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学びあふれる余白をたくさんうみだしていきたい <あの日あの言葉シリーズ>2023年1月

1月に新聞寄稿した文章を掲載します。

まもなく新月に至るしずまりかえった大寒の朝、淡い霜がきれいに刈られた田んぼのボタにおりたっている。あたたかさと凍てつく空気が頻繁にいれかわる今日この頃、極寒の中でも春の兆しを感じてうきうきした気分になる不思議なものである。

振り返ってみると、2012年6月から10年以上、この持論異論へ寄稿させていただいている。慌ただしい毎日に追い立てられる中で、ついつい「今」よりも、先の未来を案じて先取りして考えて計画をたてたり、計算したり、という思考になりがちである。ありがたいことに、文章を書くことで、その時々の自分をみつめ、柔軟に変化していくことをあらためて自分自身で確認させていただく機会になっている。

実は、10月1日から、思い立ってWeb情報発信サービス「note」で、本名のまま、これまでのことや、今感じていることなどを発信するようになった。起業して20年、旭に移住して12年、2023年度は後厄の年、人生を棚卸しながら、あらためて「今」に焦点をあてていきたい。 「ちょっとこれできない?」という頼まれごとのご縁がずっと今の自分をつくってきた。やっているうちにできることもあるし、できない自分も知ることができる。意外と自分のことが一番自分でわからない。頭をでっかくしてモヤモヤするよりも、誰かとの関わり合いの中で、心と体を動かしながら、あーでもない、こーでもないと、うまくいくこともいかないことも経験を重ねてきた。動いていく中で、自分の好きなことや、得意なことがわかってくるものである。何がしたい?と言われたら、そんなお互いに頼り頼られるコミュニティに自分はいたいと答えたい。煩わしいこともたくさんあるけれども、そうでなければ、自分が自分として学び続けることも生き続けることもできないからだ。

私たちは普段どうしても白黒つけることを急ぎすぎることがある。戦闘モードになる。すぱっと分かれた境目にはなにもない。どちらが正しいか、どちらが正義か。世界情勢から、家庭内まで、あらゆることにつながっている真理ではないだろうか。少し離れてみれば、重なった色は灰色かもしれないし、その余白の向こう側に茜色があるかもしれないし、上を向けば虹色が広がっているかもしれない。 余白のあるコミュニティは、豊かなコミュニケーションをうむ。新たな視点も、組み合わせも、学びも、事業も、この余白からうまれる。そのためにも、相手も自分自身もまずは否定せずに、ゆるやかに受け止めるところから、できないこと、弱いことを表現するところからはじめよう。

2023年の抱負は、心も体もゆるめることにした。あぁ、楽しかった。気持ちよかった。嬉しかった。感じたことを共に過ごす人と共有する。そんな時間を大切にすることから、学びあふれる余白をたくさんうみだしていきたい。心地よい余白が今までとは違うところへ私たちを導いてくれるはずだ。

*2023年1月 新三河タイムズ 持論異論 寄稿文 編

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