(個人用)大学院想定問答集 9/6

大学院2次試験である面接(口頭試問)対策の一環として、毎日最低3つの想定を考え、それに対する自身の回答を示していく。

①少人数教育の効果分析でファジーな回帰分析を行うに当たっては、義務標準法に基づく学級規模の理論値を操作変数とするという過程があります。では、操作変数法とはそもそもどのような分析手法で、どのような注意点が必要でしょうか。

 はい。操作変数法は、原因には直接影響を与えるものの、結果には影響を与えない「操作変数」を用いて、因果効果を分析する手法です。少人数教育の効果分析で操作変数法を用いるのは、学級規模の弾力化の推進に伴い、法律で定められた学級規模に従っていない学校が存在するからです。そこで、全ての学校が法律に従っていると仮定した理論上の値を操作変数として設定します。理論値は法律で定められているものであり、実際の学級規模と高い相関関係を持つものの、説明変数となる学力や非認知能力には影響を及ぼさないと考えられます。そのため、操作変数が満たすべき条件を満たします。操作変数法を行う際に注意すべき点は、例えば、原因と結果の両方に影響を与える操作変数を選ばないこと、あるいは、操作変数と結果に影響を与える第4の変数が存在しないという条件を満たしているか、などといったことが挙げられると思います。

②学級規模と非認知能力に関わる研究において、課題を挙げるとしたらどのようなことが指摘できるでしょうか。

 はい。それは、仮に学級規模が非認知能力に影響を与えることが確認された場合、背景にどのようなメカニズムで生じているのかを明確化することだと思います。例えば2011年の二木先生の研究においては、学級規模の縮小が、生徒の数学の「自信」を向上させたとの結果が示されています。この結果をどう解釈するかは、分析者によって意見が分かれるように思えます。例えば、「生徒の自信を高めるためにも、数学は少人数で授業したほうが良い」と主張するもの者もいるかもしれませんし、一方で「クラス内の競争相手が減ったから、学力とは関係なしに、生徒の自己評価が高まったに過ぎない」といった消極的な意見も出てくると思います。とある一つの結果に対して、解釈が分かれてしまうという曖昧性は、研究を進める上での大きな課題であると認識しています。

③学級編成においては、児童・生徒の性別も重要な指標の一つだと思います。この点について、あなたの考えを教えてください。

 はい。先行研究においても、説明変数として性別のダミー変数が設けられ、男女間における学力や非認知能力の差が調査されてきました。しかしながら、ジェンダーに関わる様々な考え方が定着しつつある現代においては、身体的な性別による区別はあまり意味をなさないのではないかと考えています。というのも、身体的な性と心情的な性が一致しない子供も存在するからです。例えば、「女子生徒は、男子生徒よりも理系科目への関心が低い」などの結果が得られて、女子生徒に理系科目に興味を抱かせることを目的とした政策を実施したとします。しかし、"こころの性"という情報が得られていない以上は、意図したほどの効果が得られないといった事態が生じかねません。ジェンダー観の普及に伴い、調査方法も工夫が必要であると考えます。

本日は以上です。
それではまた明日!

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