私と病気と心理学
「朝起きたらまず体重を測り、脈を測り、そして採血をして「異常なし」という言葉を聞き終えた後に当たり前のように何種類もの治療薬が管を通って体内に流れていくのを見つめ、ベッドに横たわったまま変わらぬ1日がまた暮れていくのをボーッと眺める。」
まてまて、急に何を言っているんだ?と不思議に思ったことでしょう。
実はこれ大学2年生の秋頃の私の日常なんです。
今回は僕が経験した病気とその中で得たメンタルコントロール、そして最後にそれらを通して抱いた夢について記述していきます。
<血液がん>
ことの始まりは10月。体調が優れないことから近くのクリニックを受診して、そこから大きな大学病院へと紹介され色々な検査をしたのちに見つかった血液がんという病気。これがよくも悪くも自分の人生観を大きく変えるきっかけになりました。
まず初めに言わせてください。普通って素晴らしい!!!
普段通りの明日を迎えられること考えるだけでワクワクしてきます。
普通に朝起きて、普通にお出かけして美味しもの食べて、普通に帰ってきて冷蔵庫で冷えている普通のビールを飲み干す。今風に言えば全くインスタ映えなどしない日常でしょうけど、そんな当たり前なことを幸せって思える自分ってなんて幸せなんだ、、、(お気楽なやつだと思ったそこのあなた。大正解です。笑)
しかし、こんな私も当時は重い病気ということから常に不安を感じ、そして点滴に繋がられたままの生活にストレスを感じていました。
「ストレスは体に一番悪い」。
よく耳にする言葉ですがあながち間違っていないと思います。治療初期の頃は抑圧されたストレス環境を克服することができず、病気の回復も遅かったからです。
そのような中、ある方法を使うと前向きになることができ、ストレスをも克服した途端、みるみる回復して1年はかかると言われていた治療も半年で終えて無事退院しました。
これから、その方法がなぜポジティブなメンタルを形成し、ストレスや不安を乗り越えたのかを心理学的側面から説明していきたいと思います!
<不安・ストレスの脅威>
まず一般的にどのくらいの頻度で我々がストレスを感じているのかを表したのが下の統計です。
最も多かったのは「毎日」で24%、次いで「週に2~3回」18%、「週に4~6回」の7%の順。それらを合わせた、週に2回以上ストレスを感じる割合は50%でした。年代別でみると、「週に2回以上ストレスを感じている」人の割合は、60代以上の35%に対し、50代は61%、40代は68%、30代以下では71%と若い世代ほど高頻度でストレスを感じていることがわかります。
そしてこのストレスは「にきび」「脱毛」「性機能障害」「頭痛」「筋緊張」「集中力の欠如」「疲労」「怒りやすさ」など、実にさまざまな健康への悪影響をもたらします。
こう聞くと、ストレスってすごく体に悪いものなんだな!って思われることでしょう。実は、一概にそうとも言い切れないのです。
<ストレスパラドックス>
1998年に行われた研究で、3万人の対象者に
「最近、強烈なストレスを感じましたか」
という質問をしてそれにYESと回答した人は向こう一年間の死亡率が43%も高くなることがわかっているそうです。
しかし、面白いのはこの先です。43%死亡率がたかくなるのはYESと回答した彼らの中でも、「ストレスは体に害をもたらす」と考えていた人たちでした。
それとは逆に、ストレスを感じていてもそれが成長につながると考えていた人たちには悪影響はなくむしろプラスの影響があったそうです。
これは脳から分泌される物質に関係があり、ストレスが体に悪いと考えていた人たちからは血管内皮などに異常を引き起こすコルチゾールが分泌され、成長につながると考えていた人たちからは脳を成長させ免疫力を高めてくれるデヒドロエピアンドロステロンが分泌されていたといいます。
つまり、ストレスの捉え方によって影響も変わるということです。
治療による回復速度が飛躍的に向上した当時の私は自分の持つ病気、そして環境をとても前向きに捉えていました。
「こんな若さでこんな病気抱えているのは俺くらいだ!すげえ!」
「俺最強!」
「退院したら旅行しよ!」
などと、今思うと少しアホにも思えることを毎日考えるようになっていました。笑
無意識でしたが当時抱えていたストレスや不安というものは自分をまた一歩前進させてくれるものだと信じていたのです。
そしてこれもまた無意識でしたが「旅行しよ!」という考え方も、心理的にストレスや不安をコントロールするのに有効的な手段だったことが分かりました。
<シチュエーションセレクション>
イギリスのシェフィールド大学の研究で301人の男女を対象に、嫌なことがあったときでも立ち直るのが早かったり、タフな人というのはどういった共通点があるのだろうかというのを調査しました。
その結果、シチュエーション・セレクションという方法をとっている人ほどネガティブな感情に強いことが分かりました。
ではシチュエーション・セレクションというのはどういったものかというと実に簡単で、「前向きな未来の予測や計画を立てる」だけなのです。
ちょうど、私が入院していた頃に考えていた、
「退院したらどこに旅行しようか」
という思考はまさにこのシチュエーション・セレクションだったのです!
加えてこの方法は以下のグラフが示すように、感情をコントロールするのが苦手な人のほうが効果が大きい。
つまり圧迫された環境やネガティブな感情が制御できない状況の方が効果を発揮するということになります。
やるしかないですね。笑
<経験×夢>
夢というには無茶すぎるけれども、私は日本を
「みんなが笑って暮らせる幸せな国」「世界にもっと誇れる国」
にしたいと思っています。
しかし、その裏では辛い経験をする人、理不尽に見舞われる人がいるのも確かです。私も自分自身を、そういった人間の一部だったと思っています。
しかし周りの支えや、考え方一つの変化などでそれを乗り越えていきました。経験から得た知識(自分の場合は心理学)もありこれは多くの人にも応用が効くのではないかと考えています。
自分が経験した過去、それを乗り越えた方法を言語化してシェアできればもっと沢山の人が自分のようにポジティブに、
そして幸せになれるのではないかと大袈裟なのは承知で本気で思っています。
今では趣味となって独学で勉強している心理学というツールを、自分の持つ良い面を言語化するための手段とするため、これからも学び続けていくことが
今、私が一番ワクワクしていることです!
yuto.kgr
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(参考文献・データ出典元)
・Kelly McGonigalThe.(2015). Upside of Stress: Why Stress Is Good for You, and How to Get Good at It
・Situation selection is a particularly effective emotion regulation strategy for people who need help regulating their emotions
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/02699931.2017.1295922?journalCode=pcem20#_i26
・http://chosa.nifty.com/medical/chosa_report_A20151016/4/