回想記実 書ふことを

 最も嘘ない言の葉を紡ぐためにできうる事というならばそれは私のなかにそれとした形で観え、聴こえるものを書きつける事なのだらうとも思うものである。外化される未然形の言の葉は眼前に浮かび、またその形をも決められるものだからであるという事だがこの言の葉の形成を担うのが一体どういふ物なのかを私自身は分からない。言の葉を選ぶといふ選択行為ですらも超脱した書き方を成する時機において人を成すこの形は一体全体何をしておるのかも分からない様だがそれでも尚のこと流れ出づるまま書き足す所業は続けられる。このようにも人間が書くことはできるのだなとも思われるものだ。

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