見出し画像

オーディオ機器のガレージメーカーを始めた話

2017年10月、ひとつの会社を設立しました。会社名は「カレントディレクトリ」といいます。オーディオ事業だけの会社ではありません。主軸はソフトウェア開発やIT事業で、オーディオはそこに添う形になります。

まずはやりたいようにやる

融資や出資を受けてしまうとおそらく利益を得ることが優先になるため、開発や検討にじっくり向き合えなくなってしまいます。
オーディオ機器の開発は数年単位で時間が必要です。他の業種とはタイムスケールが全然違ってきます。
本音をいえばリソースが潤沢に無いというところですが…
大部分を一人でやっているので、さらに突き詰めないといけない専門領域も、製品を作りながらでないと理解できないところもどんどん出てくるでしょう。聴いて比較したい製品もまだまだあります。
経営として本当にこれでいいのかというところはあるものの、自分の作りたいもの、ユーザーの大部分が欲しているもの、売れるもの、このあたりのバランスで葛藤しながら、暫くはやりたいようにやっていきたいと思います。

ソフトウェア開発会社がオーディオをやる意味

単純に私がやりたいからというのがあります。
実利的にはソフトウェアやデザインのノウハウや開発手法で効率的に研究・開発したり、ソフトウェアの領域の考え方を借用して、製品の機能性や利便性に反映できるのではないかと考えています。
そうしたら、デジタル処理をふんだんに使って製品を作るんだろうとなるかもしれませんが、技術はあくまで手段。目指す製品に不要であれば採用することはありません。最新技術のオーディオはAppleにでも譲るのがいいと思います。
実際のところ、最新技術を実装するのは特許など権利的な問題で難しいことが多いですが。
幸いオーディオ機器に関しては、基本的な原理はずっと変わっていませんし、音楽ソフト側のフォーマットも大きく変わっていませんので、既存の技術がベースでも問題ありません。
むしろ、既存の技術をベースとしてそこに性能的・機能的・音楽的な価値を付加していくことになります。
ソフト面から考えると、レコードやCDに加えて、配信(ダウンロードやサブスクリプション)が増え、PCやスマートフォンから再生する機会も増えてきたのではないかと思います。
とくに、DAコンバータなどのPCと連携して使う機器に対しては、音質と使い勝手をさらに向上できるのではないかと企画しています。

初めての製品発売

2020年12月に初めてのオーディオ製品・パワーアンプ CD-PA100 を発売しました。

ディスクリート方式のAB級パワーアンプです。オーディオ各誌に取材頂き、多くの号に掲載頂きました。特にガレージメーカーの初製品にもかかわらず、快く取材をして頂けたのは大変有り難いことです。2021年12月号のMJ無線と実験誌には広告を掲載しました。
本機は定格20W/chでワット数は低いものの、全段安定化電源・アンプ部の増幅率を低ゲインとして、残留ノイズを抑え、アンプ駆動力を上げるコンセプトとしました。
通常なら、ここまでの低ワット(実際2Wくらいしかパワーを使わないとしても)かつゲインの低い仕様で商品化することは、商業的にはほぼないと思いますが、実際に一般的な部屋でパワーアンプとして使うことを考えれば見かけのスペックよりも、音や使い勝手を第一に考えた回路構成や仕様のほうが価値があると考えました。
先ずは利益よりもあるべき製品を考えて提案したいと思います。最初の話に戻りますが、このような尖った製品を提案できるのもオーディオ専業でないところにあります。

次回は、目指したい製品のコンセプトについて書きたいと思います。
※次回はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?