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シンクロニシティ日和。

朝。山形。白い雪が輝いている。

朝起きても、ぼーっとしていて、やりたいことが焦点を結ばずに、家の中をうろうろしていて、奥さんに「多分、何をしたらいいのかわかってなくて、あっち行ったりこっち行ったりしてるよ」と言われる。

昨日は、東京の初台というところで、米沢のバランストレーナーの「小関勲さん」と講習会をさせてもらったのだった。

講習会やセミナーの講師をさせてもらうことは何度かあったけど、どれもあんまり評判はそこまでよくなかったと思う、多分。

しゃべることは好きだし、話もおもしろい方だと思う。「めちゃくちゃわかりやすいですね、はじめて理解できた気がします」と言われることもある。

ロルフィングのセッションの前には、「ロルフィングって何か?」とか、「自然治癒力ってどんなもの?どうしたらそれが働くの?」とか、「最近の身体にまつわるトレンドの背景」とかとか、その時のクライアントさんに合わせて、結構、「即興」ですらすらと話せる。

なるべく、「僕がしていること(ロルフィング)」が、「あなたが大事に思っていること(仕事、趣味、家族など)」と、「同じようなもの(似ているような構造)」なんですよと伝えるようにしている。

そうすると、「施術を受けるという体験」も、「他人(僕)任せの他人事」だったものが、ぐっと「自分事」になる。そうなれば、「変化」は自然に訪れる。

けどけど、「講習会」となると、「大勢のいろんな人」に向けて話すので、「誰に話したらいいのか」がわかんなくなって、受け手の人の身体から発せられる「リアクション(うんうんと頷く、ノートを取る、わぁと驚くなど)」を受け取れずに、「一方的に」話してしまう。

それが、みんなを「ポカンと置いてけぼり」にしてしまう原因だと思う。

だから、ずっと「講習会で教える」というのは苦手意識があった。

話は上手だと思うし、好きだし、わかりやすく説明できるんだけど、「大勢に話す」のは得意ではない。(同じような感じで、「結婚式のスピーチ」も苦手。)

昨日の初台では、小関さんがいてくれて、「言葉の宛先」があったので、すごく話しやすかった。

そして、僕が「置いてけぼり」をしそうになったら、それを上手に「手綱を引いて」くれた。本当にありがたい。

参加者の中には、山陰は島根から、森田真生くんと中村明珍さんの「生命ラジオ」を聴いている方がいらして、その中のフリーアワーという企画で、僕のことを知られたようで、ちょうど生命ラジオのことを講習会で紹介したいと思っていたので、なんだかそのご縁がうれしかった。

この講座が決まってから、「構造、システム」のことを話してみたいなと思い立ち、ふと、「ああ、池上さんの本の中に書いてあったかも」と思って、「池上六朗さん」の「三軸修正法」の本を十数年ぶりに読んでいた。

池上さんは、もともと身体の専門家ではなく、「船乗り」をしていた方で、船というとてつもなく大きな実態を、海という果てしなく動き続ける環境の中で、自分の意図する方に導いていかねばならず、「科学的な根拠(左脳的ロゴス)」と、海賊との遭遇、タフなネゴシエーションなどの「身体知性(右脳的レンマ)」を、「同時にフル駆動」しなければいけない状況に身を置いていた方。

そこで学ばれたことを、「身体に応用してみた」ならば、それで「治療」ができてしまって、そのことを本に書かれている。

「システム」「コンセプト」「プロセス」などなど、それらの言葉の「質感(肌理)」「機能」「構造」を、文字を尽くして説明されていて、まだまだ身体のことを学び始めた僕は、「そういう長ったらしい言葉の説明はいいから、早くどんな治療をするのか教えてくれよ」と思っていたのだが、今ならその「意図すること」がすごくわかる。

そんな矢先、昨日の講習会の数週間前に、自分のTwitterに「池上六朗さんが亡くなった」というツイートが流れてきた。

そして、それと同時に、「僕は、今度の東京の講習会で、池上さんのことを紹介しなければいけない」と、なんだかそう感じた。

お会いしたこともない。一度、お会いしたい方だった。

何かのご縁で、久しぶりに苦手な講師をすることになり、ご縁で集まってくださった参加者の方に、十数年ぶりに、当時の僕がいろんなページの角を折り込んだ池上さんの本の内容を、そんな方がいたことを、僕は伝えなきゃいけない。それが「今回の僕の仕事」だと感じた。

先ほどの島根の方、自分のお店の看板に、「Right Time Right Place」と書かれている。これ、池上さんが内田樹先生との対談本の『身体の言い分』の中で、「象徴的」に話されていた言葉だ。

驚いた。なんという「シンクロニシティ」だろう。

さらに違う参加者の方。なんとその方、「池上さんと本を出した」のだとおっしゃる。なんということだ。日本の中で、「池上さんと本を出した人」など、ほんの数人しかおらず、しかも別に講習会の案内に「池上さんのコンセプトを紹介します」ともアナウンスせず、その方が参加してくださるとは。

Right Time Right Place

その方、池上さんがついこの前、亡くなられたことを知らなかったそうだ。「それを知ることができてよかった」と。

なんだかいろんなことがあった。池上さんの本も読んで、たくさんの本を読んで、セッション中に思い付いたりすることもあって、そんなものをとにかくたくさん「詰め込んで」講習会で話させてもらった。

「講習会慣れ」をしていないから、「旅慣れ」していない人が「荷物がパンパン」になってしまうように、「伝えたいことがパンパン」だった。

でも、出し惜しみすることもないし、あまりない機会だし、小関さんがなんとでも受け止めることを信頼して、とりあえず「出し切った」。

うれしいことに、参加者の方が、いろんな感想をくださった。同僚の「ロルファー」の方も、「おもしろかった、使わしてもらうね」と言ってくれた。

素直にありがたい。

ちょっと「放心状態」で、家の中を、あっちに行ったり、こっちに行ったりしてるけど、またそんな機会があれば楽しいなと思う。

誘っていただいた小関さん、ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。

今日もみなさんが、「Right Time Right Place」でありますように。

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