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いろはな防災 ~イニシエ少女の災活~ 第04話
《あらすじ 42文字》
いよいよ、お昼ゴハンの調理を開始。
どんなゴハンか楽しみです。
お腹いっぱい食べたいな♡
・お泊りのイロハ その2
「今日の防災クッキングは宮花楓子先生のお宅からお送りします。
今日のレシピは春キャベツの豚バラカレー!
聞いただけで美味しそう!
アシスタントはなんと!元《くノ一》コト、
小桜茜でお送りしちゃいます」
アナウンサーの様な口調で一気に喋りきると、
「では、先生 お料理の説明をお願いします」
振られた、マジで、いきなり!!
これは付き合うしかないな。
「えーと、花ちゃん先生です。
まずは、豚バラブロック肉を一口大に切ります。
熱が入ると縮むので少し大きめにね♡」
そう言いながら桜にウインク。
桜もウインク返します♡
「切ったお肉をお水から茹でます。
水から茹でるとお肉が固くなるのが遅くなり、アクや余分な油が出やすいです」
ふー、ぱちぱち
桜の合いの手、ノリノリ花ちゃん。
「お肉のお風呂が終わったら、茹でた豚バラのお湯を切って、熱して油を引いたダッチオーブンでこんがりと」
「それで それで、」
桜の合いの手、気持ちがUP。
「お肉がこんがりしてきたら、貰ったキャベツのザク切りとトマトの缶詰、コンソメ一つをお鍋にドサッと入れちゃいます」
「グーですね、花ちゃん先生 美味しそう」
「鉄の重い蓋をして、とろ火にしたらほっときます。」
そう言い終わるとお互い顔を見合わせて、真顔のままでハイタッチ!
「桜さんナニコレ?」
笑って涙目の花ちゃんは桜さんへのご質問。
「えー、初めての花ちゃん家だから、テンション上がっちゃった」
楽しそうな桜の顔見て、心は幸せ。
火の番しながらいろいろ話して、小一時間。
お鍋の蓋を開けますと、キャベツがとろとろ いい感じ。
「では、アシスタントの桜さん、味見係をお願いします」
それを言われた桜さん、お玉ですくって、フーフー、パクリ。
「先生、お肉がとろとろです。
でも、味が少し薄いです」
お味見のはずが口いっぱい!モゴモゴしながら返事します。
「桜ちゃん、カレールーを入れるから薄い位がちょうどイイの。
あと、味見なのに食べ過ぎ!!」
指でチョメして、その後に親指立ててバッチグー。
「ここからは仕上げなので、先生登場!」
神妙な顔で粉末カーレールーを入れながらお玉で混ぜ混ぜ。
数度味見をしたあとに
「花ちゃん流豚バラカレー完成。押忍」
腰に手をやり空手のポーズ。
みんなお顔がニッコニコ。
そんなこんなでお昼の準備。
炊けたゴハンを金属のお皿に山盛り、爆盛です。
カレーもたっぷりかけまして、
横には日高村のあま~いトマトを付け合せ、それでは皆さん頂きまーす。
「キャベツのカレー食べるの初めて」
「ウチのカレーは残り物消費レシピだから、いろんなものを一緒に煮込むよ。
残りおでんのカレーが一番おいしい!」
意外な答えに桜は唖然。
「ちくわやこんにゃくも入ってるでしょ?」
「何いってんの、それが美味しいんだよ。
うちのおでんは牛すじ煮込みが入ってるから、 お肉のだしと魚のだしと とろとろ大根のトリプルスープ、具材は冷蔵庫にある残り物をなんでもかんでもダイブだね」
「すごいね。オトン、よっ料理長!」
桜の賛辞にオトン照れてる、っていつの間にオトン呼び、スルッと入れる所が陽キャぽい。
そんな会話をしていたら、擁壁の上からよつばがジャンプ。
「おかえり、よつば、パトロールは済んだ?」
足元でゴロゴロしているよつばに問いかけると同時に、桜の質問、機先を制す。
「よつばは毎日裏山パトロールするんだ、寒いとすぐ帰ってくるけど、暑いときは天然クーラー効いた所でお昼寝してる。
よつばも何か食べる?」
「あっ待って!」
桜ちゃんは上着の内側から何か取り出す。
「ジャージャーん、チュ◯ルだよ、よつばちゃん」
見た瞬間、桜の足元でちょーゴロゴロが始まった。
「昨日、近くのコンビニで買っといたの。
あと9本残ってるから、9回甘えに来てね」
コマンドー並の補給力、よつばをしっかり手なづけます。
世界中のネコはチュールは見ただけで分かるって聞いたコトあるな〜。
そうこうしてたら お腹イッパイ、ごちそうさま。
ゴハンの片付けすんだら、お庭でまったり、締め切り済んだオカンは少し離れた所でカレー&ビール、至福の顔して食べてます。
「ねえねえ、オトン、楓子ちゃんと学校で防災の自由研究始めるんだけど、防災の知識ってテレビとかで聞いたこと位しか無いの。
どんな事を調べたらいいかなー」
火の番をしていたオトンへの問いかけ。
「うーん、防災に関わっていると、何を準備したら良いか、備蓄はどの位したら良いかってよく聞かれるし、出来るだけ答えは返しているけど、最初に考えてほしい事があるんだけど解る?」
桜は少しうーんって顔をしたあと、解らないと答えた。
「災害から生き延びた後することは、ゴハンを食べて、トイレ行って、服を着替えて、眠ることだよね。
つまり、普段の生活とすることは同じなんだね。
ただ違うのは、限りなく不便になることなんだね。
電気も無い、水道もない、普段意識しないで使っているインフラ設備が全く使えなくなった中で、どうやって生活をしていくかを考えなくちゃいけないだよ。」
桜はオトンの言葉にウンウンと相槌打ちながら聞き入っている。
「茜ちゃんは生まれたときからトイレは水洗でウオシュレットでしょ?
そうじゃないトイレって考えられないよね?」
「うん、外出してもそうじゃないトイレは使った事無い」
その言葉にオトンは頷きながら、
「そう今は僕もそうだよ、ウォシュレットは世紀の発明だと思うけど、使えなくなった時のQOL《クオリティ オブ ライフ》は凄く下がるよね」
「だから、楓子には不便を体験させてる。
でもイヤイヤだと身につかないから、キャンプしてゴハンも自分で作ったり、ボットントイレも体験させてる。
今の生活が便利度100だとしたら、50位の生活を体験していたら便利度ギャップは半分位になるから気持ちも楽だよね」
「そっか、防災って グッズや備蓄の前に気持ちの持ちようなんだね」
その言葉を聞いて、オトンは感嘆の表情をした。
「よく、これだけの説明でその言葉が出てくるね、感心したよ」
「そう、1を聞いて10を知る民族なんだ」
今まで膝の上のよつばを撫でていた花ちゃんが口を開いた。
「防災って特別な事柄じゃなくて、生活に対する別のアプローチの方法だと思うから、100人いたら100通りの考えがあって良いと思う、だから君たち二人も話し合って考えたらいいと思うよ。
楓子には一通りの不便を仕込んでいるし、なにかあったらいつでも力にはなるよ」
その言葉を聞いた花ちゃんは無言でVサイン。
よつばはお膝の上でお大アクビ。
それを合図に宴も終了。
お片付けしてたら、もう夕方。
お昼イッパイ食べたから、残ったゴハンでおむすび握って、新たに豚汁作ります。
桜と花ちゃん、一緒にお風呂で大はしゃぎ。
まるで姉妹、楽しそう。
ゴハンが済んだら二階に上がり、2つ敷いたお布団でゴロゴロしながら、お喋り三昧。
「ねえねえ花ちゃん、思うんだけど、防災の神様っていないのかな?
コロナの時、《あまびえ》って妖怪が流行ったじゃない。
日本には神様イッパイいるし、地震も昔から起きてるから、それの神様いてもおかしくないじゃない?」
そんな質問にビックリ!考えたこと無かったな〜。
「良い着眼点、調べて見よう。」
そう言って、タブレットで検索開始。
タブレットを二人で覗きながら調べてみると、いたいた神様!大発見。
「えーと、スサノオノミコトだね。
古事記によると持っている琴を鳴らしたら、大地震が起きたって書いてある。
あと、その琴を盗んだオオナムチがスサノオの娘と駆け落ちしたけど捕まって、スサノオが許し、琴を渡して地上で王となれって言って、地上に降りたのがオオクニヌシだって。」
「スゴ〜イ!私でも名前知ってる」
花ちゃん、さらに読み進め、
「地震起こす神様だから、みんなで崇めて地震を起こさないように してもらおうって事みたい」
「他にはいないの?」
「えっと、あと《ないの神》って神様がいる。
推古天皇の時代にM9の推古地震って呼ばれてる地震があって、その後全国に祀れって言われて祀ったらしいけど、現在では残ってないみたいだね。」
「推古天皇知ってる、聖徳太子のお母さんだ!」
「正確には《おばさん》で次の天皇陛下に指名したんだよ」
桜の間違いを優しく訂正。
「でも《聖徳天皇》っていないような…」
「推古天皇長生きで、先に聖徳太子が死んじゃったからじゃない」
「ふーん で《ないの神》って、なんで残ってないのかな?」
「う〜ん、神格が名前のある神様より下だし、合併とかイロイロで無くなったみたい。」
「えー、神様なのにカワイソウ」
桜は少し残念そうな顔をしながら、ピコーンと閃いた表情をした。
ワクワクが止まらないって顔だ。
まだまだ夜も宵の口、乙女二人のお話はこれからまだまだ続きます。
続く…
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