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木の話草の話

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2020年11月の記事一覧

銀の花

昨日と今日の間の夜
風が北風に変わった
街は一気に冷え
その空気の中で
銀色の花が咲いた

地面に落ち葉が増えた
今年も街に冬が来た
桜の木も
銀杏の木も
冬を感じている

枇杷の木は
冬になると
花を咲かせる

銀色の花

小さな花に
気づく人は少ない

そんな花が好き

誰かに知られることもなく
冬にひっそりと咲く
小さな銀の花

赤い葉

満天星と書くらしい

庭木などで植えられている
ドウダンツツジのことだ

灯台躑躅ツツジという漢字がおどろおどろしい

もう真っ赤に色付いている
小さな葉の集合体

毎年見ているのだが
その葉の赤さに

はっと気付かされる冬

秋深く

いつの間にか
ハナミズキの葉も
赤く色づき
季節は刻一刻と
冬に近づく
ついこの前まで
夏だと思っていたのに
晩秋

体も気づいているらしく
ご飯が美味しい
きっと細胞ひとつひとつが
脂肪を欲しがって
いるのだろう

天高く我肥ゆる秋昼はそれほどでもないが
日が暮れると
気温はぐんと低くなり
見上げる月の光も
心なしか冷たい
夏の月も
秋の月も
同じ光な筈だけれど

寒くなったからなのか
月の光に

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オースカシーバーの午後

12号棟の公園の
植え込みのアベリアには
オースカシーバーが
二三羽飛んでいて
ホバリングをしながら
花の蜜を吸っていた

子供の頃
公園のブランコで遊んだり
オースカシーバーを
虫採り網で捕まえたりした

オースカシーバーという名前が
トランシーバーと響きが似ていて
カッコイイな
と子供心に感じていた

その虫が
オオスカシバ(大透翅)という名で
スズメガの仲間だと
知ったのは
もっとずっと後に

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