NHK交響楽団第1969回定期公演

昨日は、NHKホールにおいてNHK交響楽団の第1969回定期公演が行われ、演奏の模様をNHK FMの実況中継で鑑賞しました。

今回は、コープランドのバレエ音楽『アパラチアの春』とバレエ音楽『ロデオ』が取り上げられました。指揮はレナード・スラットキンでした。

1984年の初共演以来、ローレンス・フォスターとともにNHK響にとって米国の作曲家の作品を取り上げる際に欠かせない存在となっているのが、ともに米国生まれのスラットキンです。

17年間にわたり首席指揮者を務めたセントルイス交響楽団と残した多くの録音からも、スラットキンが様々な指揮者の作品を得意としていることは明らかですし、NHK響ともバッハから武満徹まで幅広い音楽を取り上げています。

その一方で、米国の作曲家の作品を積極的に取り上げることを自らの重要な役割としていることもあり、ガーシュイン、アイヴス、バーバー、バーンスタインなどをNHK響の定期公演で指揮していることも、周知の通りです。

この日はスラットキンが得意とするコープランドの2つのバレエ音楽が選ばれました。

情景を描写する手腕が確かなコープランドを、時に軽快に、時に艶やかに、そして時に雄渾に演奏することで作品の魅力をより一層際立たせるのがスラットキンです。

このようなスラットキンとともにNHK響は第1曲目では音の層の厚さ、第2曲目では機動力の高さという楽団の持ち味を遺憾なく発揮することで、より鮮やかな輪郭を描き出しつつ、情感豊かな演奏に仕上げました。

特に『ロデオ』については、時折顔を見せる長閑な雰囲気をよく表現しており、作品の持つ緩急の変化に十分に対応していました。

惜しむらくは今季からCプログラムが休憩時間を設けず、80分から90分で終了するという形式に移行したため、コープランドのバレエ音楽の代表作である『ビリー・ザ・キッド』が演奏されなかったことで、今後の共演の中でコープランドの三大バレエ音楽を取り上げる機会の訪れが期待されるところです。

<Executive Summary>
The NHK Symphony Orchestra the 1969th Subcription Concert (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the 1969th Subscription Concert at the NHK Hall and broadcasted via the NHK FM on 18th November 2022. In this time they performed Copland's Apparachian Spring and Rodeo. Conductor was Leonard Slatkin.

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