見出し画像

投資ラウンドの特徴と生存率

よくスタートアップ関連のニュースで、
”シリーズ x の投資ラウンドを〜”
的な記事を目にするが、今回はそのスタートアップの投資ラウンドの話について。

FogHornを立ち上げてから今までにシードを含む4度の投資ラウンドを行って、合計 $72Mほどレイズした(出資を受けた)。

スタートアップの投資ラウンドは、以下のように進んでいく。

シード

シリーズ A

シリーズ B

シリーズ C ... D, E etc.

ここで重要なのは投資ラウンドを重ねていくことが、必ずしもいいこととは限らないこと。不必要なお金は正直いらない。不要な投資は受けるべきではない。事業的に本当に必要な分だけ出資をもらうのが正解。

なぜか?

理由はシンプルに2つ。1つは株が薄まる(dilution)から。そしてもう1つは、経営に口をはさむ人が増えるから。

以下にざっくりと、各シリーズごとに受ける出資の幅と企業の生存確率をしめしたものをグラフ化した。(あくまでも目安です。受ける出資の額は、ソフトウェアの会社、ハードウェアの会社でぜんぜん違うし、事業分野によってもぜんぜん変わってくる(バイオ系ベンチャーは桁が違う)から一概に言えないけど、これはソフトウェア系のスタートアップをイメージしてます。)

画像1


* 生存率に関してはCB Insightsを参照
https://www.cbinsights.com/research/venture-capital-funnel-2/

これを見たらわかるように起業してからSeries Aを受けるまで、大体の生存確率は40%ぐらいと言われている。ということは、100社スタートアップがあったら、60社はこの時点で終わってしまう。

その後B、Cと進む度に生存率が下がっていて、だいたい起業してから5年後の生存率はひと桁台となってしまう。

では、それぞれのシリーズを受けたときに、会社的にどういう状況だったかを参考までに以下に。

シード: 会社をたちあげたときに$2MをVCが出資。メンバー5人。
シードの可否でみられるのは、メンバーが最重要。このメンバーだったら、行き詰まったときにピボット出来るか否かを見る。あとα版でもいいから製品っぽいものがあり、どのぐらいのマーケット(TAM: Target Addressable Market)を狙っているか?も。

シリーズ A: 会社を立ち上げたあと1年半後ぐらいに $15M をレイズ。今回は主にCVCから出資を受ける。(GE, Bosch, Dell/EMC, 横河電機)メンバーはだいたい15人ぐらいになっていた。
シリーズ Aで主に見られる点は、リリースした製品の骨子と、戦略的パートナー(もしくは顧客)の有無。パテントの有無。

シリーズ B: シリーズ Aから2年後ぐらいに $30M をレイズ。今回も主にCVCから出資を受ける。(Saudi Aramco, Intel, Honeywell+シリーズ Aの投資家)メンバーはだいたい40人ぐらいになっていた。
シリーズ Bで主に見られる点は、シリーズ Aからどのぐらいパートナー/顧客が増えていて売上げがどのぐらいあるか、また製品の完成度と今後のロードマップ。追加パテントの有無。

シリーズ C: シリーズ Bから1年半後ぐらいに $25M をレイズ。今回はLS Corpと今までの投資家から出資を受ける。メンバーはだいたい70人ぐらいになっていた。
シリーズ Cで主に見られる点は、純粋に売上げと、TCV* がどのぐらいあるか、またBで掲げたロードマップをどのぐらい実際に実装できているか、それと今後のロードマップ。

この資本構成をみると、うちの会社の戦略転換点も見えてくる。
これに関しては前々回書いた、”ピボットの重要性”の回を参考にしてください。

そしてシリーズ C以降は純粋に売上げとTCVによって会社価値が決まってくる。

ますますプレッシャーが半端なくなる。(←イマココ)

頑張りまーす :)


“Ideas are a commodity. Execution of them is not.”
–Michael Dell, Dell Chairman and CEO

* TCVに関しては、今度ARR等と比較して書きたいと思います


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?