父が死んだ日

父が死んだ日、私は泣きませんでした。
やっと闘病生活が終わり、しんどいことから解放された父にも、そんな父にとらわれていた自分が終わったことに安堵しました。
1年半程癌で闘病生活をしていました。
最初におかしいと感じたのは母でした。
父はアルコール依存症なので、お酒を抜いている日はありません。
食事はあまりとらないのは昔からですが、病気が発覚する半年くらい前からどんどん痩せていき骸骨のようになっていました。
何度も病院にいくよう説得し、最後には父の従妹まで説得にきたそうです。
半年後観念した父は総合病院で検査をうけました。
レントゲンを撮った医師がこれはこの病院では処置できないと言いました。
咽頭癌がかなり進行しており、父は食事を飲み込むことさえできていなかったそうです。
母が用意した食事はほとんど捨てていたと。
2つの選択肢はがありました。
緩和ケアをし自宅で余生を過ごす、手術をする、父は手術をすることを選択しました。
3回手術をし、声帯も取り、食道、胃も切除しました。
それでも、癌は残り最後は首の周囲に腫瘍ができました。
医師からは窒息死するか、血管が破裂して死ぬだろうと、余命は1カ月ないと思うとのことでしたが、そこから半年生きました。
最後は眠るように死にましたが、それまでは苦痛の日々だったと思います。
私は今までの人生が最後の死に際にでるのかもしれないと思いました。
散々好き勝手をし、暴れまわり、家族を泣かした父でした。
娘失格かもしれませんが、私は父が死んだ時悲しみより安堵を覚えました。
父が死んでからしばらくたちますが、今は度々父を思い出し、涙が出てきます。
会いたいなと思います。

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