見出し画像

いろはな防災 ~イニシエ少女の災活~ 第05話

《あらすじ 47文字》
お泊り翌日お二人さん。
昨夜見つけた《ないの神》、二人で一緒に大作戦。
どうゆうコトをするのかな?

・お泊りのイロハ その3

 ワクワク顔のちゃん、いきなりスゴイ提案します。

「花ちゃん《ないの神》私たちで祀らない?」
「えっ、ナニソレ」
 おどろき顔の花ちゃん尻目に桜の話は続きます。

「お婆ちゃんに聞いたんだ、神様って拝む事がパワーになって存在してるって。
 《ないの神》は拝む人が居なくなって力が無くなっていると思うの。
 だがら、ワタシたちダケでも拝んで、少しでも復活してもらって、南海トラフ地震に備えるってストーリーはどう?」

 筋は通ってる、オトンもオカンも信心深いほうだから、桜のお婆ちゃんと同じ事は小さい時から聞いている。

「で、実際にはどうするの?」
 花ちゃんの問に桜は満面の笑みを浮かべながら、

「先ずは、アタシたちだけの御神体ごしんたいを作って拝もうよ」
 花ちゃん、ちょっと考えて、
「イイね、神様を拝む事は良いことだし、2人だけの神様ってところが楽しそう」

「最初はね。
 いずれは皆で拝んで地震に備えられたら嬉しいよね」
 桜のこういった利己的じゃない所が大好き。

「じゃあ、復活決定。で御神体どうするの?」
「鰯の頭も信心からって言うじゃない、木とか拾ってきてそれを祀ろうよ」
 桜の意見に大賛成、なんか原始宗教みたいな展開、考えたこと無かったな〜。

「明日、裏山行って落ちてる自然木を拾ってこない?」
「花ちゃんのアイディア大賛成、今からでも行きたい位だよ」
「今からはダメ、イノシシ出るから、奴らはヤバいよ」
 おどろおどろしい口調で幽霊の手をしながら、言うと桜はケラケラ笑った。

 その後、家族の事や友達のこと、その他イロイロ話しながら、眠りについた。

 次の朝は日の出と共に目が覚めた。
 オトンは既に起き出して、洗濯、ゴハンに大忙し。

 着替えて顔を洗ったら、ゆうべの約束、裏山に。
 自然木、裏山を探して見つけました。

「オトン今いい?」
 洗濯ホシてるオトンに向かい、桜と花ちゃん問いかける。
 ゆうべの話を説明すると、

「ないの神、知ってる、《ない》が地震のことだよね」
「さすがオトン、物知りだね〜」
 花ちゃん、感嘆、続けます。

「神様まつるなら、清潔な所に祭壇作って、お水とお米とお塩をお供えしたらいいよ」

「神棚買ってきたほうが良いのかな〜」
 桜と花ちゃんは顔を見合わせながら、困った表情です。

「お家に神棚があるなら、その横に三方みたいに、少し高い所にまつるでもイイし、無くても同じようにキレイな所に置くのでも全然イイよ。
 拝むことが目的だから、神様に敬意を払ってたら構わない。
 茜ちゃん送って行くから、その時に100均寄って、でそれっぽい物買えばいいじゃん」
 オトンも親指グーポーズ。

「花ちゃんそうしようよ、ないちゃんに似合ったかわいい神棚作ろうよ」
 桜の提案、いい提案。

「ウチは神棚あるけど、桜と一緒のがいい♡」
「はいはい、花ちゃんはあまえですね〜」

 くちびる尖らせた花ちゃん尻目に、
「わかった、一緒に買いに行こう」
 お互い顔を見合わせて、ハイタッチ。
 神様タイムはひとまず終わり。

 朝ごはんは残り豚汁のうどん入り、またまた残りのおむすびに肉味噌塗って、炭火でこんがり。

 残りの時間はダラダラしてます。
 そろそろ桜の帰宅の時間。

「あのね、花ちゃん言おうかどうしようか迷ったけど、言うね。」
 真面目顔の桜が口火を切る、
「改まった顔でどうしたの?」

「この家おばけいるよ」
 突然のコトバに花ちゃん、あんぐり。
「昨夜寝てたら金縛りにあったの」
 恐ろしいコトバが口から飛び出た。

「ふと、目が覚めたら体が重くて動けなかった、
 まるで何かが乗っかってるみたいに」
 真剣な顔で喋る桜の顔をみて大爆笑、涙出る。

「それはおばけじゃ無いよ、よつばだよ。」
 キョトンとした顔の桜に続けます。

「桜は昨日初めて来たじゃない、
 それでお泊りもしてるから、よつば的にはお客じゃなくて下僕認定になってる。
 だから、上にのってそれを確かめてるんじゃないのかな。私達もいつも乗られてるよ」
 先のキョトン顔で固まってる桜に報告。

「じゃあ、おばけじゃなくて、よつば様なの?」
「そうそう、ウチは4人家族だから、桜は下僕5号だね」
 桜の発想面白い、さすがにおばけは居ないって。

「そうか、下僕5号か♡」
 上を向きながら、ふとんの上に乗っかっているよつばを想像しているらしい。
「花ちゃん、よつば様に下僕認定れたからには、立派な下僕になれるように高校生活頑張るよ!」

 的外れな宣言をした桜を見るとおかしくてしょうがない。
「でも、ウチの家族は金縛りあったこと無いけど、桜のは本当はおばけだったりして〜」
 さっと顔色の変わる桜を見て、本当におばけ怖いんだな〜

「うそうそ、本当によつばだよ、見たし」
 それを聞いてほっとした桜は頬をぷっと膨らして、
「花ちゃんいじわる、プンプン!」
 まずい、言い過ぎた。

 その時、リンリンと鈴の音が二階に向かって近づいてきた。
「あっ、よつば様が来た」
 階段を登ってきたよつばが桜に「ニャー」
 機嫌が治った桜ちゃん、残りの時間は
 よつばといっしょにバトります。

 そろそろ桜の帰宅時間。
 約束どおり100均いって、神様グッズを買い込みます。
 お家に送ってさようなら。

 嵐のような一泊でした。
 とたんに静かでさみしいな。

 そんな事を考えていた楓子のスマホがピロリロリン。
 桜からのライソです。
「花ちゃん今日はありがとう、とっても楽しかった♡」
「ないちゃん祀ってみた」
 添付ファイルの画像には玄関らしき所に祀られた《ないの神》、イロイロお供えされてます。

「じゃあ、あした学校で、よつば様愛してござります!!」
 その文面を見てクスッとした。
 変な日本語だけど、いい娘だな〜
 そのライソを見ながら、幸せな気持ちで眠りにつきます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?