シリーズ 水文学・地学(サイエンスイラスト) 2021.10追加

画像1 私の専攻である水文学の教科書の表紙候補になったイラストです。 水文学で取り扱われる水の流動と貯留、つまり降水、蒸発、蒸散、地表流、土壌浸透、地下水流動などを、山地→都市を含む平野→海でどのように起こっているのか可視化しました。それらの現象を虫眼鏡で見るように細かく観察するのが学術研究なので、虫眼鏡と解析によく使う図が見えるようにしました。本は売れてナンボなので、少しポップな感じにしました。 投票での敗因は出版社の装丁のセンスの無さかと思うほど、自分ではお気に入りです。 ◇デジタル(illustrator)
画像2 地球科学において、数haの試験流域のような小規模スケールで、詳細な観測をしてわかった現象は、必ずしも単純に広域スケールの現象に広げられるとは限りません。水循環特性を決める重要な環境条件(地形や土壌、地質、植生など)は小スケールの流域ごとに異なります。そのため、広域スケールの水循環の特性をトレーサー手法で大まかに把握し、小スケールで観測した現象が広域の中でどういう特徴があるのかを把握することで、両者を融合させる研究を示したものです。◇デジタル(illustrator, power point)
画像3 上の図同様、スケールの問題についての図です。(a)に示されているのが数haの流域で河川流量や地下水位などの詳細な観測を示しています。(b)の図のように山全体の話になると、極々一部を切り取っているに過ぎないことを表しています。実際、私が研究していた試験流域は小さく、詳細な現象を知ろうとするとどんどん小スケールになる。だけど、研究を地域の方々に説明したり、政策に活かそうとするならば、山全体での特徴を報告する必要がある。ジレンマです。◇デジタル(illustrator, power point)
画像4 山地から平地に至るまでのような、大きな流域で地下水がどのように流れているかを、概念的に簡単に示した図です。水資源や水循環について研究の説明の際に、最初に便利な図で、私が所属した上司が大きなシンポジウムで、大スクリーンにどーんと使ってくれるので、製作者としては気持ちいですね! ◇デジタル(illustrator, power point)
画像5 上のイラスト同様に、流域スケール(山地から海に流出まで)では地下水はどう動くのかを示した図は多く存在します。しかし意外に見易いものは少ないので、安部豊(2020)『沙漠学事典』 に掲載する際に作成した図です。私の感覚では、1990年代以前の教科書は、素晴らしくわかりやすい白黒イラストが多い。対して、2000年以降の教科書の図は残念なものが多いような気がしますね。安部 (2020): 地下水. 日本沙漠学会編『沙漠学事典』, p505, 丸善出版, 274-275 ◇デジタル(illustrator)
画像6 神奈川県所属時代、同位体トレーサー研究についての共同研究を行っていた総合地球環境学研究所は、高校生が理解できる程度のわかりやすい書籍を作っています。神奈川県もわかりやすい研究成果の公表は、重要な責務なのでイラストも含めて原稿を作成しました。 安部豊・内山佳美 (2021): 広域の地下水流動を把握する. 陀安一郎、申基澈編「同位体環境学がえがく世界:2021年版」, 39-44. (https://www.environmentalisotope.jp/) ◇線:手書き、色:デジタル,Photoshop
画像7 荒廃森林における整備前後の水循環の違いの概念図(安部, 2020, 緑の斜面)です。森のダムといわれた日本の森林は、手入れ遅れのため立木密度の増加や下層植生の衰退がおこり、林床の浸透能は低く、洪水や土砂流出の発生を増大させる要因のひとつとなっています(図左)。神奈川県では、間伐やシカ柵の設置などの、下層植生や土壌、水循環を再生・保全する事業を実施しています(図右)。 安部 (2020): 水源かん養機能のモニタリング調査. 緑の斜面, 72号, 3-4 ◇デジタル(illustrator)
画像8 あるお世話になっている研究室の研究概要を描きました。先生意外と似てるよ。◇デジタル(illustrator)
画像9 中国黒河流域での地下水の形成を説明しようと立体を駆使して描いてみたものの、論文には不適でした。しかし、地下水は見えないので、こういう図の挑戦は必要です。 ◇線:手書き、色:デジタル(photoshop)
画像10 シンポジウムのポスターのために描いたデザイン画です。テーマは「英語で論文を書くため」だったと思います。珍しくpower pointだけ描きましたが、意外に表現できました。 ◇デジタル(power point)
画像11 弘前大学の若狭幸先生の研究が一目でわかるイラストの依頼をいただきました。彼女は大学時代の同期で、以前から私のイラストをつかって何か地学研究や防災がわかり易く、親しみ易くなる企画を二人で考えていました。 若狭さんは地形学の専門家で、風化した岩石を見るとよだれが出しまうほど、風化好き。弘前大では、地球熱の利用を目的とした研究などの地域の課題解決に向けた研究を行っています。それらの研究課題と若狭さんを海岸段丘に全部載せしました。 ◇線:手書き(スキャン)、色:デジタル(Clip Studio Paint)
画像12 山地から扇状地、平地の地形と水の流動を自分のイメージで描きました。山地の浸透貯留はビーカーに入れた土柱で表現してみました。山から出てきた水は扇状地で浸透して、扇状地の末端(扇端)で流出します。富山黒部扇状地や那須野ヶ原扇状地をイメージしていますね。扇状地の下には沖積平野です。沖積平地はもっとも最近にできた平地で、田んぼに利用されることが多いですね。「最近にできた平地」ができる要因の一つは洪水です。最近は夢のマイホームをよく見かけます。夢、流れますよ~。◇手書き(コピック)