このオフの心境。

ご存知の方もいると思うが、このシーズンオフ本当にチームが決まらずにいた。

元々トライアウトは受けるつもりはなかった。
川崎フロンターレを契約満了になった時もトライアウトは受けてない。

川崎フロンターレをアウトになった時と、今回は少し心境が違った。
前回の時は、
「どこか決まるはず」
「どこかしらあるやろう」
というスタンスだった。
本当にギリギリで甲府からオファーがあった。
なかなか決まらない事に対して、焦りや苛立ちが凄くあった。
「なんで?」
「どっかしらあるやろ」
全く穏やかではなかった。

その点、今回は真逆ともいえるぐらい自分の胸中は穏やかだったと思う。
オファーがないまま日が過ぎていき、気付けばもう年末だった。
この感じは年越すだろうと感じていたし、なんなら年越した後も、中々決まらないんじゃないんだろうかとも感じていた。

甲府の契約満了を出した後、色々な人から連絡があり、口を揃えて言うてくれたのが
「お前なら大丈夫」
「絶対どっかある」
「まだまだ余裕でできる」
こういう意見ばかりだった。

もちろん自分自身もそう感じていたし、それとリンクしているように周りの人にそう感じられている事は素直に嬉しかった。

しかし、現実は甘くない。
30オーバーの選手が本当に厳しくなったこのオフ。
市場の流れの変化が大きな要因。
日本の若手の海外移籍が増え、それとともない、下のカテゴリーから上への移籍も増え、そうなるとベテランより若手を保有していた方が、チームとしてメリットが大きいからだ。

それもわかっていたからこそ、覚悟はしていた。
だからといって、自分を安売りするつもりはなかったし、しっかりと自分の中で線引きもしていた。

正直な話、周りからは違う意見もあった。
それでもそこは譲らなかった。
本当にないなら、辞める覚悟は出来ていた。
しかし「まだ早い」と仲の良い友人達には反対された。

腹をくくっていたせいか、苛立ちも焦りも全くと言っていいほどなかった。
日々、ジム通いで1人でトレーニング。
気持ち良さそうにマシンでランニングしている方々を横目に、インターバルトレーニング。

中々ボールを蹴る事すらままならなかった。
実際、レノファ山口のタイキャンプの初日が2020年になって5.6回目ぐらいだった。

非常に難しいと言えばそうだったかもしれないが、そこに言い訳を持っていきたくはなかった。
今の環境にあるものしかないし、ないものに対して、どうこういうても仕方ない。
その中で、最大限出来る事をするしかない。
どんな環境にいても《武岡優斗は武岡優斗》だと改めて感じた。

幸いな事に、沢山の友人に囲まれて日々を過ごしていたから楽しかった。
笑っている事が凄く多かった。
本当に恵まれていると感じた。

レノファ山口のタイキャンプ。

今思うと、凄いスケジュールだった。
代理人から連絡きたのが23時。
「レノファのキャンプ参加できる??」と言われ、即答で返事した。

続けて「タイなんだけど笑」と言われて、「え???」 となったのを覚えている。

パスポートが更新の為手元にない状態だったが翌日の深夜便のチケットを取り、午前中にパスポートを取りに行った。

代理人の電話が終わった約24時間後には、空の上だった。

自分の感情としては、ドキドキ、ワクワクしていたし、やっとサッカー出来ると思った。

形はトライアル。
《さぁここからは自分次第》と感じていた。
今からジタバタしてもどうもならんし、後はやるだけ。
至ってスッキリしていた。

結果はご存知の通りです。

小さい頃から自分は何とかなると思って生きてきた。
実際、物事なんとかなってきていた。
このオフでの自分の思考は違ったものだった。

それは、東京のオカンと呼べる人の存在。
《田中ウルヴェ京さん》
シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング)でソウル五輪でメダルを獲得。メンタルトレーニングの上級指導士でもある。

凄く仲良くさせてもらっていて、恐れ多いが、「京っち」と呼ばせてもらっている。
仲良くさせてもらっているが、メンタルトレーニングの指導を受けた事はない。
本当にプライベートで仲良くさせてもらっている。

ある時、京っちが綴っていた言葉が凄く印象深かった。

《なんとかなるは、なんとかなってきたのではなく、自分でなんとかしてきたから、結果的になんとかなってきたのである》

この言葉が凄く印象的だった。
今まで本当になんとかなってきたし、なんとかなると思って生きてきたが、この言葉に触れ、なんとなってきたのではなく、なんとかしてきたんだなと思った。

だから、このオフも常々そう思っていた。
そして、最終的には自分でなんとかした。

本当に拾ってくれたレノファ山口には心から感謝してる。

そして、このオフに沢山の人に支えられた。
笑いながら楽しんで日々を過ごせた。

どんな人生も自分の人生。
どんな人生も自分だけの人生。
一度きり、楽しまないと損。
辛い事、きつい事も楽しもうと思えたオフ。

これからの人生も楽しみながらなんとかしていきたいと思う。

読んでいただきありがとうございました。



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