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「1991年の米米CLUB」への助走

※本稿は別の場所に書いた文章を移設したものです。そのため、語尾が普段の「です」「ます」ではなく、「だ」「である」になっています。
※本稿は『米米CLUB』に関する『COLUMN(コラム)』、すなわち、『米米COLUMN』(米米コラム)に分類されます。

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私は、2024年5月19日に、下図のような表紙を有す小さな冊子(小冊子)をリリースした。


本書、『ひとりの研究者の軌跡を辿って2010年の夏から2024年の春までの消費と流通を振り返る』は、2010年の夏から2024年の春にかけて発表した論文やコラム等で扱ったテーマ、メディアから取材を受けて解説した出来事などを振り返るというものである。本書を読むことで、「そんな時代もあったね」と 、消費と流通の移り変わりを体感できるはずであるが、そうは言っても、あくまでも私という一人の研究者が語ってきた事柄しか登場しない。いわば、「消費と流通の私的15年史」といったところである。

そんな性質を有す本書であるが、本編の他に、122もの脚注が付いている。そこでは、本編で扱うには手に余るようなことを、存分に取り上げ、話を膨らませ、遠くに飛ばしたりもしている。本編には1度も登場しない語、「米米CLUB」は、脚注で12回も言及されている(私が言及した。12か所の他、CLUBが付かない「米米」も2回登場している)。

中でも、以下の箇所では、これまであまり語られることのなかった——といっても、知名度も実力もあるグループであり、1991年の時点で「お茶の間」にも知れ渡る存在になっていたから、語られて「は」いるのだが——「1991年の米米CLUB」について、大いに語っている。

B2BはBHB、B2CはK2Cに見間違えやすくもある。BHBは「Big Horns Bee」の略で、日本を代表するホーンセクション・グループ。米米CLUBのライヴやレコーディングには欠かせない存在であり、単独公演も行っている。K2Cは上述の通り、米米CLUBの略称である。
と同時に、彼らが34年前(と書いて、ん?24年前の間違いでは?と思ったが、34年前が正しい)の1991年1月25日にリリースした6枚目のアルバムのタイトルでもある。ある意味では自身の名を冠した作品、いわゆるセルフタイトル・アルバムとも言えるが、真のセルフタイトル・アルバムは、3か月後の同年4月25日にリリースされた『米米CLUB』である。2作品合わせて聴くと、米米CLUBの二面性、多面性、多様性を味わうことができる(共に初回限定盤には8cm CDが付録としてついてきた)。『K2C』の収録曲(12cm盤の12曲+8cm盤の3曲=15曲)と『米米CLUB』の収録曲(12cm盤の15曲+8cm盤の4曲=19曲)、合計34曲は、どれも素晴らしいものばかりであるが、シングル曲は1つもない(『K2C』には、過去にシングルとしてリリースされた「I・CAN・BE」、「KOME KOME WAR」、「Paradise」、「Sûre Danse(シュールダンス)」をセルフ・リメイクしたヴァージョンが収録されてはいる)。
「浪漫飛行」(シングルのリリースは1990年)と「君がいるだけで」(1992年)に挟まれた1991年に、たった3か月のインターヴァルを空けただけでリリースされた米米CLUBの2枚のアルバム計34曲は、2曲の大ヒット・シングルでは到底語りきれぬ米米の魅力を体感するのに相応しい。
が、34曲も聴くのは大変だ、「おれっち(500)」は、タイ・パを重んじる者ぞ!と言い張る人もあろう。そのような向きには、やはり1991年9月21日にリリースされた3曲入りのシングル「ひとすじになれない/愛ズレー・恋ズレー/Heart of Love」をお勧めしたい。いずれの曲もオリジナル・アルバムには収録されていない。もし、余裕があれば、1991年にリリースされた2枚のアルバム(付録の8cm CD2枚も含む)と3曲入りシングル、計37曲を(以下略)。いずれ、「1991年の米米CLUB」という文章を発表しなくてはならない。

出所:鈴木雄高、ひとりの研究者の軌跡を辿って2010年の夏から2024年の春までの消費と流通を振り返る、2024、p.43-44.

いかにも中途半端な文章だ。しかも、「(以下略)」とまで書いている。私は、筆者に「1991年の米米CLUB」と題した文章を書いてもらいたいと思う。いいだろう?ミスター・マイセルフ。

そして、本稿は、シリーズ『米米コラム』(米米CLUBに関するCOLUMN、米米COLUMN)の記念すべき第一投稿でもある。シリーズが継続するかどうかは、私にかかっている。期待してほしいし、待っていてほしい。キリンくらい首を長くして、ずっと。

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追記(2024年5月22日)
引用箇所に34年前とあるが、間違い。33年前が正しい。

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執筆日:2024年5月21日
初出日:2024年5月21日
更新日:2024年5月22日、6月30日
修正および当サイトでの公開:2024年7月17日

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