私が作問する際に意識していること

このnoteは、私が答練や模試を作問する際にどんなことに気をつけているかを皆に知って頂けたらいいなと思って書いたものです。誰かを批判したりする意図は全くありません。ただ、もし今後問題を作成する方がいたとしたら、この記事が何かしら参考になったら嬉しいと思います。


目的が明確であること

答練や模試を作問する際、私は必ず目的を設定します。
この答練や模試によって、どういう結果をもたらしたいのか?ということです。
例えば答練であれば、「重要な知識を確実に身につけてもらう」「誤解しがちな論点を見極められるようになってもらう」などです。
模試であれば、「最高の本試験の予行練習にしてもらう」というのもあります。
そして、その目的に適うような問題作成を心がけます。

出題する問題は、あくまで目的を達成するための手段でなければなりません。
問題を出すこと自体が目的になることは避けなければいけないと思っています。
明確な目的もなく、いたずらに難しい問題を出しても、それは出題者の自己満足でしかないからです。
そうならないよう、私は常に自分を顧みるようにしています。

解答が一つであること

いくつも解答がある、というのは、問題として良くありません。
原則として解答は1つであるべきです。
もちろん、「区分建物」と「専有部分」のように、同じものだけれど表現する言葉が異なるものはありますので、そういったときに解答が複数になることはあります。
ただし、これはあくまで「同じもの」を複数の言葉で言っているだけなので、実質的に解答は1つです。

解答そのものが複数あると、解答者は迷ってしまいますし、迷った挙句にどちらでも良かった、というのでは、何のために迷わせたのか?という話になります。
意味がないことはしない。
これも出題するときに心がけていることの一つです。

根拠が明確であること

私は、条文、通達、質疑応答など、根拠が明らかなものからのみ出題します。
基本的に、実務書から出題することはありません(「地目認定」「建物認定」「申請書マニュアル」などは除きます)。
実務経験者しか手に取らない資料から出題することは、実務経験者を優遇することにつながるからです。
また、実務書は、執筆者によって見解が分かれることもあり、明確な根拠とは言い難い面があります。
先ほどの内容とも結びつきますが、問題にする以上、答えは1つであるべきです。
したがって、オープンな情報であり、実務未経験者でもアクセス可能な明確な根拠を元に作問するようにしています。

「私」を混ぜないこと

問題は、それを解く人のためにあります。
ですから、問題の中に出題者の「私」が入るのはよくないと思っています。
分かりやすく言えば、「個人の趣味」が入らないようにする、ということです。
相手のために作るものなのですから、「個人の趣味」は不純物だと思うからです。

もちろん、問題は出題者にとっては「作品」も同然です。
そこに、ほんの少し自分の色を出したい、遊び心で手を加えたいということもあります。
そういうときは、他の人が気付かないレベルであることが必要です。
自分一人だけのささやかな秘密として楽しむのであれば、解答者を邪魔することはありませんので。

例えば、今年の直前予想模試の第22問で、私は登場人物に「桜木学」という名前を付けました。
これは、「ドラゴン桜」の桜木建二から名前をもらっています。
そしてドラゴン桜といえば「学習」ですから、「学」と付けています。
こんなことは、私が言わなければ誰も気づかないでしょう。
少し遊び心が芽生えたとしても、この程度であることが重要です。

真剣勝負の場で、ダジャレのようなふざけた名前を出したり、実在する特定個人を想起させるような名前を出すことは絶対に避けなければなりません。
解答者の邪魔をしないことは、作問者に課せられた最低限のマナーだと思うからです。

以上、私が作問するときに意識していることをお伝えしました。

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