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はじめまして

と言っても誰も知らないと思うので、少し自己紹介いたします。

ぼくはヤマモトユタカという1991年にEDITION DE LUXEというバンドでデビ

ューしたvocalistそしてguitar、作詞、作曲をやっています。

その後、バンドは解散。

数年後、六本木でライブをやっていたら、お客さんの中に名前は忘れてしま

ったのですが、映画監督という人が現れ「君の詩、なんか人の心にこうなん

というか」つまり何を言っているのかわからないのですが感動した、ついて

は映画の脚本書く気ない?などと言い、ぼくの心をまどわせ、数日後、あれ

はどこだったか、とある喫茶店で脚本の打ち合わせをしていたのです。


やがて小説も読んだことのない人間が初めて筆をもち、その度睡魔に襲わ

れ、そのまま従い、なんとかやはりどこだったか忘れてしまったのですが、

とある喫茶店で出来上がった脚本と呼べるしろものではないけど、持ち参じ

たのです。

彼は、ぼくの生まれて初めての物語りを体よくけなしました。

もともと反骨精神りゅうりゅうのぼくが素直に受け止められるはずもなく、

直ちにその場を立ちさろうとしたその時、「今やってる映画のプロデューサ

ーに会わせようか」と強欲星人のぼくの属性を知ってかしらでか、そんなこ

とを言うのです。もちろんぼくは初めてこの店に来たような顔をして、すっ

かり冷めているコーヒーをずるずる音をたて(ぼくの癖です)飲み干しまし

た。そうしているうちにも次の作品を書いてくれないかと、気遣ったのか、

そんな言葉で目の前の子羊にご機嫌伺うのです。


一作目もそうだったのですが、次の作品も数日で出来上がりました。

元来せっかちにできているぼくは見直すという行為も知らず(当時はそん

なこと、思いもしなかったのです)出来上がった次の日、やはりどこだか忘

れてしまったのですが、とある喫茶店に第2作目を持ち参じたのです。

彼は驚き、メガネを上げたり下げたりそれはそれは感心しきりです。その作

品はその後小説にしたのですが、「必要なもの」というEDTION DE LUXEと

いうバンドでデビューしたアルバムと同じタイトルです。いつか公開しま

す。


「これ、いいよ。これだったら今やってる予算そっちに回してもいいくらい

だよ!」それほどに名前も忘れてしまったその人は感動しきりです。

そんな言葉を耳にして素人のぼくが浮かれないはずがなく、すっかりぼくは

映画人!とほくそ笑みながら毎日をやり過ごしました。

が、そんな至福の時が長続きするはずもなく、そうです、数日後、映

画監督と称するその人は申し訳ないけど、というテンションで電話をかけて

き、その後、予想通り、この話は無かったことにしてもらえないか、よほど

お叱りを受けたのか、何十歳も老けたような声色でそういうのです。

たぶんぼくはその時一言も発していなかったと思います。なにせその人は徹

頭徹尾落ち着きがなく、できるものならすぐにでも電話を切り、不合法の液

体を口にしたい(というのも、初めて会った時から彼は何やら怪しいボトル

を握って離さないのです)という風なので、元来誰にも勝るとも劣らない気

を使うタイプと自負するぼくは、彼の意を汲み、その通りにしたのです。


せっかく書いた脚本とにらめっこしたのが数日。ぼくは、ドラマのようなこ

の出会いを神様から頂いたと信じ、小説という形にまとめました。

これが、嘘のような話ですが、本当に小説と出会ったきっかけです。


話は一旦ここまで。続きは後日にします。たぶん。


ヤマモトユタカ



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