いろはな防災 ~イニシエ少女の災活~ 第08話
《あらすじ 44文字》
桜の提案にチョー協力する花ちゃんさん。
お出かけ予定を立てまする。
みんなで買い物楽しいな。
・防災ボトルのイロハ
夜もふけて、子供はそろそろ寝る時間。
「ピロリロリンン」 桜のスマホが鳴った。
ライソの着信、 誰からだろう?
眠い目をこすりながら画面を見てみると。
花ちゃんからの着信です。
「桜ちゃん、起きてる?」
気を使った書き方、《ちゃん》が付いてる。
起きてるよ!と返信する。
「帰り道に言ってた防災グッズの件だけど、
オトンとオカンも100均行きたいから、
ウチの車で一緒に行こうって言ってるけど
どう?」
自転車民の桜には渡りに船。
「ありがとうございます、行きたいです……車で……」
「よかった、一緒に行けるの楽しみ♡」
花ちゃんの返信内容にキュンとする。
「で、グッズの中身だけど、防災ボトルってのが流行ってて、100均の透明水筒に防災グッズを入れて持ち歩くってヤツ。
警視庁の防災課が公式ヘックスに乗せてるから送るね」
桜のスマホにリンクが送られて来た。
見てみると一例として色んなグッズが理由を書かれて詰め込まれていた。
「これは一例だから何を入れるかは自由。
あと、私も防災ボトル持ってないから、一緒に考えて作りたいな♡」
花ちゃんの書き込みにキュンキュンしちゃう。
喋ってる人とは別人みたい。
「ありがとう、考えてみるね。花ちゃん大好き ちゅ♡」
画面の向こうで花ちゃんもキュン。
二人はホワホワな暖かい気持ちで眠りにつきました。
あっと言う間に、100均出陣の当日です。
開くのは9時半なのですが、一番乗りを画策し、少し前に到着します。
桜と花ちゃん、オトンとオカン、100均カルテットの完成です。
「そうそう、これオトンから」
差し出したのはジップジップに入ったマスクセット。
「今日のこと言ったら、アタシと一緒のセットをポーチ風で作ってくれたの
平たい物はボトルに入れづらいから、それを集めて作ってる。
中身はマスク、簡易トイレ、洗浄綿、カットバン、ゴムの手袋。
マスクはN95、手袋はニトリルゴム製で丈夫らしい」
「N95、聞いたことある!コロナの時に病院の人が無い無い言ってたのだよね」
「そうだね、アメリカの政府機関が認証した作りになっていて、防塵、防ウイルスに優れたマスク、息が苦しいのが玉に瑕だけどね。
だから、今日はそれ以外を揃えよう」
みんなの笑顔に桜もお返し。
「オトンありがとう、大事に使うね。」
…使わないのが一番だけどね。
ガラガラ、お店のシャッターが空き始めると桜は隙間から潜りこもうとします。
「だめだよ桜、シャッターが上がりきってからじゃないと危ない!
警備員さんにも怒られるよ(怒!)」
桜はちょっとシュンとして、
「ごめんなさい、一番のりは初めてだから、気がはやっちゃった。」
「いいよ、私も幼稚園の時、同じことやってメッチャ怒られたから」
桜の愚行を優しくなだめる。
そうこうしている間にシャッターが上がり、入店OK。
「慌てないでゆっくり行こうね」
その声に機嫌が治った桜は、
「うん、一緒に行こう」
そう言って、花ちゃんの手を取りお店の中へ。
ボトルは中に入れるもの買ってから大きさ決めよう」
「うん、昨日送ってくれたのを印刷してきたよ。その中から決めよう」
二人は売り場でレッツゴー!
「これで全部かな〜買い忘れたらどうしよう」
焦り顔の桜に向かって、
「忘れたら、次行った時に買えばいいし、入れるものも変わって来るから大丈夫」
花ちゃんのコトバに一安心。
買った物は「ホイッスル、アルミシート、カッターナイフ、ライト」
「案外少ないな〜」
「平たい物はオトンポーチに入ってるからね」
「ライトは300円だけど、タイプÇで充電できるコレ便利。
ボトルには入らないけど、カラビナが付いてるからカバンにつけとけばいいよ。
オトンは家のライト全部コレに変えという目的に飢えてるよ、がおー 」
自分のカバンにつけているライトを見せた。
「あっ忘れてた、歯ブラシ、これ必須!」
忘れ物に花ちゃん大慌て。
「歯ブラシ?警視庁のには書いてなかったよ」
桜のギモン、当然です。
「地震とかだけじゃなく、台風とかで帰宅難民になった場合、学校で一晩過ごす可能性があるよね。
寝る前に口がネチャネチャだったら、気持ち悪くて寝れないじゃない。
そんな時のために持っておくの」
「たしかに、歯磨きしないと気持ち悪くて寝れないよね。」
ウンウン、桜は大納得。
「あと、耳かきもね。
寝てるとき急、急に耳の中痒くなる事あるから、1本入れとこ!」
「あるある、わたし枕元に置いてる」
「次はボトルだね。」
ボトル売り場に移動します。
「うわー色んな大きさある〜ピンクかわいい〜」
色に釣られてテンション上がる。
「中が見えるように透明がいいよ。
この内容だったら、350ミリリットルのボトルでいいと思う。」
「あたしはこのピンクのにする〜」
桜が手に取ったのはピンクの蓋で透明な本体にお花の柄が入ったボトル。
「じゃあ、あたしは同じ柄で青いやつ。COOLだね」
「あたしと色違い。ふふふ」
顔を見合わせ笑ってる。
「でもボトル短くて歯ブラシ入らないかも」
「じゃあ、子供用のにすればイイよ、短いし。
折ってもイイけど、端がガジガジになるから嫌なんだよね〜」
花ちゃん、思ったよりも几帳面。
「あとはね…モバイルバッテリー。
防災ボトルに入るサイズがあればベストだね」
「う〜ん、大きいのばかりでこれに入るサイズの持ってないよ〜 花ちゃん助けて〜」
「そう言うと思った。
ウチに細いの2本あるから1本あげる。
オトンにも許可もらってるから大丈夫だよ」
「ありがとうございますだ〜お代官様〜」
土下座の勢い、花ちゃん止める。
「それと、このライト」
「これライト?」
桜ちゃんはハテナ顔。
「モバイルバッテリーに付けるとライトになるの。
オフれないけどモバイルバッテリーがあればライト要らない。
防災ボトルに入るならコレもね」
そこにはUSBのオス端子の先に小さい電球がついたもの。
「これに自分のスマホのケーブル持ってれば一石二鳥だよ。
防災ボトルの隙間にでも入れときゃイイよ」
今どきのガジェット少女には必須の商品。
「おー花ちゃんは色々知ってるね~」
そうこうしながら、防災ボトル完成です。
「結構隙間できそうだな〜」
「縦長のお菓子やアメを詰めてパンパンにすればいいよ」
花ちゃんの提案に一同大賛成。
入り切らない量のお菓子を買います。
残ったお菓子は、今夜二人のお腹に保管です。
会計して用事は終わり。
「防災ボトルって、作ったら終わりじゃ無くて、日々イイものあったら更新していくのが大事。
いつも防災のこと考えていなくちゃね」
「終わりじゃ無くて、始まりってコトだね」
桜ちゃんは物事を察するのが早いです。
さてさて、オトンとオカンもイロイロ買い込みます。
「あっ、オトン小さいチキチキラーメン大量に買ってる。」
目ざとい桜は見つけます。
「ゴハンの時のもう一品にいい感じなんだよ。
まあ、食べるのはあたしなんだけどね。」
大食い女子の花ちゃんです。
「お昼作るの面倒だから、下でお弁当買って、どっか行って食べようか?」
素敵なオトンの提案に両手をあげて賛成します。
オカンはビールも懇願です。
「買え買え、ビールも飲み物をついでにお菓子も買っちまえ。」
オトンの決断聞いて、出陣じゃ〜
お弁当、お菓子に飲み物にオカンはビールにホクホクです。
買い物すんだら、仁淀川沿いの桜が残っている公園に移動します。
ちょっとしたピクニック気分でお弁当、お菓子を平らげます。
オカンはビールでほろよい気分。
・・・・
楽しい一日が終わって、そろそろ寝る時間。
「ピロリロリン」
花ちゃんのライソが鳴りました。
「桜からだ、なにかな〜」
スマホを開くと、
「今日はありがとう、防災ボトル作ったよ」
添付された写真には中身の入ったボトルと一緒に入れられた、花ちゃん、桜とよつばの写真。
「そ、その写真どうしたの?」
「この前、花ちゃん家に泊まった時三人で撮ったじゃない」
そういえば外で撮ったな〜
「もう一枚印刷してるけど、花ちゃんいる?」
「ほしいい〜」
慌て気味の花ちゃんは誤字上等。
ふと我に返って桜にポチポチ。
「裏側、空白だよね。
それならそこに自分の名前、生年月日、血液型を書いといて」
桜ちゃんから《なんで?》 と返信。
「名前と生年月日で個人確認できるし、意識がない時に輸血が必要になる場合もあるから、無いよりかはあったほうがいい。
あと、常用してる薬があるなら、その薬の商品名と自分の症状も書いといて」
「そこまで書くの?」
「うん、災害時には医療資源が圧迫されるから、相手に与える情報は多い方がいい。
輸血したら助かるのに、血液型がわからなくて死んじゃうのはイヤだよね」
「そりゃそうだね、うん書いとく」
「両親の携帯とかも書いといたらイイかもね」
「分かった、全部書いとく、命の恩人だよ〜
花ちゃんは〜」
そう言われるとチョット嬉しい。
「あと、現金も入れといて、できれば小銭がいいよ。
被災した時、お店が停電してると電子マネー使えないから、現金ないと何にも買えないからね」
本日最後のアドバイス、もっとも 且つ重要なな意見。
長々ラリーを済ませたら、今度はほんとに就寝します。
明日も楽しい一日を。おやすみなさい。
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