企画におけるクソビジネス用語集

うんざりするけど、自分もつい使いがちな用語集。
特に、巻き込まれた会議の中で出てきたら要注意。

課題感

課題とは、「解決するべき問い」である。「感」というのは感じ、感覚である。直感的ではない曖昧さを与える。

また,「感」をつけることで生じる「直接的でない感じ」も使いやすいのだろう。少しオフィシャルな,職場の会話などでも「〇〇感」は増殖中だ。
それぞれ「スケジュールを教えてほしい」「予算はどれくらいか」という表現に比べると,「感」をつけることで少しあいまいな感じになり,聞きにくいことも聞きやすくなる。これは,相手との関係をなるべく良好に保とうとする,現代社会における一種の配慮表現なのだろうか?

NHK放送文化研究所より

単に曖昧さを持たせて議論の落とし所を探るための使い方ならば良い。しかし、打ち合わせの時に出て来た場合、話者は自分たちの課題を認識していない可能性がある。

例えば、課題はまだ確たるものではない中で「課題である」と断言し、それに向かって全員が進むとリスクである。それを避けるため、「概ねこの辺りに課題があると思っているが、確かではないので〜〜したい。」というニュアンスで使っている場合があり得る。

こうなってくると、次の一手は、「〜〜なのでとりあえず出来ることを出してください」だったり、「〜〜なので課題を一緒に見つけてください」だったりする。前者は、課題のない中での手段の議論となるため、霧の中に迷い込んだり空振りに落ち着く可能性がある。後者は、今まで課題を見つけられなかった人からの丸投げを受け取る可能性がある。

確たる課題が見つかっていないなら、そう言ってくれた方が何倍もやりやすい。

課題管理表、AI(アクションアイテム)表

プロジェクト管理の基本は課題管理だったり、アクションアイテムの管理である。全体計画があり、ワーキンググループが決まり、各々がタスクの消化に向けて体制を構築しているならば、課題管理表やAI表は非常に重要だ。

しかし、まだコンセプトメイクの段階となるような企画プロセスにあたっては必ずしもその限りではない。課題やコンセプトが明確であったとしても、その手法を模索する断面において、課題管理やAIが有効に働いた経験がない。

これは、一つ一つの課題がマイルストーンやクリティカルパスに依存しない、または見えない状態において課題管理が効果を発揮しないことに原因がありそうだ。

通常のプロジェクト管理では、何らかの理由からマイルストーンを定め、そのマイルストーンを達成するために各々のタスクのリードタイムやバッファが計算される。タスクを遅滞なく進めるにあたっての障壁が課題であったり、遅滞なく進めるためのアクションがアクションアイテムと定義できる。

しかし、解決方法、すなわち技術的なコンセプトやアーキテクチャが大まかにでも決まるまではそもそもマイルストーンや全体の工程を決めることすらままならない。そのような中、管理表の項目があっても、消化して遵守できる工程が存在しない中では虚しさしか残らない。

このような状況下では、まずは「〜月〜日までにアーキテクチャを決める」「そこから、通常であれば〜週間で全体工程が引ける」といった考え方に従って、「全体計画がないこと自体がリスク」と捉えて、少なくとも全体工程が設定できる粒度で技術的な設定を終わらせることが大事だ。

すり合わせ

「すり合わせをさせてください」と言われた時の虚無感は大きい。往々にして、その人自身が確固たる考えやプランがない。別になくてもいいので、ドラフトのプランでもあれば良いのだが、それすら無いと絶望的である。

すり合わせ」は、機械加工の専門用語に由来する表現と考えられる。機械加工における「すり合わせ」は、接合する部品が高精度にぴったり密着するように摩擦力を加えて微妙に削る工程を指す。この「すり合わせ」を経ることで、部品は互いにぴったり一致する形に落とし込まれるわけである。

Weblio辞書より

物と物を密着させることが擦り合わせなのだから、ビジネスでのすり合わせも、考えを持ち寄らないと擦り合わない。無と無は擦り合わないんだから。


解像度

書籍「解像度を上げる」は、仮説を立てることの重要性と、その仮説を仮説で終わらせないための徹底の必要性を説いた点で非常に価値がある。「ふわっとしている」「既視感がある」「ピンとこない」という帯にある通り、抽象化はそれだけでは使い勝手が悪く、具体化により確実な企画や計画を作らなければ、製品やサービスは市場に出回らない。

それはいいのだけど、反面、「解像度を上げる」という非常に抽象的な言葉を流行らせてしまった。「解像度を上げる」という本を読んだ人は、解像度を上げるために何をするべきかを理解しているのだろうか。「解像度を上げましょう」ということは、解像度を上げるための引き金になっているのだろうか、その点は考えた方が良い。

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