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AIなんかに負けない

こんにちは!年も明け、2020年になりましたね。今年は東京オリンピックが開催されることから、国外から多くのヒトやモノがやってくるということで激動の年になることは間違いないでしょう。昔からオリンピックは技術革新のきっかけでもありました。東京オリンピックでもIoT(Internet of Things)が注目を集めており、AIがどのように活用されてくのかが期待されています。そのような期待とは裏腹に、AIを「人間を脅かす存在」として危険視する意見もあります。今回はそんなAIについて、今後の私たちの生活にどのような影響をもたらしていくのか、人である私たちが活躍するためにはどうしたらいいのいかを考えていきたいと思います。

【AIによる経済成長】

まずポジティブな面でのAI による影響がどれだけ期待されているのかをデータをもとに見ていきましょう。
AIには、現在の経済成長をさらに加速させる力があります。アクセンチュア株式会社の調査では、価値の創造に関して、前例のない機会をもたらすことが明らかになっています。
下の図は、従来予想の経済成長を示す「ベースラインシナリオ」と、AIの影響力が市場に浸透した場合に期待される経済成長を示す「AIシナリオ」を比較した場合の2035年時点での粗付加価値(GVA)成長率です。GVAはGDPと近似値なため、国の豊さの成長率と考えても良いでしょう。

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AIが最も高い経済効果を生む米国では、2035年には年間8.3兆ドルのGVAが生み出され、GVA成長率が「ベースラインシナリオ」の場合の2.6%から4.6%に上昇。日本では、GVA成長率が3倍以上になる可能性があります。
次に産業別のシナリオ別成長率を表したものが下の図です。

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製造業や飲食業などの日本が得意とする産業の成長率が2倍以上と、高く予想されています。AIによって日本の中心産業が成長するのは良いことでしょう。しかし逆に考えると日本の中心産業の多くがAIに代替される可能性も高いということになります。それこそが危険視されている理由でしょう。

【シンギュラリティが奪う仕事】

AIなどの技術が、自ら人間より賢い知能を生み出す事が可能になる時点をシンギュラリティと言います。そしてこのシンギュラリティによって、これまで人間が行ってきた仕事のあり方や雇用のかたちは、劇的に変化する可能性があります。人間が担ってきた仕事の多くをAIで代行できるようになれば、仕事そのものがなくなる職種も多数出てくるといわれています。
1. 電話販売員
2. 不動産登記の審査・調査
3. 手縫いの仕立て屋
4. コンピューターを使ったデータの収集・加工・分析
5. 保険業者
6. 時計修理工
7. 貨物取扱人
8. 税務申告代行者
9. フィルム写真の現像技術者
10. 銀行の新規口座開設担当者
11. 図書館司書の補助員
12. データ入力作業員
13. 時計の組立・調整工
14. 保険金請求・保険契約代行者
15. 証券会社の一般事務員
16. 受注係
17. 融資担当者
18. 自動車保険鑑定人
19. スポーツの審判員
20. 銀行の窓口係
21. 金属・木材・ゴムのエッチング・彫刻業者
22. 包装機・充填機のオペレーター
23. 調達係(購入アシスタント)
24. 荷物の発送・受け取り係
25. 金属・プラスチック加工用フライス盤・平削り盤のオペレーター

上記の25つの職業はオックスフォード大学の研究チームが予測したAI化によって10年後から20年後になくなる仕事です。加えて同研究はアメリカにおいて702種類に分類した職業のうち約半数が消滅し、全雇用者の47%が職を失う恐れがあると予測されています。アメリカの話だから関係ないと楽観視はできません。アメリカで起きると予測されることは日本でも起こると予測されています。つまり、近い将来、日本でも約半数の人々が今の職を失う危険に晒されているということになります。
では、どうしたらAIによって活躍の場を奪われずに済むのでしょうか。
その答えを探すためにはAIとはなんなのかを理解し、そしてA Iの弱点を見つけることが必要です。

【AIの正体】

身近にあるAIを考えた時に私はiPhoneのSiriを思い浮かべます。特定のアプリを開くときや、個人に電話をするとき、又は目覚ましをセットするときなどに使うのにとても便利な機能です。加えて、そのような使い方とは別に、誰しも非機能的な呼びかけをしたことがあるとは思います。試しに、「疲れたなぁ」と話しかけると「無理しないで少し休んでください。」というように答えます。こちらの意図を理解し、それに相応しい返事をする様はまさに人間のようです。しかしこういった経験をすると誰しもが勘違いをしてしまいます。AIが人間と同じような力を持ち始めたのだと。まず、そもそもAIと呼ぶこと自体が間違っているということを知っていますか?厳密には、「AI技術」です。機械の独立思考を目指す研究の過程として生まれたものが、我々が日常で利用している技術なのです。そのため、Siriなどは「AI技術」であり、完全なAIとはまだ程遠い存在であるとされています。それどころか、AIは完成しないとも言われています。なぜかというと、AIは計算機だからです。「真の意味でのAI」が人間と同等の知能を得るには、私たちの脳が意識無意識を問わず認識していることを全て計算可能な数式に置き換えることができる、ということを意味します。しかし、今のところ、数式に置き換えることができるのは、論理的に言えること統計的に言えること確率的に言えることの3つだけです。そして、私たちの認識を、全て論理、統計、確率に還元することはできません。

【AI時代で人である自分が活躍するためには】

先ほど、述べたようにAIには計算しかできません。それ以外の、国語的な能力を必要とすることは苦手なのです。つまり、AIによって多くの仕事が代替されていく中で私たちが活躍するためには国語的な能力である「読解力」を極めていく必要があると考えられるわけです。顧客が何を望んでいるのかを読み解く力身の回りの環境で不便なことが何かに気付く力、そういった世界を読解していく力武器になっていくと思います。ルーチン化された業務やデータの分析などはAIに任せます。そこから考えられること、必要と思われることを、人だけが持つコミュニケーション能力と、臨機応変な対応を可能にする読解力で戦っていく。それこそが、AI時代で人である自分が活躍していく方法だと思います。


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データ出典・参考文献

新井紀子(2018)『AI vs 教科書が読めない子どもたち』東洋経済新報社