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いろはな防災 ~イニシエ少女の災活~ 第10話

《あらすじ 66文字》
今日はレポートの内容会議をしちゃいます。
議題はみんな注目の《備蓄》の話が展開します。
脱線するのはリサリサさん。
しっかり話が出来たかな?

・備蓄のイロハ


 GWも終わって初夏本番。
 桜は花ちゃんちで合宿気分。
 イロイロ事件もありました。
 
 よつばの脱走
 お隣さんちで野菜の収穫
 敬老会の日帰り旅行
 花ちゃん地区のイベントが盛りだくさん。
 気力の充実した期間になりました。

 それも終わって学校です。
 学生の本分再開します。
 さくっと、授業が終わります。
 放課後にリサリサ先生交えて、仁淀レポートの打ち合わせ。

「最初の会議だね、花ちゃん、先生」
「GWも終わったし、今日から本格始動だね」
 二人は見つめ合って微笑みます。

「今日の議題は何にするの?」
 漆黒美貌しっこくびぼうのリサリサ先生、青い目をして問いかけます。

「ウチの防災士さまに聞いたら、最初は備蓄を考えたらどうかって!」
「うちもある、お母さんが防災バック買ってた!どこにあるか分かんないけど…」
「じゃまになるからしまい込んじゃう人多いんだよね」
 両手を組んでウンウンうなく花ちゃんさん。

「花ちゃん家はどうしてるの?」
「ウチは外にコンテナ置いて、その中にお水とパックご飯を入れてる。
 家の中にもあるけど、おウチが倒壊したら取り出せないから、外にも置かなきゃってオトンが管理してるよ」

「お庭にあったのそれなんだ」
「お水を飲まないと1週間位で死んじゃうらしいから、とにかくお水は備蓄してる。車にも2箱積んでるよ」
「スゴイ!花ちゃん家は備蓄倉庫だね」
 茜の賛辞に嬉しそう。まだまだ花ちゃん続けます。

「桜が来るから、もっと増やすっていってるよ。」
「神キタ~」
 なぜかテンションバク上がり。
 仕切り直して花ちゃんが、

「国は1日3リットルで3日分って言ってるけど、コレは支援の最短で考えてる。
 ウチでは最低で2週間分の備蓄だね。
 でも、山間部なんかは何ヶ月も断水する可能性あるから、あるに越したことはないよね」

「でも給水車?って車が来るんじゃない?」
 桜の疑問、もっともです。

「車は道路がないと来れないよね。
 山間部や過疎地は道路のインフラがダメージ受けて、その復旧に何ヶ月もかかる場合があるの。
 そうなると自衛隊の隊員さんが担いで徒歩で持っていったりするんだよね。
 頭がさがるよ〜、現地の人からしたら感謝しかないよね」

「テレビで見たことある。
 崖をロープで登りながら大きなリュック担いでた。
 でも、映画とかでアメリカ軍が飛行機からパラシュートつけた荷物をバーって投下してるじゃない、あれじゃダメなの?」
 みんなが思う疑問です。

「あれは絶対ダメなんだ。
 戦争してるトコ、やだだっ広い土地がある所じゃないと、風に流されて何処に落ちるかわからないし、木に引っかかるかもしれないし、家に当たったりしたら死人が出るよ。
 この前も中東の紛争地域でそれやって大勢の死者が出たってニュースでみたよ」

「こわい、こわい、おお怖い。
 半端な知識でモノ言われないね〜」
 怖さを実感、桜ちゃん、ブルブル震えが止まりません。

「そう、災害時の物流コストは半端ないから、出来るだけ家や地区の集会所なんかに分散して備蓄しておいた方がイイよね。
 車持ってるおウチはそこに入れとくのも一つの」手段だね」
 花ちゃんの解説に一同頷く、先生みたい。

「東京とか大都市はお店多いから、被災してお買い物できるかも知れないけど、絶対停電するから電子マネーは使えないね」

「そんな時には防災ボトルの現金だね」
 防災ボトルを両手でもち、得意顔の桜さん。
「えらい、えらい、ちゃんと持っててお利口さん」
 頭をなでなで喜ぶ桜、犬の様な有り様です。

「それ、なあに?」
 二人でリサリサ先生の疑問に答えます。

「コレは防災ボトルって言って、100均の水筒に被災時必要なものを詰めてます。
 ボトルは平たいもの入れにくいから、防災ポーチを別に持ってます」
 二人はボトルとポーチの中身を机に出し、一つ一つ説明します。
「へーこんなののあるんだ、知らなかった」

「はい、実際役に立つかどうかは置いといて、持ってることで防災に対する意識が向上するってオト、いや父が言ってました」
「いいわね、あたしも100均行ってそろえようっと」
 リサリサ先生は良いものはすぐに取り入れるタイプらしい。

「そうだ、職員会議で発表して他の先生方の防災意識向上に繋げましょう。
 ありがとう二人とも、最初のお手柄ね♡」
 リサリサ先生のウインクに顔が赤くなる二人です。

「備蓄って他には何を揃えたらイイのかしら?」
 疑問を連投、リサリサ先生。

「はい、アルファ米などの災害食や国が啓蒙しているローリングストックなどイロイロ国は推進してますが、父が言うには名前がつくとめんどくさくてヤラない人が多いので、いつも買う好きなものを多めに買うことが大事って行ってました」

「どういう事?」
「お米買うなら、いつでも1ふくろ余分に、ラーメン買うなら1パック余分に、カップラーメン買うなら10個単位って感じで多めに買って食べて回す、です。

 まあ、カップラーメンは私が夜食でバンバン食べるから20個単位に増加かな?」
 リサリサ先生の疑問の返しがまさかの大食いエピソード。

「被災した時は体も心もダメージ受けているから、食べ慣れていて好きなものが一番イイ。
 初めて食べる災害食が美味しく無かったら、ツラいもんね。
 リサリサ先生何が好き?」
 疑問を投げる生徒たち。

「うーん、焼き肉とビールかしら、でも備蓄できないわよね」
「そんな事ないですよ。
 お肉は冷凍しておいて、停電してもクーラー入れたら保冷剤代わりになります。
 東日本大震災の時、停電したから冷凍お肉を持ち寄って連日のバーベキュー大会でみんな肥ったって話聞いたことがあります。

 あと、お酒も備蓄しといた方がイイって父が行ってました。
 当日とかは気が張って眠れなかったりするので、眠る為にお酒は有効だと父が言ってました」

「やっぱり私は正しかったのね。
 ビール2ケース、日本酒6本、いやもっともっと備蓄しなきゃね」
 ガッツポーズの先生に そりゃ多いだろ! って顔する教え子たち。

「あと、最近は大容量のポータブル電源を使えば普段と変わらない生活ができるそうです」
「どういう事?」

「コンセントの出力があるやつなら、IHのポータブルコンロを始め、電気製品使えるし、なにしろ大容量ならエアコンもいける。
 充電はお天気だったらソーラーパネルで数時間でフル充電できるって書いてました」

「へー、最近は進んでるのね。いくら位するのかしら?」
 興味心身リサリサ先生。

「はい、見たのは通販のセールでパネル付きが17万円位でした。
 確かに高いけど、大人なら買えない金額じゃないし、何しろ被災した時に今の生活に限りなく近づけるのは大きいって行ってました」
「そうね、高いわね〜」
 腕を組んで考えているリサリサさん。

「うん、校長に言って被災時の備品で買ってもらいましょう。
 そう、生徒の為よ、子どもの為、私がお燗したいからじゃないのよ」
 欲望ダダ漏れリサリサさん、生徒は少し引いています。

「まあ、お燗は置いといて、ポータブル電源はやっぱり便利」
「そうね〜コンセント付いてないのは不便なのよね〜」
 花ちゃんの電源プレゼンに欲しさMAXのリサリサちゃん。

「あと父が言ってたんですが、家に配電盤ってあるじゃないですか。
 そこにポータブル電源からの出力をグサってさして家中の電気製品使えるようにならないかなって」

「どういうコト?」
 やっと出番の桜ちゃん。

「電気は電線から供給されてるよね。
 停電になれば電線から供給されない、わかる」
 ううんうん頷く桜ちゃん。

「電線からの供給の代わりにポータブル電源から供給して家中の家電を動かすの。
 昼間にソーラで充電したら、無限に電気使えるじゃない。
 夜使えたら暗くないしね」

「おー納得!それイイね。テレビやパソコン使い放題!」
「そんな配電盤あったらイイなって言ってた」
「食べ物もそうだけど、出来るだけ普段の生活が送れることが、ストレスの低減や災害関連死を少なくさせる。
 生き残る事を第一に考えるのが大事」

 三人は腕を組んでウンウン頷いてます。
「今日はイッパイ考えさせられたわ。
 そうよね、いつかわ必ず来るんだし、それに向かって備えるのは必要なことよね」
 知ってか知らずか、リサリサ先生のコトバでまとまります。

 時間も遅くなったので、そろそろ下校の準備をします。
「あっ、忘れてた二人とも!」
 リサリサ先生のコトバに引き戻された二人組。
「今年の秋に防災国体ってイベントが熊本であるらしいの。
 出場は抽選らしいけど、高校生枠で発表とかできないか県と国に問い合わせてるけど、出る?」

「それ、去年オカンが出たやつだ!!
 たしか神奈川県に行ってた!」
 ビックリする二人組。

「去年は関東大震災から100年って事で、マンガで電子書籍作って無料で配ってた。
 今年も申込みはするって言ってた」

「そうなの、縁があるわね。
 申し込む必然ね。
 で、どうする?」
 リサリサ先生の申し出に被りながら、
「出る出る、行きたいです」
 二人の返事は同時です。

「了解、その方向で打ち合わせするわ。
 それじゃあ、発表する内容を決めなきゃね」
 リサリサ先生の先生っぽい諭しです。

「うん、花ちゃん一緒に考えよう。
 よーし忙しくなるぞ」
 両手をまくった桜ちゃん、ガッツポーズの花ちゃんと、微笑み返すリサリサちゃん。

 これから波乱の様子です。
 マンネリですが、帰り道、仁淀川沿い堤防を二人で仲良く帰ります。

「ねえねえ、花ちゃん考えたんだけど」
 桜から、何かしらの提案があるみたい。
「仁淀レポートのタイトル 《あそぼうさい》 ってどうかな?」
「あ・そ・ぼうさい?」

「うん、あそぼうさい、
 防災って、大変な時のことをやるんだけど、
 学生だから、遊び心も持って取り組みたいと思うの。
 どうかな?」

 少し黙って考えて、
「大賛成!、語呂もいいし。
 《あ・そ・ぼ・う・さ・い》 うんイイね。」
 親指立てて、桜にグー。

 これから始まる あそぼうさい。
 どんな研究するのかな?
(シーズン1 完)

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