お家のネットワーク環境とインターネットについてある程度知ってみよう
はじめに
ネットワークやインターネットに興味を持ってもらいたいという思いと, 家のネットワークにトラブルが起きたときにある程度どこに問題がありそうかを推測する手がかりになれば良いと思い作成しています.
そのため説明を省略している部分や一部正確ではない表現を用いている箇所があると思いますがより正確で詳細な説明はプロが書いた書籍をご購入いただきたいと思います. この記事はあくまでもある程度ざっくりと家のネットワークについて知ってもらうためのものです (あと書いてる人間もネットワークの専門家ではない) のでご容赦ください. そして鵜呑みにしないでください.
もし致命的な間違いを発見された方はコメントや Twitter, メールなどにお知らせいただきますと幸いです.
また, 一部の章は未完成です. 気が向いたら書き進めます.
家のネットワーク概要
事前知識 1: 機器を識別して通信するための決まりごと "IP"
家の中のネットワークで使われる機器や技術の説明をする前に "IP" (Internet Protocol, インターネット・プロトコル) という通信の決まりごとを説明します.
スマートフォンやラップトップコンピュータなど皆さんが実際に操作する, ネットワークの終端にある端末 ("エンドデバイス" と呼びます) だけでなく, 後述のルータ等の機器もそれぞれ個別の "IP アドレス" (建物の中の部屋番号と考えると良いでしょう) が割り当てられていて, IP アドレスによってどの機器からどの機器あての通信であるかを判断したりします.
この "各機器に IP アドレスを割り当てて識別しよう" という通信方法の決まりごとが "IP" (Internet Protocol, インターネット・プロトコル) です.
IP アドレスには IPv4 と IPv6 の 2 種類があり, 簡単に言えば IPv6 のほうがアドレスの桁数が多いので大量の機器にアドレスを割り当てなければならないときに使います. ここでは IPv4 について説明します.
IPv4 は例えば以下のような形をしています.
192.168.1.101
ドット "." で区切られた 4 つの数字を繋げた形で, それぞれ 0 〜 255 (16 進数で 0 〜 FF) までの数字を使うことが出来ます. つまり 0.0.0.0 〜 255.255.255.255 までの最大 256 の 4 乗 = 2 の 32 乗 = 4,294,967,296 個のアドレスを作成できます.
IP アドレスはネットワーク部とホスト部にわかれていて, 前半数桁がネットワーク部, 残りがホスト部です. ネットワーク部は「この IP アドレスが割り当てられている機器がどのネットワークに存在するか」を示し, ホスト部は「そのネットワークの中での番号はなにか」を示していて, この 2 つで「どのネットワークにあるどの機器か」を判別します.
例えば "192.168.1.0 のネットワーク空間にある, 101 番が割り当てられている機器" の IP アドレスは 192.168.1.101 と表されます.
なお IP アドレスのホスト部は必ずしも若い数字から順番に割り当てなければならないわけではありません. これから先に出す例でも, ルータなどの中間機器には 1 桁のアドレス (192.168.1.2, 192.168.1.3 など) を割り当て, エンドデバイスには 100 台のアドレス (192.168.101, 192.168.102 など) を割り当てています. これは単に人間が識別しやすくするために使い分けているだけで, もちろん全てに順番通り 192.168.1.2, 192.168.1.3, 192.168.1.4,... と割り当ててもいいですし 1 とばしで 192.168.1.3, 192.168.1.5, 192.168.1.7,... と割り当てても問題ありません.
IP アドレスのどこまでがネットワーク部かを判別するためには "サブネットマスク" を見ます. 多くの場合には最初 9 桁 (3 ブロック) がネットワーク部で後ろ 3 桁 (1 ブロック) がホスト部です. この場合サブネットマスクは以下のようになります.
255.255.255.0
2 進数に変換するとこれは 11111111.11111111.11111111.00000000 というビットパターンになります. IP アドレスの 192.168.1.101 は 2 進数では 11000000.10101000.00000001.01100101 です. この 2 つのビットパターンの論理積を計算 (AND 演算) することでネットワークアドレスが 192.168.1.0 であることがわかります. AND 演算とは, 両方が 1 であるときのみ 1 で, どちらか一方が 0 のときや両方 0 のときは答えが 0 となる計算です. 論理 "積' という名前から予想できる通り, 掛け算をイメージすればわかりやすいでしょう. (ちなみに論理和または OR 演算と呼ばれる計算では足し算をイメージして, 両方が 0 のときのみ答えが 0 で, それ以外のときは 1 となります. 1 + 1 が 2 とならず 1 になるのは変な感じがしますが, これはあくまで論理和であり普通の足し算とは意味が少し違います.)
論理積と論理和の対応表
| A | B || A AND B | A OR B |
|===|===||=========|========|
| 0 | 0 || 0 | 0 |
| 0 | 1 || 0 | 1 |
| 1 | 0 || 0 | 1 |
| 1 | 1 || 1 | 1 |
IP アドレスとサブネットマスクの AND 演算
11000000.10101000.00000001.01100101 = 192.168.1.101
AND) 11111111.11111111.11111111.00000000 = 255.255.255.0
---------------------------------------------------------
11000000.10101000.00000001.00000000 = 192.168.1.0
サブネットマスクの代わりに "プレフィックス長" と呼ばれる数値によって示されることもあり, この場合は IP アドレスと合わせて以下のように表記します.
192.168.1.101/24
この 24 がプレフィックス長で, IP アドレスの後に "/" で繋げて表記します. この長さは 2 進数でネットワーク部を表記したときの桁数で, 左から 2 進数で 24 桁の部分がネットワーク部であることを示します.
事前知識 2: ネットワークを有線で接続するための規格 "Ethernet"
次の機器の説明に進む前に, 機器同士を接続する方法の 1 つである有線接続について説明します. 有線という呼び方の通り, ケーブルを両機器にぶっ刺して接続する方法で, このケーブルは "LAN (ラン) ケーブル" と呼ばれます. この LAN ケーブルで使われている通信のための規格 (ケーブル内の配線の順番や端子の形などの決まり) が "Ethernet" (イーサネット) です.
最初の概要図中にも Ethernet というワードが出てきますが「LAN ケーブルを使って有線接続している」と捉えてもらって大丈夫です.
光ファイバケーブルや電話線でインターネットに接続するための機器 "ONU" や "モデム"
家でインターネットに接続できる状態の皆さんはおそらくプロバイダ (通信会社) と契約して, 壁から生えている光ファイバケーブルを "ONU (Optical Network Unit, 光回線終端装置)" や電話線を "モデム (modulator / demodulator)" と呼ばれる機器に接続することでインターネットに接続しています.
これらの機器の役割は内側 (概要図での "家の中") の通信信号を光ファイバケーブルや電話線で転送するために変換することです.
ONU やモデムは後述の "ルータ" としての機能も兼ね備えていることがほとんどです.
内部と外部を分ける機器 "ルータ"
"ルータ" (router) はひとつのネットワークを取りまとめる機器です. 一般的には IP アドレスのホスト部は 1 になります. つまりネットワーク部が 192.168.1.0 の IP アドレスのネットワークではルータの IP アドレスは 192.168.1.1 となります. ルータはネットワークの頂点にある機器なのでそのネットワークの中で 1 番若いアドレスが割り当てられます.
ONU やモデムは外とやり取りする線と内側の通信方式を変換する役割に加え, このルータの機能を備えていることがほとんどです. そのため ONU やモデムが家の中のネットワークの頂点となります.
ルータに接続された様々な機器は, ルータに搭載されている後述の DHCP サーバによって IP アドレスを自動的に割り当てられます. ネットワークアドレスが 192.168.1.0 でサブネットマスクが 255.255.255.0 の場合, ルータに接続された機器の IP アドレスは 192.168.1.2 〜 192.168.1.254 のどれかになり, 重複することはありません. (192.168.1.255 のようにホスト部のビットパターンが全桁 1 である IP アドレスは "ブロードキャストアドレス" とよばれ, ネットワーク内の全ての機器と通信するために使用します. 特定の危機に割り当てることは出来ません.)
重複するように設定してしまった場合にはエラーとなり, 重複した IP アドレスを持とうとしている機器は正しい IP アドレスを持つまでどちらもネットワークに接続できません.
ONU やモデムと違い, 純粋にルータとしての機能だけを搭載した機器があります. この機器のことを "ルータ" と呼びます.
部屋や階ごと, あるいは家族用と来客用のネットワークを 1 つの家の中で分離したい場合はルータを複数設置します. 下の図では 192.168.1.0 のネットワークアドレスを持つネットワーク内に 2 つのルータを設置し, それぞれ 192.168.2.0 と 192.168.3.0 の更に内側のネットワークを構築しています. ルータ A とルータ B はそれぞれ 192.168.2.0, 192.168.3.0 のネットワーク空間の頂点であると同時に 192.168.1.0 のネットワーク空間内の機器でもあるため, ルータの内側と外側に違う IP アドレスを持っています.
ネットワーク同士を繋ぐ機器 "スイッチ"
【執筆中...】
無線接続を可能にする機器 "アクセスポイント (AP)"
ようやく皆さんご存知 "Wi-Fi" の登場です. Wi-Fi の電波を飛ばし, エンドデバイスと無線で通信する中心機器が "アクセスポイント" (AP) です.
多くのアクセスポイントにはルータ機能が搭載されているため "Wi-Fi ルータ" と呼ばれることも多いですが, 上で説明したルータの機能をオフにして, アクセスポイントの機能のみを使用している場合は正確な表現ではありません.
ルータ機能がオフの場合はネットワークの頂点はルータ A で, ネットワークアドレスは 192.168.1.0 ですのでアクセスポイントに Wi-Fi で接続された機器のネットワークアドレスも 192.168.1.0 になり, その IP アドレスを割り当てるのはルータ A に内蔵されている DHCP サーバの役割です.
一方アクセスポイントでルータ機能をオンにした場合はネットワークアドレスが 192.168.2.0 のより小さなネットワークが作成されます. Wi-Fi で接続された機器に IP アドレスを割り当てるのはアクセスポイントのルータ機能に内蔵されている DHCP サーバの役割です.
なおルータ機能オンの場合と, ルータ機能をオフにしてルータ A とアクセスポイントの間に新たにルータ B を設置した場合では, 機器の数や図の見た目は違いますがネットワーク構造は全く同じです.
IP アドレスとドメインを変換する仕組み "DNS"
"DNS" (Domain Name System, ドメイン・ネーム・システム)
【執筆中...】
IP アドレスを割り当てる決まりごと "DHCP"
"DHCP" (Dynamic Host Configuration Protocol, ダイナミック・ホスト・コンフィグレーション・プロトコル)
【執筆中...】
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