【参加報告】法政大学江戸東京研究センター研究会「東京写真の新たな可能性」

昨日は、14時から16時までオンライン形式により法政大学江戸東京研究センターの研究会「東京写真の新たな可能性」に参加しました。講師は東京都現代美術館学芸員の丹羽晴美さんでした。

報告では、森山大道や荒木経惟ら20世紀の東京写真に比べ、その後の東京写真が漠然とした都市の写真ではなく、実際の生活に根差した人々の姿を表現するということが、郡山総一郎、西野壮平、鈴木のぞみ、春木麻衣子の作品を通して検討されました。

具体的に取り上げられた作品は、郡山総一郎のApertments in Tokyo(2013-2014年)、西野壮平のDiorama Map(2004年から)、鈴木のぞみのOther Days, Other Eyes(2003年から)、春木麻衣子のeither portrait of landscape neither portrait or landscape(2010年)でした。

郡山は孤独死をした者のアパートの様子を撮影することで、都市の中での孤独死も戦場の死も「人の死」として同じ、ということを写真を通して示し、西野は一人の人間が歩き、出会った東京という街の様子を、35ミリフィルムで撮影しコンタクトシートに起こし、コラージュによって表現しています。また、鈴木は窓枠全体に写真の乳剤を塗布し、窓の外の風景を撮影した写真を窓に焼き付け、窓枠ごと現像することでわれわれの日常生活の中にある何気ない風景を残すことを試み、春木は撮影時に露出を最大にすることで、都市の風景と「見えないものの内側」を探ろうするとする作品を生み出してきたことが紹介されました。

一連の写真家の作品の検討を通して、写真が「歴史の無意識」や「時代の雰囲気」を映すことが出来る表現方法であり、この点に東京写真という分野の新たな可能性のあることが指摘されました。

<Executive Summary>
EToS' Research Meeting "A New Possibility of 'Tokyo Photography'" (Yusuke Suzumura)

The Hosei University Research Center for Edo-Tokyo Studies held a research meeting entitled "A New Possibility of 'Tokyo Photography'" via Zoom on 23rd January 2021. In this time Ms. Harumi Niwa of the Museum of Contemporary Art Tokyo.

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