目を閉じて東京タワー

数年に一度の寒波
日本海側は大雪

テレビや新聞では
大雪や落雪の
報せが弾ける

太平洋側の
我が身も
寒さに背中を
丸める

アルマジロの如く
巣の中で
丸くなってばかりもいられないと
思いっきり窓を開け
部屋の空気を
入れ替える

外は夜
息が白くなる

あれ?

何か違う

見慣れた風景に
あるべきモノが無い

東京タワー!

いつもは
オレンジ色に輝いていた
光の塔が
消えている

いや

よく見れば
東京タワーは
そこにあって
ライトアップだけが
消えていた

先程のテレビニュースを
思い出す

『寒さで電力が逼迫しています』

東京タワーが
目を閉じた

そう見えた

私も目を閉じて
大きく息を吸った

冷たく感じていた
空気が
少し温かくなった

私は目を開けて
もう一度
東京タワーを見た

東京タワーは
まだ
目を閉じていた

部屋の窓を閉め
カーテンを引いた

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