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【BOOK MEMO】未来の年表

いつもよく私のことを気にかけてくださる区長さんがおりまして(自分の住む地区の区長ではありませんがw)、ある日、職場にこんな本を持ってきてくれました。

【未来の年表】人口減少日本でこれから起きること / 河合雅司著

そして区長のメモ書きも添えられていました。

少々古い本ですが行政課題のヒントが多く書かれています。
回し読みして終わったら返して下さい。
私は別に持っていますのでゆっくりでいいです。
続編も出ています。

本はおそらく新品。きっと私のために1冊買ってくださったんだと思います。かなり時間かかっちゃいましたが読み終わりましたので内容と所感を記しておきます。

1.どの国も経験したことのない特異な時代へ

この本を一言でいうと、人口減少下の日本で今後起こり得ることを客観的根拠をもとに年表形式で説明するとともに、国を次世代につなぐために取るべき10の具体策を提示する、という内容です。
誰もが分かっていることではありますが、これからの日本は急激な人口減少期に入ります。

https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h24/hakusho/h25/html/n1111000.html

そう、まるでビットコインのように。泣
上のグラフには載っていないですが、著者によると200年後には人口約1,380万人に、3000年には人口2,000人になるそうです。
ちなみに自治体の人口ビジョンはせいぜい30~40年後までしか載っていません。
30年後といえば自分は退職し(退職する年齢変わってそうだけど)、子どもが現役バリバリの社会人になって、孫が産まれているかもしれない。
人口ビジョンよりも先の日本は急下降するジェットコースターのようにもっと人口が減る。2050年とか2060年といった途中段階を見るよりも、ある程度人口推移が落ち着くところまで見通したうえで物事を考えることが本来は必要でしょうね。

ちなみにこの本のキーワードは「静かなる有事」(なんかカッコイイw)
人口減少にまつわる日々の変化は実にゆっくりで、影響を感じにくいがゆえに人々を無関心にもしてしまう。真綿で首を絞められるように、気づいたときには暮らしが蝕まれており時すでに遅し…という事です。

年表の一部を紹介すると
2017年 「おばあちゃん大国」に変化
2021年 介護離職が大量発生する
2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
2026年 認知症患者が700万人規模に
2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
2040年 自治体の半数が消滅の危機に
2040年 世界的な食糧争奪戦に巻き込まれる
2065年~ 外国人が無人の国土を占拠する

とまあ悲観的な状況が続きます…。ややオーバーに書かれている事は否めなませんが、これぐらいのインパクトの出来事が起こっても何ら不思議ではないのも事実です。

2.戦略的に縮む

この静かなる有事に立ち向かっていくにはどうすれば良いのか。
著者が第2章にて「出生数の減少も高齢化も避けられるものではなく、それを前提とした社会の作り替えをしていくしかない」と提言しています。
従来の成功体験と訣別し、戦略的に縮むことが一つの鍵となります。考えてみれば、日本よりも人口規模が小さくとも豊かな国はいくつもあります。

戦略的に縮むには、当たり前だけど戦略を立てなければいけません。
戦略を立てるには、日本の人口減少をもたらす問題を正しく理解する必要があります。
本書では、”出生数の減少””高齢者数の増加””勤労世代の減少”という、それぞれ要因の異なる3つの課題に同時に立ち向かわなければならないと指摘しています。

この本を読んで最も難しく感じたのは、これらの現象を正しく分解して物事を理解する必要があるだけでなく、(この現象が全国一律に進んでいるわけではないため)自分の住む町の状況を客観的に分析したうえで各々の町にあった最善の策を考えなければならない、ということです。
これからの地方自治体職員にはデータ(客観的事実)を基にした正しい政策判断が求められます。
全国的なトレンドと乖離していないか、乖離しているのであればその要因は何か、そこから導き出される対策は…など、脳みそに汗かくことを厭わない胆力が求められます。

本書では10の処方箋が示されていますが、多くの人に浸透しているであろう固定観念とは逆をいくような事も書いてあります。
この本の最大の特徴は、客観的根拠を基にした将来の推測です。感覚的な議論ではなく、合理的な推測だからこそ多くの人に危機感を伝えることができているように思います。

まちづくりも同じで、これまでの成功体験にとらわれず、これからの時代にフィットする国(地方)を目指すには、”ステレオタイプ”な考え方から脱却し、様々な客観的根拠を揃えたうえで、自分の考えを整理し、物事を分析する力を身につけることが大事ではないでしょうか。
この本を読みながらそんなことを考えました。

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