子供のころキライだった読書感想文を大人になってやってみる(2020年10月版)

note読者のみなさま、こんにちは。

まえがき

学生時代、読書感想文という宿題が好きではありませんでした。なぜ嫌いだったのか、後から分かったことですが、そもそも学校のお勉強が好きではなかったのです。

だから、好んで本を読むようになったのは社会人になってからです。さらに、サラリーマンを辞めてゆとりのある生活になってからは、時間を気にせずゆっくりと読書を楽しんでいます。

そして、本を読むために図書館を活用するようになりました。比較的新しめの本が次々と入っている上に、ほしい本を購入リクエストしたら案外買ってもらえることも分かってきました。市のサービスもなかなか便利です。

古典

講談社 の「江戸川乱歩全集24 青銅の魔人」という本ですが、1979年(昭和54年)に出版されたものです。40年前の本ですが、保存状態はよく、大変読みやすかったです。こうした古典が読めるのも図書館ならではです。もともと、公民館で貸し出しをしていたようで、昔懐かしい貸し出しカードがついていて、子供の頃を思い出します。

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収録されているお話は「大金塊」、「青銅の魔人」、「虎の牙」の3つの短編です。原作の発表年代でみると、大金塊は昭和14年、残り二つは昭和24年と間が空いています。昭和20年が戦後ですから、ちょうど時代の節目にあたります。大金塊では怪人二十面相が登場せず、政府に忖度(そんたく)する話になっているのは時代を表しています。

本に書かれている日本語は旧仮名遣いが使われておらず、現代仮名遣いになっていました。原作を読んだことがないのでわかりませんが、原作の文章を編集してあるのだとおもいます。

下記の本に収録されている、江戸川乱歩の「目羅博士の不思議な犯罪」では旧仮名遣いにルビが振ってありました。

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「青銅の魔人」は小学生の時に読んだことをよく覚えているのですが、ストーリーはすっかり忘れていました。30年ぶりに読み返してみて、怪人二十面相さんは明智小五郎のことが大好き!ということを理解しました。明智小五郎は既婚ですので、怪人二十面相さんは婚活がんばってほしいです(?)。

法律・裁判

自分自身が誹謗中傷の被害を受けたこと、それとは別に2020年は誹謗中傷がトレンドになった年ということもあり、法律や裁判に関するお勉強をコツコツと進めています。法の知識があることで、物事を有利に運び、自分を守ることができるようになるからです。

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上記の本は刑事裁判の傍聴記録です。この手の本を読んだのは初めてだったのですが、学びがありました。万引きなどの軽犯罪では、被告人(容疑者)が悪いと知りつつ、出来心でやってしまっているということです。反対に、重犯罪になると、やっている本人が悪いと思っていないということです。

本で紹介されていた事例として、当時税理士で妻子持ちの社会的地位がある方が、13匹のノラ猫を虐待死させる様子をネットにアップして捕まったというお話がありました。被告人は「害獣の駆除をしているのだから犯罪ではない」と言っているのです。結局は(相当な悪意のある)ストレス発散でしかないのですが、生物の命を奪うぐらいの行為になると、大義名分がないと精神力を保って犯せないということなのでしょう。

日々、メディアのニュースを騒がせている重犯罪者の声を聴いていると、どことなく他人事で、悪いことをやったという認識がないのかなと感じるのですが、その理由が分かったような気がしました。

しかし、動物虐待は一線を越えて、人間をやめてしまっているとおもいます。動物を殺し続けると、次のターゲットが人間に移行するというのは、すでに酒鬼薔薇くん(少年A)が証明してくれています。

変わり種

「電柱マニア」は今年最高に面白い本かもしれません。なにより、作者の電柱好きが伝わってくる素敵な本なのです。

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電柱がある場所に直接出向かなくとも、Googleストリートビューで電柱を楽しむことができるそうです。そして、電柱の写真からだけで住所が特定できるとすごいことが書いてあります。だから、「電柱の写真をSNSに気軽にアップするのはやめましょう」とのことです。勉強になります。

技術書

Linuxの低レイヤに関する本が出るなんて、いまどき珍しいので作者さんには感謝です。作者は元々は出版社の編集者で、独立してライターになったそうです。他人の原稿を編集するよりも、自分で書くほうが好きなのでしょうね。

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矢沢久雄先生の本です。矢沢久雄さんといえば、「プログラムはなぜ動くのか」でベストセラーを生み出した有名作家。当時は(出版業界での)社会現象になって、すごく話題になりました。出版不況と言われ、本が売れなくなった時代にコンピュータ書籍なら売れる、と思わせたのでした。自分の取引先の出版社からも「こんな本を書いてほしい」と強く言われました。もっとも、類似本を出したところで二番煎じでしかないのですが、本はトレンドに乗っかると、そこそこ売れるので不思議な商売です。現代だと、やたらとPythonの本が出版されることと通じるものがあります。

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さて、2つの本の共通点として、いずれも売れる本に仕上がっています。2色刷で、図解が豊富で、内容もやさしめになっていて、サクサク読み進められます。もっとも、ここに挙げた本はさわりでしかないので、物足りなさがありますし、LinuxカーネルやC++がバリバリできるようになるわけでもありません。

けれども、0から1になるための足がかりとなる本になっています。入門書というのは、本来そうあるべきなのでしょう。そして、それがそのまま本の売上につながります。

自分は実践的でマニアックな本ばかり書いていて、たいして売れないので出版社からは冷たい目で見られることも多く、だんだん執筆の依頼もこなくなります。そうなってしまっては本末転倒なので(実際そうなっているので)、売れる本も作っていかないといけないなと思いました。

小説

「ステイホームの密室殺人 コロナ時代のミステリー小説アンソロジー」というタイトルですが、コロナ禍をテーマとしたアンソロジー小説です。今しか読めない本ですね。「不要不急の外出」という言葉も、すでに古くさく感じてしまいます。

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乙一さんの短編目当てで読みました。アンソロジー小説というと過去の作品の再収録も多いのですが、この本では新作書き下ろしの「ステイホーム殺人事件」が読めます。「しあわせは子猫のかたち」のテイストに近い感じの作品でした。

他の作品では「すていほぉ~む殺人事件」という話がめちゃくちゃ面白かったです。メイド喫茶を舞台としたミステリーで、作者さんがメイド喫茶が大好きなのでしょうね。そんな好きが伝わってくる、オタクの夢が詰まった作品でした。最後のオチにも驚きです。

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第2作目が面白かったので、第1作目も読みました。作者の中に本業が医者の方がいて、びっくりしました。本物のお医者さんだから、コロナの説明がひと味違いますし、勉強になりました。

それにしても小説は副業的にやられている作家さんも多いですね。

あとがき

技術書以外にも幅広く本を読んでいることで、知見が広がっていっています。これからもたくさんの本を読み、そして本を書いていきたいです。


貴重な時間を使って最後まで読んでくださり、ありがとうございました。 よかったら、記事の拡散もお願いいたします。