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いろはな防災 ~イニシエ少女の災活~ 第03話

《あらすじ 41文字》
仲良くなって早々に、桜ちゃんが花ちゃん家にお泊りします。
どんな家かワクワクします。

・お泊りのイロハ その1

 次の朝は大忙し。
 昨日、桜の提案で始める事になった我が校独自の自由研究、
「仁淀レポート」

 これは校長の専決事項なので、書類を提出して決済を受ける必要がある。   そうすると担任教員を決めてくれて相談することができる。
 いわゆる部活の顧問と同じ。

 校長室にいって、桜が揃えてくれた書類を提出すると、題材が題材なので即オーケイ。

 担当教員は後日に決定するとの事。
 なんだかんだであっさり終了。

「花ちゃん、すんなり終わってよかったね」
 さすがの桜も緊張していたようで、ほっとしている。

「桜が書類を揃えてくれてたお陰だよ」
「全部ワード形式でダウンロードできたから、記入するだけ超簡単♡
 うちの先生は校長を始めITオタク多いから、何でもかんでもシステム化してくれてるから楽ちんだね」

「へーそうなんだ、公立校は全然そこまでいってない、ミライしてるね〜」
 先月までいた中学校を懐かしく思いながら、思い出して笑った。

 あっと言う間に放課後です。
 今日も桜と帰り道。
 二人っきりの時間が流れる。

「ねえねえ花ちゃん」
 さっきまでと違って真面目な感じの問いかけにドキッとする。

「わたし防災の事、TVで言ってる位の事しか知らないんだよね。
 お母さんが東日本大震災があった時に防災バック買ったらしいけど、邪魔だからって、どっかにしまって行方不明」

 ふむふむ、よく聞く話。

「だから、花ちゃんのお父さんとお母さんに色々話を聞いて見たいから、お家に招待してほしいな♡」
 出会って1日で詰めて来たな、でもなんか嬉しい。

「オトンとオカンに聞いて見ないと分かんないけど私はいいよ、よつばもきっと喜ぶし」
「よつば?」

「あっごめん、うちでお世話させて頂いてるおネコさまで6歳さま、メスさまだよ。」

 わたしの言葉が終わるか終わらないかで、
「ネコ〜♡大好き、チョー飼いたい」

 今までで聞いた中で一番のテンション。
 花ちゃんスマホを取り出して、

「これ、よつば、お迎えしたばかりの写真。
 生後1ヶ月くらいかな」
 子供のネコがすやすや おやすみ。

「かわいい〜♡
 あたしンち両親がお勤めで世話できないって、ペット禁止なの」
 桜はいきなり仁淀川に向かって
「よつばちゃーん、大好きだよ〜」
 大声で叫んでいる、壊れたか!

 で翌日の学校。
 昨日と同じ、静かな朝。
 そこに始まるにぎやかな朝。
 そこには当然 桜ちゃん。 

「花ちゃんおはよう」
「お、おはよう」
 ほんのちょっと怯む。
 寝たらリセット、少しだけ。

「桜、昨日の事だけど、家に来るのOKだって。
 オトンもオカンも大歓迎、もちろんよつばも」

「やったー、うれしい、会うの楽しみ、よつばちゃん」
 ……小躍りしてる
 見てると何らかのポイントが下がりそう。

「あと、桜…ちゃん、ついでだけど、お泊りしない……」
 続けた言葉に小躍り止まる。

「花ちゃんちにお泊り、いいの?」
「うん、お姉ちゃんも県外だし、さみしいから、いっしょに寝ない?」
 精一杯の勇気を振り絞って発したコトバ。
 変に伝わってないかな?

「うん、お泊りする、する、するめいか」
 謎の呪文で小躍り再開。

 これだけ喜怒哀楽出せたら楽しいだろうな。
 桜に合わせて指先だけで調子をとる。
 精一杯、これでもね。

 日が変わって土曜日です。
 今日は桜がお泊りです。
 お部屋のお掃除、おふとん干して、ふわふわタオルも準備万端。

 オトンはゴハンをいろいろ準備。
 オカンは町の防災四コマ最終日。
 デットヒートで仕上げてます。

 そろそろ桜の乗った町のバスが着く時間。

「オトン、お迎え行ってくるね」
 オトンが大きく手を振っている。
 行ってらっしゃいの合図のようだ。

 少し歩いてバス停へ行って待っていると、
 桜の乗ったバスが到着。
 開いたドアからテンション高い桜マン登場。

「花ちゃん、おはよう、いい天気!とう!!」
 元気に挨拶した桜はバスからぴょんと下車。

 プライベートでもいつもの桜だ、当然か。

「桜おはよう、迷わなかった?」
「バスでドアtoドアだよ、迷うわけ無いよ」
 ごもっとも。
 初めて友達が泊まりに来るから緊張している。

「ごめん、ごめん、友達来るの初めてだから、緊張しちゃって」
 素直に答えると桜から

「ホント、嬉しい、お初だね!」
 素直な答え、
 お互いニコニコしながら我が家へ向かう、

「あら、楓ちゃん、おはよう」
 お隣のさわおばちゃんに声をかけられた。

「おはよう、さわちゃん
 えーと、こちらは同級生の小桜茜さんです」

 暗黙の了解でうちの地域は女性の呼称は名前のさん、ちゃんづけと決まってる。

「あら、茜ちゃんおはよう、楓ちゃんと仲良くしてあげてね」
「こ、小桜茜と言います、楓子ちゃんには学校で仲良くしてもらってます」

 先に挨拶されたので、少し早口になってる。
 レアな桜を見れてウレシイ。

「そうそう、楓ちゃん春キャベツ持っていき」
 春キャベツを2玉持ってきた。
「いつもありがとう、さわちゃんちのキャベツ、柔らかくて美味しい、ありがとう」
 そう言いながら春キャベツを胸の前で抱え、頭でバイバイしていると、

「花ちゃんって学校とはキャラ違うんだ。」
 そう桜に言われてしまった。
 そんなつもりは無いけれど、そうなんかな。

「そんな花ちゃんも好き♡」
 桜の告白に照れに照れた。

「うーん、恥ずかしい、一生幸せにするよ」
 精一杯のジョーク、その後顔を見合わせて大笑い。

 そんな笑い声に気づいたオトンが大声で
「おかえり、そしていらっしゃい」

「おじゃまします、小桜茜といいます。今日はお招きしていただき、ありがとうございます」
 ちゃんとした挨拶、いつもの桜とは別人みたい。

 それから、お部屋に案内して、荷物を置いて、お家の中をご案内。
 お客様への儀式を一通りすますと、お昼の準備にお外へ出ます。
 案内してる間にオトンがご飯の準備を完了させてます。

 ゴハンは羽釜で炊いちゃいます。
 お客さんが来たときのスペシャルです。
「今日のゴハンは羽釜炊き、うれしー♡」
 花ちゃん口から歓喜の声が漏れちゃいます。
「羽釜のゴハンって美味しいの?食べるの初めて、見るのも初めて!」
 そんな疑問に答えます。

「とっても美味しいよ、ぐつぐつ具合がハンパないし、外で食べると200%増しだよ」
 久しぶりの羽釜に花ちゃんテンション、バク上がり。

「そうなの、楽しみ、私は500%増しで!!」
 桜が突き出した5本指とドヤった顔を見合わせて、
「ねえねえ花ちゃん、おかずはどうするの?」

「さっきオトンからレシピ聞いてるよ、貰ったキャベツを使った豚バラブロックのカレーにします」

 そう言ったとたん、桜の口から
「タンタカタカタカタンタンター♪〜」
 なんか聞いたことのある旋律が出てきた

 私はびっくりして、問いかけようとした瞬間。
「花ちゃんの防災クッキング!」
 大きな声を出しながら、右手を突き上げ、お空にジャンプ。

 大きな鳥が落ちてきた。(ウソ)

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