見出し画像

米国、中国、韓国のIoTに対する投資意欲、コロナ後の状況 (7月末時点)

Q3も半ばに差し掛かり、今後様々な統計や数字が出てくると思いますが、現段階での個人的な所感を実体験からシェアします。少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。


米国: IoTに対する投資は日本より許容され、且つ現場に導入されるケースが多い(PoCやって終わり的なことは少ない)。そして決断が早い。たとえばプロジェクトのリターン(ROI)がそこまで明確でなくても、企業の未来を見据えたときに必要な要素技術であれば、数億円の予算をつけてプロジェクトを進めながら適宜ピボットをさせ、ROIの落とし所を見つけて行く。 ただ一般企業(製造業等)やパートナー企業において、ITリテラシーが高いましてやデータサイエンティスト的な人材が枯渇しており、IT技術を現場で活用するという点でのギャップが目立つ。またCOVIDによって予算がフリーズしたり、プロジェクトがしぼんだりというケースが出てきている。この数ヶ月様子見な状況が7〜8割。ただ全く動いていないというわけではなく、With コロナ的に必要なところへは投資が向きはじめているので、今まで投資が向かなかったところ(後回しにされていたところ)に新たな機会が創出されるケースが今後多数出てくる。近視眼的な決断はしていないところが多い印象。

中国: IoTに対する投資は一番盛ん。決断も米国より早い。推進力とスピードが他の国とくらべて格段に違うなと改めて感じる。そして製造業関連のような一般企業でも、データサイエンティストやITリテラシーがある人がいるケースがあり(最低でもパートナー企業がしっかりその辺を押さえている)、データ活用が行いやすい素地が出来つつある気がする。ただし現在中国の案件はすべて内需案件で、中国国内でのみ有効なIoTソリューションとなっているケースがほとんど(データ保護・プライバシーなんかの観点が緩く他国では問題になる、そもそもコロナで中国の外側へ持ち出せないなど)。まあ国内市場が大きいのでそれでもペイ出来てしまう。ただやはりこのマーケットは参入障壁が高いのとすぐにパクられるので、 信頼できるパートナー企業 が中国国内にいることがマストの条件。あと米中摩擦の観点から、アメリカ企業が中国で活動しにくくなっているので、現地の多国籍企業に間に入ってもらって進めるようなやり方が、今はベストな選択と考える。

韓国: IoTに対する投資はConsumer向けのものを中心に進んでいるが、BtoB的なものはそこまでという印象。ただ半導体関連でのIoTの活用は、様々な取り組みが進んでいる。逆にそれ以外の製造業ではあまり活用が進んでいない。現場の意見が尊重されるカルチャーの分、日本より決断が早くより内容が実践的だが予算は渋目。これは韓国経済が停滞しているマクロな現状と多少なりともリンクしているが、もともと渋いので今後も変わることはない。またIoTは半導体関連案件が多いせいで、案件の進め方が非常に難しい。ほぼ間違いなくデータを一切構外へもちだせないため、 データサイエンティストも含めかならずオンサイトしなければならない。通常であれば100歩譲ってなんとか出張ベースでも対応可能だが、このコロナの状況下においては、現地にローカルのパートナーや社員が物理的に居ることが必須条件となる。ただ半導体関連で横展できるIoTソリューションが立てつけられれば、大きなビジネスに化ける可能性も十分ある(現在の日本ではこの手の横展できるような案件が、国内産業の衰退とともに減った印象)。またSamsungやLGなどには優秀なデータサイエンティストがいるのも、IoTを進める上で重要なポイント。やはりデータの利活用が現場でできることがIoT成功への鍵。


これはあくまでも私の所感なので、ぜひ様々なご意見や情報等あったら教えて下さい。今後も日々どんどん変わっていくと思うので、また折を見てUpdateします。


Markets are forward-looking and economic indicators are backward-looking.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?