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よいお年をが言えない

へべれけ爺さんが大声で「よいお年を〜!!」と友人に別れを告げていた。
もうそういう時期らしい。きっとその言葉を聞き取った周囲の人達は皆そう思ったことだろう。
どこか寂しくなるのは僕だけだろうか。


寒さが隙間という隙間をすり抜けて体を冷やす。
耳が冷たい。フードを被る。音がぼんやりする。
遠くから色んなバリエーションのクリスマスソングがぼんやり聞き取れる。
今年はどんなクリスマスになるだろう、
「楽しい」は結果なので、まずは何事もなく迎えられたらそれで充分だなと思う。
ケーキ屋さんで働く人やおもちゃ屋さんはもうすでに気を引き締めて毎日を生きているのだろうか。
チキンはどれくらい売れる見込みを立てているのだろう。
そんなことを考えずにはいられない街のざわつきである。

話は戻る。
そう云えば、僕は自分から「よいお年を」と言ったことがない。
いつだって相手から「よいお年を」を受け取ってから、おんなじ言葉を返す。
「よいお年を」を言うのはいつからが適正なのか正直よく分からない、というのも少なからずある。
ネットでは《12月中旬〜30日まで》と記述があった。
しかし今年中にもう会わないことが分かっているなら、へべれけ爺さんのように「よいお年を」でもよさそうな気がする。
結局今回学んだのは31日に「よいお年を」は言わないということだ。「来年もよろしくお願いします」と言えばいい。

たぶん僕は今年も自分から先に「よいお年を」も「来年もよろしくお願いします」も言うことは無い気がしている。


おわり

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