グランプリ静岡直前:レガシー環境まとめと青白奇跡解説!

私はレガシーが好きだ。

《渦まく知識/Brainstorm》が好きだ。
《思案/Ponder》が好きだ。
《意志の力/Force of Will》が好きだ。
《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》が好きだ。

そして何よりも《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》が大好きだ。

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マリット・レイジが一撃で20点のライフを奪うのが好きだ。
1ターン目に《グリセルブランド/Griselbrand》から14ドローするのが好きだ。
《血染めの月/Blood Moon》《虚空の杯/Chalice of the Void》で何もできなくてもまた一興。
《不毛の大地/Wasteland》一発で負けるのは初手キープがぬるい。

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太古の強力な呪文と、近年の強クリーチャーの組み合わせ。カードプールの広さから、苦手な相手にも何かしら回答を用意できる。
全てのフォーマットの中で、私はレガシーが一番好きだ。

レガシーで開催されるグランプリ静岡まで、あと少し。
参加する方はそろそろデッキを決め、これから細部の調整に入るというタイミングだろう。
今回の記事では、現在のレガシーの主要デッキを分析しつつ、自身で使う青白奇跡の解説をして行こう。

目次
■主要デッキ把握
・グリクシスデルバー
・スニークショー
・オムニテル
・Death and Taxes
・グリクシスコントロール
・赤黒リアニメイト
・ANT
・土地単
・BG Depths
・赤単プリズン
・発掘
・青赤デルバー
■青白奇跡解説
■個別カード評価
■採用を悩んだカード


■主要デッキ把握
・グリクシスデルバー

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《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》からの《不毛の大地/Wasteland》、そして《目くらまし/Daze》。
このデッキのブン回りはどのデッキにも勝てるポテンシャルがあり、多少相性が悪くても何とかなってしまう。禁止カードを2つ出されてもなおトップメタのデッキだ。

《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》の禁止はこのデッキに2つの変化をもたらした。
1つ目は土地の増量。もともとデルバー系デッキは《不毛の大地/Wasteland》除く青マナが規定値より少し不足している(1ターン目に確実に青いカードをプレイしたいなら16)
なおかつ黒マナ・赤マナともに12ずつ。これも少し足りていないので、単純に土地を19に増やすのはマナベースの安定のために必要だ。
《血染めの月/Blood Moon》を考えて《島/Island》を1枚入れているリストもあるが、上記の通り色マナがカツカツなのでおすすめしない。

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2つ目は能動的な1マナアクション、つまり手札破壊だ。
これは《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》との兼ね合い、《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》を早く出すなどの理由もある。
ただ《思考囲い/Thoughtseize》は複数引くとデスタク戦やミラーマッチで敗因にもなるカードなので2枚。

コンボデッキ全般に強く、土地単や赤単プリズン、青白奇跡を苦手とする。


・スニークショー

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《グリセルブランド/Griselbrand》《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》のコストを踏み倒すデッキ。
最近は1マナドロー12、《呪文貫き/Spell Pierce》4というリストが一般的になってきた。
《全知/Omniscience》を入れることで対コンボデッキや対ミラーマッチで勝つターンが1ターン早まるので、2枚は採用したい。

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除去を抜きすぎるとサイド後《秘儀の職工/Arcane Artisan》が触れずあっさり負けるので、触る手段を2枚程度は用意しよう。
《紅蓮破/Pyroblast》《赤霊破/Red Elemental Blast》が腐らないのでベストアンサー。

・オムニテル

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スニークショーより優れている点
→《カラカス/Karakas》などのクリーチャー対策を受けにくい。
→《実物提示教育/Show and Tell》後そのターン中に《火想者の予見/Firemind's Foresight》からの《蟻の解き放ち/Release the Ants》で勝てる。

スニークショーより劣っている点
→《実物提示教育/Show and Tell》への依存度が高いため対策されやすい。

同系統のデッキではあるが、サイドボーディングは少し異なる。
スニークショーに《外科的摘出/Surgical Extraction》はサイドインしないがオムニテルには入れる。
《実物提示教育/Show and Tell》への依存度が高いデッキなため1回捌いて《外科的摘出/Surgical Extraction》すればかなり有利にゲームを進められるからだ。《直観/Intuition》でサーチしてきた後に《外科的摘出/Surgical Extraction》も有効だ。

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オムニテルは《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All(CHK)》が1-2枚は入っているので、打ち消しに頼りすぎるとあっさり負ける。土地破壊や手札破壊も併用しよう。

《狡猾な願い/Cunning Wish》から《裂け目の突破/Through the Breach》でのエムラシュートはもう一つの勝ちパターンなので、サイドに1枚は必ず採用したい。

・Death and Taxes

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マナ拘束しながらクリーチャーで場をコントロールする。どちらかと言うとビートダウンではなくコントロール。
苦手だった《コラガンの命令/Kolaghan's Command》デッキが減り、マリットレイジやスニークショーが増えてきたことで《カラカス/Karakas》が強く、メタゲーム上のポジション良し。

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最近は《護衛募集員/Recruiter of the Guard》からのサーチ用に《歩行バリスタ/Walking Ballista》を採用したリストが多い。
ミラーマッチで《ルーンの母/Mother of Runes》をプロテクション無視して除去できるし、小回りの効くカードなのでおススメ。

青白奇跡やグリクシスコントロールには《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》が一番勝てる。
《大変動/Cataclysm》はエルドラージ系に1枚あると大逆転できる。


・グリクシスコントロール

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《コラガンの命令/Kolaghan's Command》《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》の循環で最も遅く、最もアドバンテージを取るコントロール。青白奇跡やデスタクに強い。
《壌土からの生命/Life from the Loam》デッキ全般と、エルドラージ系デッキが厳しいので何かしら特殊地形対策が欲しい。
《血染めの月/Blood Moon》は自爆する可能性もあるので悩みどころだ。
《基本に帰れ/Back to Basics》との比較になるが、《血染めの月/Blood Moon》はデルバー系に「出せば勝ち」となる点が優れている。


・赤黒リアニメイト

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レガシーで最速のコンボデッキ。
1ターン目に《暗黒の儀式/Dark Ritual》→《思考囲い/Thoughtseize》→《納墓/Entomb》《再活性/Reanimate》からの《グリセルブランド/Griselbrand》という最強ムーブがあり、このブン回りに対抗できるデッキはほとんどない。
最強ムーブがあるぶん、噛み合わない初手でマリガン率も高いデッキだ。しかし甘い初手キープをするよりは、ダブルマリガンしてでも2ターン目までにリアニメイトできる手札を目指したい。

今回紹介するのは、マジックオンライン上のレガシーリーグで最も勝っているプレイヤー、OlleRさんのデッキリストだ。

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《墓所のタイタン/Grave Titan》は墓地対策が増えるサイド後に6マナ素出しプランを取りやすく、《カラカス/Karakas》で戻されないのも強み。
《Lake of the Dead》で3ターン目に6マナ出すことも可能だし、《暗黒の儀式/Dark Ritual》絡みで意外と出せる。

赤黒リアニメイトに当たったら、かなり厳しくマリガンをした方が良い。
私は赤黒リアニメイトに当たった時、特にサイド後は「0マナ妨害+1マナ妨害」or「1マナ妨害2種類」という初手でなければマリガンという自分ルールを決めている。
相手から1回は手札破壊が来る前提で上記の手札をキープしないとすぐに2ターンキルされてしまう。《外科的摘出/Surgical Extraction》2枚でキープして《陰謀団式療法/Cabal Therapy》されて負けたこともあるくらいだ。


・ANT

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《島》→《思案/Ponder》《渦まく知識/Brainstorm》というのはレガシーで良く見られる光景で、コンボかコントロールかは判別できない。
しかし《島/Island》→《定業/Preordain》だったら「コンボかも知れない」と考える癖をつけておこう。
《島/Island》→ドロースペルは「相手のデッキに《不毛の大地/Wasteland》が入ってなさそう」というサインでもある。

ANTもグリクシスデルバー同様、《ギタクシア派の調査/Gitaxian Probe》禁止により手札破壊は何でも抜ける《思考囲い/Thoughtseize》が優先されるようになった。
《難題の予見者/Thought-Knot Seer》《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》など、《強迫/Duress》では抜けないものも対処できるからだ。

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ANTに当たった時に悩むのは相手の《暗黒の儀式/Dark Ritual》《陰謀団の儀式/Cabal Ritual》を打ち消すタイミングだ。
相手の手札5枚以上での《暗黒の儀式/Dark Ritual》は打ち消した方が良い。その後に続く《強迫/Duress》から《意志の力/Force of Will》を抜かれてコンボスタート、となるからだ。

ANTを対策するときは、「打ち消し」「手札破壊」「ヘイトベアー」「エンチャント・アーティファクト」の4種類中2種類以上を織り交ぜていくと、相手が対策しにくくなる。
打ち消し過多だと手札破壊される的だし、逆に手札破壊過多だと《炎の中の過去/Past in Flames》に弱くなるので注意。


・土地単

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《罰する火/Punishing Fire》でコントロールしながら《暗黒の深部/Dark Depths》《演劇の舞台/Thespian's Stage》によるコンボでマリット・レイジ爆誕を目指すデッキ。
デルバー系、エルドラージ系、グリクシスコンなど特殊地形が多いデッキに対して《不毛の大地/Wasteland》連打で勝ちやすい。
またその他の《壌土からの生命/Life from the Loam》デッキに対しても《踏査/Exploration》《マナ結合/Manabond》の差分で少し有利。

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相手のをコピーしても爆誕します。

ミラーマッチやBG Depths戦では、うかつに《暗黒の深部/Dark Depths》を出すと相手に《演劇の舞台/Thespian's Stage》を起動されてマリット・レイジが爆誕してしまう。
自分が爆誕させる場合以外は出さないように注意。

《The Tabernacle at Pendrell Vale》の効果は「アップキープに1マナ払わないと破壊」なので、マリット・レイジトークンはマナを払わなくても破壊不能なことを覚えておこう。

サイド後《壌土からの生命/Life from the Loam》に《外科的摘出/Surgical Extraction》されやすいが、サイクリングランドがあればスタックで発掘してかわす事が出来る。
土地単側が良くやるアクションなので、《外科的摘出/Surgical Extraction》するならフルタップのタイミングを狙いたい。

盤面を展開してこないコンボ、ANTやスニークショーを苦手とする。また基本地形の多い青白奇跡の《相殺/Counterbalance》《基本に帰れ/Back to Basics》も苦手なので、これらを見れる《紅蓮破/Pyroblast》は2枚以上採用したい。

・BG Depths

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土地単よりもコンボスピードに特化した、《暗黒の深部/Dark Depths》《演劇の舞台/Thespian's Stage》でマリット・レイジ爆誕を目指すデッキ。

《モックス・ダイアモンド/Mox Diamond》が無いと初動遅れがちなので1マナ手札破壊は6枚が良い。手札破壊→《闇の腹心/Dark Confidant》のパターンも作りたいため。

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デスタク相手は《カラカス/Karakas》《剣を鍬に/Swords to Plowshares》《ちらつき鬼火/Flickerwisp》《不毛の大地/Wasteland》全部キツく不利なので対策を多めにとった方が良い。
特に上記3つを無効化できる《頑強な決意/Steely Resolve》はぜひ採用したい。


・赤単プリズン

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アンチ1マナ、アンチ特殊地形。
《血染めの月/Blood Moon》《虚空の杯/Chalice of the Void》でロックしている間に速やかに勝つカードが必要で、
これまでは《ゴブリンの熟練扇動者/Goblin Rabblemaster》だけだった部分が《軍勢の戦親分/Legion Warboss》の追加によってデッキが安定し、一段階強化された。
《実験の狂乱/Experimental Frenzy》も青白奇跡、グリクシスコンなどの《罠の橋/Ensnaring Bridge》が弱いマッチアップの消耗戦で輝く。

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サイドの《難題の予見者/Thought-Knot Seer》の無色マナのために《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins》《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》のどちらかを採用する必要がある。
《燃え柳の木立ち/Grove of the Burnwillows》の方がデッキを勘違いさせやすく、《死の影/Death's Shadow》対策も兼ねているので《ラムナプの遺跡/Ramunap Ruins》より良さそうだ。


・エルドラージポスト

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青白奇跡やグリクシスコンに強く、スニークショーや土地単が苦手。
《血染めの月/Blood Moon》《基本に帰れ/Back to Basics》が大の苦手なので、出されても動けるように《荒地/Wastes》を《ヴェズーヴァ/Vesuva》でコピーする場合もある。

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これらの対策で《コジレックの媒介者/Kozilek's Channeler》を採用するバージョンもある。


・発掘

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実はここ最近、マジックオンラインのイベントでは頻繁に勝っている。
最近は《戦慄の復活/Dread Return》をサイドに落とした《通りの悪霊/Street Wraith》型が主流。《陰謀団式療法/Cabal Therapy》+大量のゾンビトークンで押しつぶす形。

《外科的摘出/Surgical Extraction》をサイドインする相手だが、うかつに発掘持ちを対象にプレイすると《通りの悪霊/Street Wraith》サイクリングでかわされるので注意。
《ナルコメーバ/Narcomoeba》《イチョリッド/Ichorid》の2種類を《外科的摘出/Surgical Extraction》すると極端に攻め手が無くなるデッキなので、撃つならそちらを優先しよう。

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発掘を使う側も当然《外科的摘出/Surgical Extraction》はケアするし、サイドにはそのための《沈黙の墓石/Silent Gravestone》もある。
墓地対策は《外科的摘出/Surgical Extraction》だけではなく、《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》《安らかなる眠り/Rest in Peace》といった「全追放」も一枚採用しておくと安心だ。


・URデルバー

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グリクシスデルバーを、妨害要素を火力にしてバーン寄りにした構成。打消しを使うバーンと言っても良い。
《危険因子/Risk Factor》により後半の粘り強さを手に入れた。

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URデルバーや赤バーンと当たった時は、《発展の代価/Price of Progress》を常に頭に入れて基本地形を並べたり、《不毛の大地/Wasteland》を自分に起動できるように意識しよう。


他にも色々なデッキがあるが、使用数の少ないものは割愛する。
まとめると今のレガシーの環境を定義しているのは、

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《渦まく知識/Brainstorm》
《意志の力/Force of Will》
《不毛の大地/Wasteland》
《虚空の杯/Chalice of the Void》

この4つが特にカードパワーに秀でていると思う。
デッキ構築をする際にも、この4つは常に頭に入れておかなければならない。


■青白奇跡解説
さて、以上を踏まえて私がグランプリ静岡で使用するのは青白奇跡だ。
青白奇跡を使用する大きな理由は3つある。
それぞれ解説していこう。

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①除去の質が最良。

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半年前にグリクシスコントロールを使っていた時、《稲妻/Lightning Bolt》《致命的な一押し/Fatal Push》では《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》が触れず、マリット・レイジの一撃に沈んでいた。その度に除去の不安定さを嘆いたものだ。
しかし《剣を鍬に/Swords to Plowshares》なら対象に取れればすべて除去することが出来て、自分の《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》にプレイしてライフゲインすることも可能。
追放除去なため墓地利用もさせず、赤黒リアニメイトにもクリティカルだ。

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また《終末/Terminus》は除去耐性を無視しつつ、わずか1マナで全体除去を行う。《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》ですら苦にしないので、クリーチャーに《意志の力/Force of Will》を撃つ状況は少ない。

②《渦まく知識/Brainstorm》を最も強く使える。

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もともと《渦まく知識/Brainstorm》はレガシーでベストなカードだが、これの相乗効果で回りのカードがさらに強くなる。
《渦まく知識/Brainstorm》があれば《終末/Terminus》は1マナ全体除去になり、《相殺/Counterbalance》は確定カウンターになり、《予報/Predict》は占術1+2ドローになる。
それぞれがマナコストに見合わない、「壊れた動き」をするようなカードになる。

③《不毛の大地/Wasteland》に強い強固なマナベース。

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《渦まく知識/Brainstorm》と同様に、《不毛の大地/Wasteland》もレガシー環境を定義している。
実際、上の部分で紹介したデッキの半分には《不毛の大地/Wasteland》が入っている。クリーチャーで攻めながら《不毛の大地/Wasteland》というのは定番の勝ちパターンだ。
しかし青白奇跡なら20枚中19枚が基本地形なため《不毛の大地/Wasteland》を無力化し、ほとんど《荒地/Wastes》と変わらない状況に出来る。
また赤単プリズンに対しても自然と耐性がつく。その上で自身は《基本に帰れ/Back to Basics》という強力な特殊地形対策を使うことが出来る。

つまり相手のクリーチャーを脅威とせず、《渦まく知識/Brainstorm》を一番強く使えて、《不毛の大地/Wasteland》に強い。
どうだい、ベストデッキに思えないかい?

ただ、もちろん青白奇跡にも弱点はある。

①クリーチャーを主体としないデッキに弱い。コンボデッキに弱い。
対クリーチャー戦では頼りになる《剣を鍬に/Swords to Plowshares》《終末/Terminus》だが、スニークショーやANTに対してはほとんど効果のないカードになる。
《グリセルブランド/Griselbrand》に《剣を鍬に/Swords to Plowshares》?14枚引かれて負けです。
これはメイン戦で除去を引けば引くだけ無駄な手札になってしまうと言うことだ。
また相手の呪文への干渉手段も、ほとんど《意志の力/Force of Will》頼りなのでコンボ相手はメインが負けやすい。発掘や赤バーンなど、勝ち手段が除去では捌きにくい相手に対してもメインが負けやすい。

②マナ域の高い相手に弱い。
特にエルドラージがそうだ。
4マナ以上が多く入っているような相手は《相殺/Counterbalance》が機能しにくく、また《虚空の杯/Chalice of the Void》なども含めて打ち消さなければいけないカードが多すぎる。
そもそも《魂の洞窟/Cavern of Souls》で打ち消しが機能しないことも多い。

これらの苦手な個所をサイドボードから補完していくことになる。


■個別カード解説

・マナベース
フェッチランドが9枚、基本地形が10枚、《Tundra》が1枚。
《魔術遠眼鏡/Sorcerous Spyglass》をサイドインされることが多いので青フェッチは枚数を散らすようにしよう。
3枚の平地はサイド後《窒息/Choke》を割る為にも欲しい。
《予報/Predict》を使うデッキなため、手札に基本地形を1枚キープしてプレイようにしよう。

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例えば上のような手札だった場合は《沸騰する小湖/Scalding Tarn》起動で《島/Island》《思案/Ponder》からスタートしよう。

タッチ赤して《紅蓮破/Pyroblast》を取ることについて、私は反対だ。
このデッキの最大の長所でもある基本地形マナベースを阻害することになるし、《紅蓮破/Pyroblast》より少し性能が落ちても《狼狽の嵐/Flusterstorm》で代わりになる。
《紅蓮破/Pyroblast》をサイドボードに3枚取れるメリットよりも《不毛の大地/Wasteland》で《Volcanic Island》が割られるデメリットの方が大きいと考える。

・《思案/Ponder》《渦まく知識/Brainstorm》

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デッキの潤滑油。絶対に4枚だし、サイドアウトすることもない。
《渦まく知識/Brainstorm》は他のカードとのシナジーもあるのでなるべく1ターン目にはプレイしたくない。
3ターン目エンド時に《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》、2ターン目に《相殺/Counterbalance》《予報/Predict》をプレイしたい場合以外は、なるべく手札に取っておこう。

・《先触れ/Portent》

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ドローの中では最弱だが、土地が20枚のデッキなため1マナドローが少ないと回らなくなる。《渦まく知識/Brainstorm》を序盤に撃たないためにも必要。

相手ターンのドローなため、土地を探しに行くときは不便だ。1ターン目に《思案/Ponder》と両方ある状況なら《先触れ/Portent》からプレイしよう。
《定業/Preordain》を採用するかも悩んだが、3枚見るカードでないと《予報/Predict》《相殺/Counterbalance》を運用しにくいので《先触れ/Portent》の方が良い。
相手のライブラリーに撃って無駄牌を引かせて、その間自分がフルタップで行動することも多い。

・《呪文貫き/Spell Pierce》

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入れないとコンボデッキへの耐性がかなり落ちるし、コンボ相手の《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》の価値が下がってしまう。
エンチャント・アーティファクト・プレインズウォーカーが打ち消せる利点を取ってのメイン採用。
後半腐るリスクもあるので2枚が適正。《狼狽の嵐/Flusterstorm》と一緒に入れすぎるとリアクションカードばかりでデッキの実が少なくなるので合計4枚までが限界。

・《予報/Predict》

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ヒット出来る状況なら占術1+2ドローで実質3ドローに近い。
単品で引いて弱い状況が多々あるが、ジェイス以外のリソース回復手段が乏しいデッキなのでどうしても3枚必要。ミラーマッチでは相手の《予報/Predict》にスタックで相手のライブラリーを削ろう。
マリガンなしの後手で2ドローすると3ターン目に手札が8枚になってしまうので、その場合は《先触れ/Portent》のスロートリップを利用するなどして手札を調整しよう。

・《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》

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クリーチャーデッキ相手には《剣を鍬に/Swords to Plowshares》再利用。
コンボやコントロール相手には、マナを構えながらエンド時に《渦まく知識/Brainstorm》する。
弱い相手が居ないカードなので4枚!

・《相殺/Counterbalance》

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コンボやコントロール相手はこれを巡るゲームになる。能動的な2マナアクションがこれしかなく、ゲームを作るカードなので3枚。
場に出た後はフェッチランドが占術or打消しの役割を持つ。
ただ何も機能しないタイミングもあるため、《予報/Predict》《渦まく知識/Brainstorm》が手札に無いならまずは盤面を優先しよう。

・《基本に帰れ/Back to Basics》

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エルドラージポストなど、相性が悪いデッキにメイン戦を勝つために必要。
デルバー系相手には《目くらまし/Daze》や《紅蓮破/Pyroblast》などもあるため過信は禁物。

・《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》

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《渦まく知識/Brainstorm》が最も強く使えるデッキで、毎ターン《渦まく知識/Brainstorm》を使えたら?
それは即ち勝利だ。

青白奇跡はジェイスデッキだ。いかにジェイスを場に出すか、場に残し続けるかがこのデッキの目標だ。
ジェイスを上手く使うコツは+2能力だ。ジェイスをプレイして手札に《意志の力/Force of Will》が無いなら、まずは+2を相手に起動から入ることが多い。
シャッフル手段が手札にないなら、+0能力連打よりも+2能力を自分に使う状況もある。
《稲妻/Lightning Bolt》擁する相手には+2から入ろう。
マナを構えている青いデッキ相手には6マナまで伸ばして、守れるようにしてからプレイしよう。

・《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》

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フェアデッキには概ね強く、サイドイン率が非常に高かったためメインに昇格。相手のプレインズウォーカーを討ち取れて、全体除去とも噛み合う。
《紅蓮破/Pyroblast》に引っかからない点で《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》より優先。土地20のデッキで5マナは出ない。
ギデオンを出せば突破するために相手はクリーチャーを並べるので《終末/Terminus》が刺さりやすい。
ただ4マナが溢れる過ぎてもダメ。ギデオンはデルバー系とコンボに弱いカードでもあるのでサイドアウトも多い。

・《議会の採決/Council's Judgment》

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万能除去で《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》や《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》など耐性を無視して除去できる。
しかし3マナ除去で1対1交換なので、除去する先が3マナ以上でなければマナ効率が悪い。

デルバー系など、相手がエンチャント・アーティファクトをサイドインしてきたが《解呪/Disenchant》は入れたくないなどの時に便利。
1枚は必ず採用するが、ゲーム中1枚あれば十分。《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》もあるからね。


サイドボード

・《外科的摘出/Surgical Extraction》《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》《安らかなる眠り/Rest in Peace》

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青白奇跡は墓地デッキに負けやすい。
発掘の項目でも話したが、《外科的摘出/Surgical Extraction》を信用しすぎると《沈黙の墓石/Silent Gravestone》などのパターンもあるので墓地全追放を2枚取りたい。

ただ《安らかなる眠り/Rest in Peace》は自分の《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》が無駄になる欠点があるため、墓地に極端に依存したデッキにのみ入れるようにしよう。
《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》は1ドローが付いていてグリクシスコントロールや《蓄積した知識/Accumulated Knowledge》入り奇跡にもサイドインできる。
これを1:1で分けるのが好み。

・《解呪/Disenchant》

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《霊気の薬瓶/AEther Vial》《虚空の杯/Chalice of the Void》デッキ両方に役立つ。緑のデッキは《窒息/Choke》をサイドインしてくることが多いのでケアしよう。
スニークショーには1枚だけサイドイン。

・《狼狽の嵐/Flusterstorm》

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コンボデッキ側もサイド後は《紅蓮破/Pyroblast》《呪文貫き/Spell Pierce》などで対策してくる。
相手の《狼狽の嵐/Flusterstorm》に対抗するためにも必要。
赤黒リアニメイト相手のときは、《別館の大長/Chancellor of the Annex》を公開されてもストームの部分が解決するので、実質無効化することが出来る。
サイド後は《外科的摘出/Surgical Extraction》《狼狽の嵐/Flusterstorm》により《別館の大長/Chancellor of the Annex》をケアしやすい。

・《対抗呪文/Counterspell》

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青白奇跡ミラーやグリクシスコントロール、スニークショーや赤単プリズンにも効果的。
メインに入れなかった理由は、このカードが3マナ以上が多い相手でないと機能しにくく、今のレガシー環境は早いデッキが多いから。
打ち消し呪文は、打ち消したい相手のマナコストよりも軽くなければいけないというのが持論。

・《ヴェンディリオン三人衆/Vendilion Clique》

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コンボデッキ相手には待っているだけでは相手に準備時間を与えてしまうのでクロックが必要。
ANTは《暗黒の儀式/Dark Ritual》にスタック、スニークショーは《実物提示教育/Show and Tell》にスタックでプレイしてキーカードを抜こう。
青白奇跡ミラーでは相手のエンド時にプレイしてから本命の《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》《相殺/Counterbalance》という動きになる。
強力だが重いカードでもあり、《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》とも被りやすいので1枚。

・《至高の評決/Supreme Verdict》

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デルバー系デッキに対して最も信頼できる除去。《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》が並んでも簡単に解決。
青白奇跡ミラーやグリクシスコントロールに対して、除去は残したくないが相手の《僧院の導師/Monastery Mentor》《真の名の宿敵/True-Name Nemesis》が怖いときも安心。
《至高の評決/Supreme Verdict》は「青い」除去なのでいざとなったら《意志の力/Force of Will》のコストになる。コントロールに残しやすい除去。

■採用を悩んで入れなかったカード

・《僧院の導師/Monastery Mentor》

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最後まで悩んだカード。復帰する可能性は大いにある。
ミラーマッチで《狼狽の嵐/Flusterstorm》《呪文貫き/Spell Pierce》《紅蓮破/Pyroblast》どれも効かず1:1交換されにくいのは大きな利点。
自身の《終末/Terminus》との噛み合いは《ゼンディカーの同盟者、ギデオン/Gideon, Ally of Zendikar》がより良く、場にギデオンを残しつつ全体除去が出来る。
またギデオンと違い除去から守らなければ行けないので、サポート無しでは3ターン目にポン置きしにくい。

・《流刑への道/Path to Exile》

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デルバー系、BG Depthsなどに対する追加の除去。
青白奇跡はサイド後《剣を鍬に/Swords to Plowshares》を《外科的摘出/Surgical Extraction》される展開も多いため。
しかし結局は《終末/Terminus》《至高の評決/Supreme Verdict》があればクリーチャーは事足りると判断した。

・《封じ込める僧侶/Containment Priest》

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スニークショーやリアニメイト、《霊気の薬瓶/AEther Vial》対策。
しかしスニークショーは《秘儀の職工/Arcane Artisan》《全知/Omniscience》が防げない。除去耐性があるわけではないので対策としての信頼度はイマイチ。
デスタク相手に出しても結局は《終末/Terminus》で流れてしまう。

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青白奇跡は赤バーンによく負ける。赤バーンに1枚でゲームに勝つほどの影響があるのはこのギデオン。パーマネントからのダメージを軽減するので《大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel》《紅蓮光電の柱/Pyrostatic Pillar》対策にもなっている。
しかしエルドラージ相手に《難題の予見者/Thought-Knot Seer》指定して《現実を砕くもの/Reality Smasher》で討ち取られ、赤プリズンにはゴブリントークンが止まらず。範囲が狭すぎるため解雇。

・《呪文嵌め/Spell Snare》

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青白奇跡ミラーやグリクシスコントロール、土地単やBG Depthsなど。
しかしサイドカードとしては範囲が狭く、《呪文貫き/Spell Pierce》《狼狽の嵐/Flusterstorm》と合わせて限定カウンターが多すぎると手札で腐ることになりやすい。
土地単には墓地対策も入れるので十分で、BG Depthsには《解呪/Disenchant》の方が信頼できる。

・《アズカンタの探索/Search for Azcanta》

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起動を始めるまではアドバンテージを失うカードで、2ターン程は何もしない。疑似3ドローの《予報/Predict》より優先度は下がる。
当然だが《基本に帰れ/Back to Basics》と相性が悪い。



かなりの長文となったが、最後まで読んでくれてありがとう。
グランプリ静岡での幸運を祈る!

ではまた

高橋優太


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