちかな?と思っていたけど、なんていうか打率が上がっているだけで、ときめかないものもちゃんとこの世にたくさん存在している。
買い物のときに冷静な判断ができなかった私はもういない。外国の蚤の市で「大きい鏡で見たい」なんて昔なら絶対に言えなかった。
買う前にこれは本物の天然石なのか?価格は妥当なのか?誰かに相談したい気持ちになった。だけど、それが本物かどうかも価値も決めるのは私なのだ。私が納得すれば、偽物をぼったくり金額で買っても、誰も困らせない。
そういう風に考えられるようになった自分を誇らしく思った。

このネックレスとリングに、どんな服を合わせよう?と思ったときに、私のコーデの起点はアクセサリーになるのかもしれないな、と思った。
靴もバッグもピンときてなかった私だけど、アクセサリーから考えようとするとうまく妄想ができる。アクセサリーを3セット用意して、それぞれにベストコーデを考えればいい気がする。秋冬から早速試してみたい。

そんなことを考えてホテルに戻ると、掃除はまだ入っていなくて、ネックレスは見つかった。今日は蚤の市で買ったネックレスをつけたいから、金庫にしまう。
このまま絵を見に行っても頭が切り替わらなそうだったから、ついでにホテルでnoteを書いている。

まさか、旅行に出てもファッションのことをこんなに考えるなんて夢にも思わなかった。



小さいときから、宝石が好きだった。宝石のチラシは必ず新聞から抜いてもらった。両親がとてもお世話になった人が宝石屋さんで、ジュエリーショップにお中元とお歳暮を持っていくのがすごく楽しみだった。それは、すべての女児が通る道で普通のことだと思っていたけど、私は宝石が好きなのかもしれない。
もしかしたら、「え、気づいてなかったの?」と言う人もいるかもしれないけど、私はようやく気づいた。

宝石が好きだ。アクセサリーも好きだ。

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