あの日のウサインボルトみたいに

右のお尻にできものが出来た。

座ったらギリギリ椅子に接するか接しないかぐらいのところだから、座ってる時によく体勢を変えたくなってしまう僕はどうしてもめっちゃ痛い瞬間がある。あと右尻でありながらも足の付け根の部分でもあるから歩く時にどうしてもどっか痛い。関節蚊に刺されたから痒みに逃げ場ないよねみたいな。もう自分が蚊に刺された派なのか蚊に食われた派なのか忘れてしまった。自分がどっち派か曖昧になってからどっち派かっていう話が流行ったからイマイチみんなほど楽しめたことが無い。噛まれたではなかったと思う。

家から最寄り駅が遠いので電車に乗る時は自分の匙加減で結構どの電車に乗れるのかが左右される。特に朝。眠いからギリギリまで起床を遅らせて、ギリギリまで朝の準備を追い込んで追い込んで徒歩15〜20分くらいの最寄り駅までの道のりを12分ぐらいで行く覚悟で家を飛び出すとふくらはぎの外側が焼けるように悲鳴をあげる。なんか走るフォームが良くないとそうなるらしい。

そうやって走りたいのにふくらはぎが悲鳴をあげてる時、呑気なことに「今の自分引退レースの時のボルトみたいだなぁ」って思っている。

皆さんはウサインボルトの引退レースを見ていただろうか。オリンピックでゴール手前でウイニングランっぽくなりながらも世界新を叩き出した後、その時の記録を超えようと全力で走り切っても切ってもなかなかあの時の世界記録には届かず、ついに引退レースとなった男子100×4リレー。ジャマイカ代表のアンカーを任せられたボルトは、バトンを受け取って直線に入りあぁこれはもう先頭でジャマイカ逃げ切りかと思ったところで足を痛めて棄権してしまったのである。

めちゃくちゃテレビの前で叫んだ。トップスピードになるかというところで足を痛めて減速していくボルト。痛めたであろうハムストリングを押さえて減速していくボルト。あの日のボルトと朝最寄り駅に向かっている時に足の外側を押さえながら減速していく僕が重なる。ボルトが痛めたのがハムストリングなのかどうかは知らない。さらに言えばハムストリングが足のどこなのかよくわかってない。足の、大体外側だから、外側のふくらはぎが痛いから、ハムストリングが痛いみたいに、って思ってたんだけど全然違くてハムストリングって太もものところだった。全然違う。世界新記録を持っているウサインボルトと運動不足の僕は全然違う。でもあの時のウサインボルトみたいだなあって頭をよぎるだけでもちょっと楽しい。足は痛いし。

よく痛めるふくらはぎの外側よりもほんの少しだけ本家に近い右尻の外側にできものが出来たから、走った後に太ももの辺りを押さえてみる。あの日のウサインボルトみたいって一瞬頭をよぎらせるために。そうやって家と最寄り駅の間の15分を過ごしている。

これで上がったテンションはPASMOのチャージが足りなかったら全部台無しになる。

Jリーグの今シーズン初試合観戦に行ってきました。浦和レッズ対東京ヴェルディの浦和レッズホーム開幕戦でした。先週のついに待ち望んだ開幕戦からの、ホーム開幕戦からの、今シーズン初試合観戦でございます。結果は1-1の引き分けになってしまいましたが、それはそれとしてやっぱりなんといってもスタジアムに入ってピッチを見下ろした時の高揚感がたまらなかったです。熱すぎる。この「熱すぎる」はすごい自分勝手な理由のない「熱すぎる」だから人に伝えようとするとむしろ自分が自分を見失っちゃうかもしれない。

スポーツ観戦だったらきっとどんな場面でもあることだと思うんだけど、右隣のおじさんが割と感情を表に出すタイプの人で、浦和レッズが先制点を決められてしまった時にはわかりやすく苛立ちを示していたり、語気が強くなったり、プレーに対して反射的に大きな声が出たり、もちろんそういう方は全然いるのが当たり前なんだけどほんの少しだけソリが合わないなあと思っていた。

その後浦和レッズが試合終了間際にPKを決めて追いついた。めちゃくちゃそのおじさんとハイタッチした。左隣のお兄さんともハイタッチした。3人でハイタッチした。やっぱり全部ゴールが解決してくれるんだなって思った。ソリが合わないとかもおじさんの態度がちょっとだけ嫌だったのとかも結局は試合状況が芳しくないのであって、PKでもなんでも自分の応援するチームがゴールを決めたら全部解決してくれた。その後試合終了までの約8分間は男3人横並びで一丸となって応援した。あの時間本当に最高だった。また1週間後が待ち遠しいです。体感「もう火曜日かあ」って今ところ思ってるので「体感のスタートダッシュ」は決められていると思います。

この調子で10日になってほしいです。でもなんか急いでるのももったいないですよね。


さっきまで色々言ってきたけど布団に寝っ転がってみたら寝返り打った時が1番痛かった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?